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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第八十話 女王としての意地

                  第八十話 女王としての意地
暗黒大将軍との戦いを終えたロンド=ベルであったが休息の時はなかった。次の戦いが彼等を待っていたのであった。
「飛鳥だったな」
「ああ」
ゼンガーはエイザムの言葉に頷いた。
「そこにあの女が待っている」
「行くのだな」
「無論」
彼は迷うことなくそれに答えた。
「一騎撃ちならば。俺も迷うことはない」
「罠だとは思わないのか」
「罠ならばそれもよし」
だからといって躊躇うゼンガーではなかった。
「ダイゼンガーの剣で一刀両断にする。罠もな」
「わかった。そこまで言うのなら止めはしない」
エイザムはそれ以上言おうとはしなかった。
「行くがいい。そして勝利を掴め」
「うむ」
「その剣にな」
ゼンガーは飛び立った。ダイゼンガーと共に。その前には太陽が輝いていた。
「行っちまったな、ゼンガーさん」
リュウセイは飛び立ったダイゼンガーの後ろ姿を見て呟いた。
「あのククルって女との戦いに」
「心配なのか」
そんなリュウセイにライが声をかけてきた。
「心配じゃないって言えば嘘になっちまうな」
リュウセイは俯いてそれに返した。
「一人で行くんだからよ。罠かも知れねえじゃねえか」
「それはないだろうな」
だがライはそれは否定した。
「確証はあるのか?」
「邪魔大王国は滅亡した」
ライは言った。それが理由の一つであった。
「今あの女には兵がいない。そしてもう一つある」
「何だ、それは」
「誇りだ。あの女のな」
「誇り!?」
「そうだ。あのククルという女も女王だった。そしてその誇りは忘れてはいない。だからこそ少佐ん一騎撃ちを挑んだのだろう。違うか」
「けどよ」
「案ずるな。この戦い、影はない」
ライはまた言った。
「俺達は少佐の勝利を祝う準備だけをしていればいい。わかったな」
「ああ」
「それでだ。話は移るぞ」
「ん!?まだ何かあるのかよ」
「今後の作戦のことだ。次の行く先が決定した」
「何処なんだ、次は」
「中国だ。そこから中央アジアを経由して欧州に向かうそうだ」
「またかよ」
リュウセイはそれを聞いて少し口を尖らせた。
「この前と同じじゃねえか」
「そして戦う敵も同じだ」
「っていうとティターンズか?」
「そうだ。連中の地上からの掃討がその目的だ」
ライはリュウセイにこう返した。
「あと中央アジアに展開しているギガノス軍の掃討もある」
「ああ、あの連中か」
グン=ジェム隊のことである。リュウセイは彼等のことを思い出した。
「あの連中まだいやがったんだな」
「今宇宙でもティターンズの力が増長している」
「スペースノイドを敵に回してるってのにかよ」
「スペースノイドとかアースノイドとかいった問題でもない」
ライはリュウセイの言葉にこう返した。
「それは御前もわかっていると思うがな」
「そうだったな」
これにはリュウセイも頷くしかなかった。ティターンズのアースノイド至上主義は方便に過ぎない部分が多々にあるのだ。
その技術者にはジオンにいた者が多く、またサイド3との関係も深い。ジャミトフ自身がサイド3との交流を深めてきているのである。そしてジュピトリアンの勢力やクロスボーンバンガードもその下に置き、地上ではドレイク達と同盟を結んでいる。その実態はジオンではないのかという者達すらいるのだ。
「どうやら奇妙な連中がティターンズに接近しているらしい」
「何だよ、オルファンか?」
「いや、また別の組織だ。何でもブルーコスモスというらしい」
「ブルーコスモス!?何だそりゃ」
リュウセイははじめて聞く名を耳にして顔を顰めさせた。
「聞いたことねえぞ、そんな組織」
「何でも地球至上主義者の集まりらしい。軍事産業を基盤としたな」
「武器商人か?」
「簡単に言うとそうなる。アナハイム=エレクトロニクス社とはまた別のな」
「アナハイムとはまた別か。あそこの社長も相当な狸親父だけどな」
メラニー=ヒュー=カーバインのことである。彼は月に本社を置いている。連邦軍、そしてロンド=ベルと関係が深いことで知られている。
「欧州に拠点を置くらしいな」
「そうか。で、そこのボスは何て言うんだ?」
「ムルタ=アズラエルというらしい。まだ若いそうだが」
「どっちにしても碌な奴じゃなさそうだな」
「あるサイドに対して異様な敵意を抱いているとも言われているしな」
「何かやばい奴らしいな」
「どうも家柄だけでブルーコスモスの理事になったらしい。それなりに切れるが」
「そこそこ止まりってことかよ」
「そうらしい。まあジャミトフがそうした奴をどう使うか、だな」
「あのおっさんだったら平気で使い捨てにしそうだけれどな」
「まあそこまではわからんだ。ただそうした組織がティターンズに接近しているのは事実だ」
「どっちにしろ敵だってことか」
「そういうことだ。これでいいか」
「ああ、大体はわかった。済まねえな」
「何、いいことだ。しかし」
「しかし。何だ?」
悩む顔をしたライに対して問うた。
「いや、思えばおかしな話だと思ってな」
ライはそれに応えて言った。
「連邦軍から出て来た組織なのにジオンに似ているというのも」
ティターンズのことであるのは言うまでもない。
「矛盾していると言えば矛盾しているな」
「まあそういやそうだな」
それにはリュウセイも頷いた。
「ネオ=ジオンなんていうジオンそのまんまの連中もいるしな」
「結局俺達はジオンの残照と戦っているということになる」
「ジオンの残照か」
その言葉に誰かが反応した。
「確かにな。その通りだ」
「クワトロ大尉」
その声はクワトロのものだった。彼はゆっくりと彼等のもとにやって来た。
「滑稽なことだ。我々は先の戦いでジオンと一応の講和を持ったというのにな」
「そうでしたね」
ア=バオ=ア=クーでの戦いにおいてギレン=ザビを暗殺したキシリアとの間で結ばれたものである。
「もっともその当事者であるキシリア=ザビも死んでしまったがな」
事故死ということになっている。だが一説ではギレン派による暗殺だとも言われている。
「そして今に至る。我々は今もザビ家の呪縛に捉われているのだ」
クワトロはそう言いながら西を見た。
「今砂漠にいる者達もな」
「ネオ=ジオンですか」
「そして月にいるグラドスも。所詮は同じなのさ」
彼はシニカルにそう述べた。
「所詮はジオンと同じだ。言っていることが少し違うだけだ」
「はあ」
「だがそれを終わりにしたいものだ」
「貴方が言うと説得力がありますね」
「そういうものかな」
ライの言葉に対しては少しシニカルであった。
「それがシャア=アズナブルのものであるならば」
「・・・・・・・・・」
リュウセイもその言葉に沈黙した。実際にその通りであったからだ。
二人はクワトロが次に何を言うのか注目した。そして彼はそれに応えるかのようにゆっくりと口を開いた。
「私はクワトロバジーナだ」
彼は静かにこう述べた。
「ダカールにおいてキャスバル=ズム=ダイクンであることもシャア=アズナブルであることも捨てた」
「そうなのですか」
「未来を見た時には。考えさせられもしたが」
そしてさらに言った。
「因果なものだな。どうしても人間の可能性を信じたくなった」
「それは何故ですか?」
「君達若い存在を見たからだ」
それがクワトロの答えであった。
「若い存在」
「そうさ。未来の世界で私は人間のあり方について思うようになった。一時はシャア=アズナブルに戻ろうと思ったことすら
あった」
「そうだったのですか」
意外なシャアの告白であった。
「そんな時にまた戦いがはじまった。そこで実際に私を誘う者もいた」
「だが貴方は動かれなかった」
「正確に言うなら動く前に君達の姿を見た」
「俺達の」
「そう。君達はあくまで人類の未来を信じて戦っている。ならば私もそれを信じてみようと思ったのさ」
彼は言った。
「君達と同じようにな」
「そうだったんですか」
「まあこっちとしては大助かりですよ」
「それはどうしてだい?」
リュウセイに問う。
「いや、赤い彗星が敵にならなくてね。味方で本当によかったって」
「何なら実戦訓練といこうか」
「やりますか?シュミレーションで」
「お手柔らかにな。私はもう老人なのだし」
「何言ってるんですか、ロンド=ベルのツートップの片割れが」
「お手柔らかにと言いたいのは俺達の方ですよ」
「やれやれ」
クワトロは苦笑しながらもそんな二人についていった。そして心の中で密かに呟いた。
(ララァ、見ているかな)
その声は一人にしか聞こえはしないものだった。
(私はどうやら主役ではなくなった。後は若者達に任せたい)
返事はなかった。だが何かが聞こえた。
(そうか)
クワトロはそれを聞いてわかったような気がした。それで充分であった。
そしてクワトロはリュウセイ、ライを相手にシュミレーションに入った。ここで二人を何なく退けたのであった。赤い彗星はやはり健在であった。クワトロ=バジーナではあっても。
ゼンガーは飛鳥にいた。かって都があった古の場所。そこに武神が今立っていた。
彼はそこで待っていた。そして何かを察した。
「来たか」
南から一機のマシンがやって来た。それは何か。言うまでもなかった。
「ゼンガーよ」
そのマシン、マガルガが降り立った。そしてそれに乗るククルが声をかけてきた。
「約束通り来たな」
「俺は約束を破ったことはない」
ゼンガーは一言こう返した。
「特に勝負にはな」
「そうか、破りはせぬか」
「その通り」
二人は早速睨み合いをはいzめていた。激しい火花が散る。
「この誇りにかけて。武人の誇りにかけてな」
「誇りか」
ククルはその言葉を聞いて切れ長の赤い目を静かに動かした。
「ではわらわもその誇りをかけて汝と死合うことにしよう」
そう言いながらマガルガを身構えさせた。
「ハァッ!」
掛け声と共に動いた。いきなりその姿が消えた。
「ムッ!」
ゼンガーはそれを見て思わず辺りの気を探った。
「消えたか」
「わらわの姿、見極められるか」
ククルの声だけが聞こえる。
「何処にいるか。うぬにはわかるまい」
既にその声は勝ち誇ったものである。だがやはり姿はない。
「どうする、ゼンガー=ゾンボルトよ」
「笑止」
しかしゼンガーはそれでも冷静さを保っていた。
「姿は見えずとも貴様がここにいるのは紛れもない事実」
彼は言った。
「ならば。見極めるまで」
「どの様にしてじゃ?」
「所詮目に見えるものは仮初めのものに過ぎぬ」
彼はさらに言う。
「真に見えるものは心の眼。ならば我は今それを開こう」
「面白い、心眼か」
ククルは嘲笑するように呟いた。
「ならばそれでわらわを見るがいい。それがうぬにあるのならばな」
「無論、ならば」
ゼンガーは目を閉じた。
「今それで貴様を見てやろう。その真の姿をな」
「面白い。では見るがいい」
ククルの声だけが聞こえる。
「うぬが血に染まる姿をな」
ダイゼンガーは動きを止めた。マガルガは確かに自分を狙っている。それだけで充分であったのだ。
何かを狙う気配がする。だがそれは何処からなのか。まだそれは掴めてはいない。しかしそこに何かを感じた。そう、それは殺気だった。
「!?」
その殺気はゼンガーに向かって放たれていた。一直線に。左から来ていた。
「そこかっ!」
ゼンガーは剣を一閃させた。そこにククルの姿が現われた。
「ヌウッ!?」
気配が乱れたのだ。思わぬ攻撃にククルは姿を現わしてしまった。それこそが何よりの証拠であった。
「やはり!そこにいたか!」
「チイッ!」
だがここでククルは咄嗟に動いた。分身したのだ。
それでゼンガーの剣をかわした。紙一重であったがそれでもかわすことができた。
「わらわの攻撃、感じたというのか」
「貴様の殺気をな」
ゼンガーは言った。
「それは容易に感じることができた。貴様の殺気はあまりにも大きい」
「ヌウッ」
「俺を殺そうとする憎悪の心までは消すことは出来ない。それを忘れていたな」
「殺気か」
「そうだ。そして貴様にその憎悪の心がある限り俺に勝つことは出来ぬ」
「ぬかせ、人間が」
ククルはその眼を吊り上らせて言う。
「この邪魔大王国の女王に対して無礼であるぞ」
「人間か」
「左様」
ククルはその整った白い顔を紅潮させていた。
「ヒミカ様の後を受け継いだわらわを愚弄するとは。万死を以って償わせてやる」
「愚かな。自らを侮辱するとは」
「自ら!?どういうことじゃ」
「ククル、貴様もまた人間だということだ」
「またその様な戯れ言を」
「戯れ言だというか」
「そうじゃ、わらわが人間などと」
口までもが裂けてきていた。
「只では殺さぬぞ」
「では聞こう。貴様の姿、それは何だ」
「わらわの姿!?」
「そうだ。その姿、邪魔大王国のものではない」
彼は言った。
「人のものだ。それがわからぬか」
「馬鹿な、だからといって」
「見よ、ククル」
ゼンガーはククルに指を突き付けて言った。
「貴様の真の姿を。今の貴様はそれを忘れている」
「忘れているだと」
「そうだ。貴様は人間なのだ」
「まだその様な」
「その身体に流れる赤い血もまた何よりの証拠。まだわからぬか」
「わからぬ。わらわは邪魔大王国の女王」
それでも彼女は認めなかった。
「それ以外の何者でもないわ」
「そうか、では思い出させてやる」
ダイゼンガーは剣を構えた。
「この俺の剣で。貴様を束縛するものを断ち切ってやる」
「そしてわらわに思い出させるというのか!?人間というものを」
「そうだ」
ゼンガーの言葉には澱みがなかった。
「ダイゼンガーの剣は悪を断つ剣。今その悪を断つのだ」
「ならば断ち斬ってみるがいい」
ククルはその憤怒に燃えた顔にあえて笑みを作って返した。
「その様なものがあるのならばな」
「ならば推して参る」
恐ろしいまでに巨大な剣を構えた。
「斬艦刀、雷光斬り!」
「オオッ!」
その巨大な剣が一閃される。それはククルとて避けられるものではなかった。
マガルガを一閃した。しかしマガルガは傷一つ負ってはいなかった。
「これは」
「我が斬艦刀に断てぬものなし」
ゼンガーは言った。
「それが束縛であったとしてもな」
「束縛」
「ククル、思い出すのだ」
彼はククルを見据えていた。
「その心をな」
「ヌッ!?」
その瞬間何かが変わった。
ククルの脳裏に何かが浮かんできた。そしてそれは彼女の心を打っていた。
「これは」
「見えたか、真の己の姿が」
「わらわは・・・・・・」
記憶が甦ってくる。自分の心が。
ククルはこの国がまだ日本と呼ばれる遥か前に生まれた。神武帝もまだおられぬ神話の時代。その時代に生まれた。名も知られていない古い国に生まれた。人の国だった。だが後にまつろわぬ民とされた邪魔大王国に攻められ国は滅んだのであった。
その時ククルの両親も殺された。本来ならばククルも殺される筈だった。だが彼女の類稀なる力を感じたヒミカは彼女を生かすことにしたのだ。自らの手駒として。
そして記憶を封印し自らの手許に置いた。邪魔大王国の為に。この時から彼女は邪魔大王国の者となった。ヒミカの傀儡となったのだ。そしてヒミカが鋼鉄ジーグに倒されるとその後を継いだ。それがククルのそれまでの姿なのであった。
「わかったか、己の真の姿が」
「わらわは人だった」
ククルは呟いた。
「邪魔大王国の者ではなかったのだ」
「今邪魔大王国は滅んだ」
ゼンガーは言った。
「御前が束縛から解き放たれたことによりな」
「滅んだか」
「そして御前は全てを知った筈だ」
「うむ」
ククルは頷いた。
「わらわは・・・・・・利用されていた」
そして言った。
「ヒミカに。そしてミケーネの者達に。そして同胞である人間と戦っていたのだ」
「それは貴様の責任ではない」
しかしゼンガーはそれは問題とはしなかった。
「御前は操られていたのだ。全てはな」
「だが」
「その過去を償いたいのか」
「・・・・・・・・・」
ククルは答えない。ただ俯いているだけであった。
「そう思うならば戦うのだ」
「戦う」
「そうだ」
ゼンガーは言った。
「人に刃を向ける者達と。それが償いの道の一つだ」
「このマガルガでか」
「俺は言わぬ。全ては貴様が決めることだ」
ゼンガーは突き放すようにして言った。
「全てはな。どうするのか」
「考えさせてくれ」
ククルは答えた。
「暫し。いずれ答えは出す」
「そうか」
「それまでの間、さらばだ。また会おう」
そう言って再び動きはじめた。154
ククルは飛び立った。そのまま何処かへと消え去った。そして戦いは終わった。ゼンガーはそれを一人飛鳥に立ち見据えていた。
「とりあえずは勝った」
それは彼にもわかっていた。
「だが戦いはまだ終わらぬ。俺もあの女も」
そう呟いて彼も戦場を後にした。そして京都にいる仲間達のもとへと帰るのであった。
「そうか、終わったか」
エイザムがまず彼を出迎えた。そして話を聞いた。
「あの女、やはり人間であったか」
「うむ」
ゼンガーは友の言葉に頷いた。
「人の心は取り戻した。だが」
「だが?」
「全てはこれからだ。あいつにとってはな」
「これからどうするかは彼女が決めること、か」
「そういうことだ」
「また俺達に向かって来るってこともあるわけだな」
豹馬が問う。
「それも有り得る。だがその時は」
「その時は?」
「俺があの女を止める。だから安心してくれ」
「ああ、頼むぜ」
その覚悟があるのならばよかった。豹馬はそれ以上聞こうとはしなかった。
「あんたの剣、見せてくれよ」
「うむ」
「それでは次の作戦行動に移るとしよう」
話が終わったところで大文字が言った。
「これより我々は中国に向かう」
「中国に」
「中国といっても広い。我々が今度向かうのは満州だ」
「そこからまた中央アジアに向かうのですね」
「うむ、その通りだ」
健一の言葉に頷く。
「舞鶴からな。それでいいな」
「はい」
「俺達に異存はありません」
皆それに答えた。
「それが俺達の仕事ですからね」
「よし、では明朝出撃だ」
彼は出撃時刻も伝えた」
「それまで各員それぞれの機体の整備等にあたるように。では散開」
こうして次の作戦も伝えられた。ロンド=ベルの面々はそれを受けて早速次の作戦の準備にあたるのであった。
「東北か」
その中にはGGG機動部隊もあった。雷龍がふと口にした。
「何か暫く振りだな、あそこへ行くのも」
「そういえば雷龍と風龍は中国で開発されたのでしたね」
「おお、そうだったな」
それを聞いたボルフォッグとゴルディマーグが声をかける。
「それじゃああっちの地理にも詳しいだろう」
「まあおおよそは」
風龍がそれに答える。
「僕達の地元ですから」
「そうか、だったら安心だな」
ゴルディマーグはそれを聞いて満足そうに頷いた。
「やっぱり知ってる奴がいるのといないのとじゃ全然違うからな」
「二人共、頼りにしていますよ」
「ふふふ、任せておいてくれよ」
雷龍はそれを受けて言う。
「あそこは僕達にとっちゃ遊び場だからね」
「安心して下さい」
「んじゃあ美味い店知ってるか?」
「美味い店!?」
だが二人はバサラのその言葉には目をキョトンとさせた。
「そうだよ。中国つったら食い物だからな」
「僕達はそれは」
風龍が答える。
「食べることがないので」
「おっ、そうだったか。悪いな」
「いえ、別に」
「それじゃあ俺の歌でも聴いてくれよ。新曲ができたしな」
「曲ならマイクもあるもんね~~~~」
誇りをかけた戦いの後の楽しい時間であった。しかしバサラのこの時の曲は次の戦いへの序曲であった。戦いはなおも続いていたのであった。

第八十話完

2006・3・12  
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