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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第七十九話 決戦!暗黒大将軍

                    第七十九話 決戦!暗黒大将軍
京都で待つ、暗黒大将軍の言葉はそのままロンド=ベルを次の戦いへと誘うものであった。
彼らは名古屋を発ち京都に向かっていた。その途上で凱は言った。
「来て早々決戦ってわけか」
「燃えてるか?」
「ああ」
サンシローに応える。
「何かな。相手が強ければ強い程ガオガイガーは燃えるんだ」
「だったらこっちもやり易いな」
リーがそれを聞いて言う。
「戦意があるってのは。それだけで頼りになる」
「そうだな。ガオガイガーの力期待させてもらうぜ」
「おう、任せておけ」
「ただもう少し食べるのは控えて欲しいな」
「ん!?そんなに多いか?」
凱はヤマガタケの言葉に応えた。
「牛丼十杯ってのは幾ら何でも多過ぎねえか。おかげで奢った俺の財布がすっからかんだぜ」
「それはヤマガタケが悪いぞ」
ピートがぼやく彼に対して言った。
「食べ比べを挑んだんだからな。しかし牛丼が好きだとは面白いな」
「食べ易いからな」
凱はにこりと笑いながら返す。
「それに安い」
「早い、安い、美味いですね」
「おいブンタ、それは俺の台詞だ」
サンシローはそれを聞いて口を尖らせる。
「牛丼だったら二十杯はいけるな」
「ピッチャーがそんなに食っていいのか?」
シローが彼に突っ込みを入れる。
「登板しない時はな。それでもいいんだ」
「そうか。しかしロンド=ベルは牛丼好きなのが多いな」
「シローさんも好きでしたよね」
「ああ」
ブンタの言葉に応える。
「そこは凱と同じだな」
「声も似ているしな」
「まあお互い声のことは言わないでおこうぜ」
「そうだな。また今度な」
「何はともあれ京都だけれど」
セレーナが話に加わってきた。
「暗黒大将軍も遂に勝負に出て来たのね」
「そうだな」
サコンがそれに頷いた。
「暗黒大将軍もここが正念場だとわかっているのだろうな」
「ミケーネにはまだ戦力はあると思うが」
「それとは少し問題が違う」
ピートにこう答える。
「あの男の。武人としての意地だ」
「武人としての」
「あの男は誇り高い。その誇りが決戦を挑ませたのだろう」
「そうだな」
鉄也がそれに頷く。
「暗黒大将軍は根っからの武人だ。自らの誇りを傷付ける様なことは断じて認められない男だ」
「そして敗北もまた、か」
「それを拭い去る為に決戦を挑んで来たんだ。この戦い、逃げるわけにはいかない」
「気をつけてね、鉄也」
ジュンが声をかける。
「私も後ろにいるから」
「ああ、頼むぞジュン」
彼はパートナーに顔を向けて言う。
「この戦いに全てがかかっているからな」
「ええ」
彼等が今まで生きてきた意味が。孤児として生まれ、今まで戦う為の戦士として生きてきた意味が。それがかかっているのであった。
「甲児や大介もいるしな。頑張れよ」
「ああ」
最後にサンシローの言葉に頷いた。そして来たるべき決戦に心を馳せていた。
京都まで間も無くとなっていた。ブライトはモニターに映る敵軍を見ながら作戦の指示を下していた。
「ナデシコは右に回ってもらおう」
「了解」
「そして右翼から陽動で攻撃を仕掛ける。そこを正面から主力で叩く」
見ればミケーネ軍は七つの軍団を前面に展開させていた。側面にはライガーンの軍が置かれている。
「あの軍を破れば大きな意味を持つ」
ブライトはそう見ていた。
「今回ナデシコとエステバリスチームには働いてもらわなければな」
「そしてGGG機動部隊にも」
「そうだな。彼等には参加早々悪いが」
「生憎俺達GGGにそんな心配は無用だぜ」
だがここでモニターに火麻が出て来た。
「俺達GGGは困難なんて何とも思っちゃいねえからな。ガンガンやらせてもらうぜ」
「わかりました。それでは」
「おう、任せてとけ」
彼はそこまで言うとモニターから姿を消した。ブライトはその後で呟いた。
「頼もしいと言うべきだな」
「参謀とは思えませんけれどね」
サエグサが苦笑してそれに応える。
「まずはナデシコのグラビディブラストでダメージを与え」
「はい」
「そこで突入してもらうか。同行する艦は大空魔竜がいいか」
「私の方はそれで構わないですぞ」
今度は大文字がモニターに現われた。
「大文字博士」
「大空魔竜は格闘戦にも秀でておりますからな」
彼は述べる。
「是非共攻撃に参加させて頂きます」
「わかりました。では宜しくお願いします」
「はい」
こうして二隻の戦艦で攻撃が行われることが決定された。こうしておおよその作戦は決まった。ロンド=ベルは二手に分かれて京都に向かうことになった。ナデシコと大空魔竜は京都の北から、大空魔竜は東から向かった。戦いは刻一刻と近付いていた。
ミケーネ軍は京都に布陣してロンド=ベルを待ち受けている。その本陣には暗黒大将軍がいた。
「ロンド=ベルが来ております」
彼にハーディアスが報告した。
「その数は」
「七隻の戦艦に。二百程のマシンがいる模様です」
「数としては我等の方が圧倒的に優勢にある」
暗黒大将軍はそれを聞いてまず言った。
「この京都に配備した戦闘獣は約千八百、数としては圧倒しているな」
「はい」
「だが油断してはならぬ」
彼はその数に安心する程軽率な男ではなかった。
「ロンド=ベルは手強い。そしてその中にはマジンガー達もいる」
「はっ」
「今まであの者達には苦渋を舐めさせられてきておる。今こそそれを晴らす時だ」
「それが今ですな」
「そうだ、全軍に命じる」
彼は重々しい声で言った。
「この京都をロンド=ベルの墓場とせよ。よいな」
「了解」
「全てはミケーネの為に」
七大将軍達がそれに応える。彼等もまた決戦に備えその戦意を高めていた。
ロンド=ベルは京都まで間も無くの距離に迫った。既にナデシコと大空魔竜は戦闘態勢に入っている。
「京都まであと三分です」
ルリが報告する。
「総員戦闘配備に就いています」
「了解。それじゃあマシンを全部発進させて」
「はい」
ユリカの声が伝わる。エステバリスと勇者達が出撃した。
「ピート君、我々もだ」
「はい」
そして大空魔竜からも。マジンガー達も出撃した。
「いよいよね」
「ああ」
鉄也はまたジュンの言葉に応えた。
「用意はいいかしら」
「俺は何時でも戦える。ジュンこそ遅れるなよ」
「任せて。私だって戦士なんだから」
「鉄也さん、俺もいるからな」
マジンカイザーに乗る甲児が声をかけてきた。
「だから安心してくれよ」
「ああ、甲児君」
「僕もいるからな」
「大介さん」
「マジンガーチームは一人じゃない。皆がいるということを忘れないでくれよ」
「ええ。俺は一人じゃない」
鉄也はそれを聞いて呟いた。
「皆がいてくれる。だから」
意を決する。そして戦いにその全身全霊を向けてきた。
マジンガー達が京都に姿を現わす。そこにはもうミケーネ軍が展開していた。京の街を埋め尽くさんばかりの数であった。
「来たな、ロンド=ベル」
暗黒大将軍が彼等の姿を認めて言う。
「今こそ決着を着けてくれるわ」
ナデシコと大空魔竜が姿を現わしたのと同時に他の五隻の戦艦も姿を現わした。マシンも一緒である。
「暗黒大将軍、約束通り来たぞ」
鉄也が彼に声をかける。
「この京都を貴様の墓場にしてやる」
「剣鉄也か」
彼はそれを受けて鉄也と彼が乗るグレートマジンガーに顔を向けた。
「貴様との決着も同時に着けてやる。楽しみにしておれ」
「望むところだ」
「ほう、臆してはおらぬか。流石だ」
暗黒大将軍はそれを見て満足そうに頷いた。
「流石はわしが好敵手と認めた相手だ。そうでなくてはな」
そう言いながら全軍に指示を下す。
「全軍攻撃を開始せよ!攻撃目標はロンド=ベル!」
「ガオオオオオオオオオオンッ!」
戦闘獣達の声が響き渡る。
「ここが死に場所と心得よ!敵を一兵残らず叩き潰すのだ!」
ミケーネ軍は二手に分かれた。そして七隻の戦艦に向かって来た。
「まだよ」
ユリカは迫り来るミケーネ軍を見て呟いていた。
「まだ早いわよ」
「グラビティブラストはもう何時でも発射できます」
「そう、だからこそ待つのよ」
ルリの報告にも応える。
「引き付けて。一気にやるんだから」
「艦首方向に友軍のマシンはいません」
「視界良好です」
メグミとハーリーからの報告も入った。
「敵、旗艦に接近」
またメグミからの報告が入った。
「グラビティブラストの射程内に敵多数入りました」
「よし!今よ!」
ユリカの顔が何時になく真摯なものになっていた。
「グラビティブラスト発射!」
「了解!グラビティブラスト発射!」
メグミが復唱する。
「やっちゃって!」
「発射です」
そして黒い光が放たれた。それは一直線に貫きミケーネ軍を撃った。そしてその陣に大きな穴を開けたのであった。
「今です」
ルリが言う。
「ナデシコを前進させましょう」
「ええ」
そしてユリカはそれに頷いた。
「ナデシコ前進させて下さい。攻撃方向三六〇度」
「了解っと」
ハルカが操縦桿を動かす。そして大きく穴が開いた敵軍の中に入る。そしてミサイルを放つ。それでさらに攻撃を続けるのであった。
「マイク、私達も行きますよ」
「頑張っちゃうもんね」
ビッグボルフォッグと小隊を組むマイクも前に出た。
「それじゃあシステム・・・・・・」
「おっと、今回はその必要はないようですよ」
「あれっ!?」
「ほら、隊長が」
見れば凱は敵の真っ只中に突っ込んでいた。そしてその右腕に銀の武器を持った。
「ガトリングドライバァァァァッ!」
それで敵をまとめて粉砕する。突撃し、敵を数体まとめて叩き潰していたのであった。
「では私も。行きますよ!」
すぐに天高く跳んだ。
「必殺!大回転魔弾!」
それでやはり敵をまとめて倒していく。彼もかなりの戦闘力であった。
「皆凄いもんね!よしそれじゃあマイクも」
「マイク、遅れていますよ!」
「僕達もいるんだよ!」
氷竜達がもう前に出ていた。彼等は四機で見事なコンビネーションを見せながら敵を倒していく。
「おうよマイク、俺様の活躍を見ておけ!」
ゴルディマーグは砲撃で敵を屠っていく。
「そこでしっかりとな!」
「マイクだって!」
しかしマイクもそれで終わりではなかった。バリバリーンから出て叫ぶ。
「システムチェーーーーーンジッ!」
その後ろに十二機の兄弟達がやって来る。そして同時に変形する。
「いっくぜブラザー!」
「おう!」
ノリが変わった。そしてその振動波で敵を破壊していく。原子レベルでの破壊を受けミケーネの戦闘獣達はさらにダメージを受けていた。
「あのロボット達強いね」
「そやな」
トウジがシンジの言葉に頷く。
「あそこまでやるとはな。見上げたもんやで」
「けれど僕達もそうは言っていられませんよ」
そんな彼等に声をかける者がいた。
「カトル君」
「シンジ君も。頑張って下さいね」
「うん」
シンジはカトルのその言葉ににこりと笑って頷いた。
「カトル君が見守っていてくれているしね」
「いえ、僕はそんな」
シンジの言葉に顔を赤らめる。
「ただシンジ君が心配だから」
「カトル君」
「では僕達も行きましょう。ラシード、頼みますよ!」
「了解、カトル様!」
すぐにカトルの周りに四十機のマグアナック隊が姿を現わした。
「ここはお任せ下さい!」
「はい!」
そして一斉射撃を浴びせる。それで正面からもミケーネ軍を撃ち据えた。
「おのれっ、人間共め!」
それを見てドレイドウが呪詛の声をあげる。
「調子に乗っていられるのも今のうちぞ!」
「あら、そうかしら」
だがそれに応えるようにして光竜が出て来た。彼女と闇竜はダイターンやザンボットと一緒にいた。
「人間だけとは限らないわよ」
「私達心を持ったロボットもいましてよ」
「ええい、そんなことはどうでもいい!」
反論されて逆キレしてきた。
「どちらにしろ貴様等は倒す!今ここでな!」
「やれるものならやってみろ!」
洸が叫ぶ。
「このライディーンが相手になってやる!」
「ヌウッ!」
「ゴォォォォォッドゴォォォォォガンッ!」
ゴッドゴーガンをまとめて取り出す。
「重ね撃ちだああああああっ!」
「ヌオオオオオオオッ!」
それがドレイドウの周りを襲う。そしてドレイドウの部下達を倒していく。その攻撃はあまりにも見事であった。
「どうだ、ドレイドウ!ライディーンの力は!」
「ほざくな小童!」
だがそれでもドレイドウは怯んではいない。すぐに反撃に移る。
「貴様の相手はわしがしてやる!」
「来い!ここで仕留めてやる!」
ライディーンとドレイドウが戦いに入った。その横では光竜と闇竜が果敢に攻撃を仕掛けていた。今ロンド=ベルはその全ての力でミケーネと戦っていたのであった。
「よし、今だ!」
その中で二機のサイレーンが動く。そこには霧生とミスティがいた。
「ミスティ、あれを使うぞ!」
「ええ!」
そしてサイレーンから何かを発射する。それは一見するとファンネルに似ていた。
「何だありゃ」
ジュドーがそれを見て声をあげる。
「すぐにわかるさ」
「これなら」
二人はそれをどうやらサイレーン本機からコントロールしているようである。そしてそれで敵に向かわせる。
「行けーーーーーーーーーっ!」
「これなら!」
二人の叫び声と共に攻撃が仕掛けられる。そして敵を炎の中に沈めていくのであった。
「うわっ、また派手にやるよ」
ジュドーはそれを見てまた言った。
「バルキリーって大型反応弾だけじゃなかったのかよ」
「あれは弾数が少ないけれどこっちは派手にやれるぜ」
それに応えて霧生が言う。
「こういうふうにな」
「もっとも切り札みたいなものだからそうそうは使えないけれど」
「そんなもんか」
「ジュドー、あたし達もやるよ!」
「そこで見ていな!」
「うわっ!」
彼のダブルゼータの後ろからプルとプルツーの二機のキュベレイが出て来た。
「行くよ、プルツー!」
「合わせろよ、プル!」
「うん!」
「行け!」
「ファンネルオールレンジ攻撃!」
最後は同時に叫んだ。そして無数のファンネルが竜巻となり敵に襲い掛かる。その中では死の嵐が吹き荒れていた。
「こういうふうにね」
「何か御前等も強くなってきたな」
「何を言っている」
だがプルツーはジュドーに笑って返した。
「ジュドーだってこの程度はやれるだろう」
「つっても俺ファンネルついたのに乗ったことねえからな」
「あっ、そういえばそうか」
「ニューガンダムはアムロ中佐のだしな」
「まあこのダブルゼータがありゃ無敵だけどな。それじゃあ」
その額に光を込める。
「やってやるぜ!ハイメガキャノンいっけええええええええーーーーーーーーーっ!」
光を放つ。ダブルゼータもまた燃えていたのであった。
ロンド=ベルは全軍全力を出していた。そして数では負けていてもそのパワーで圧倒していた。
やはり側面から攻撃を仕掛けたのが正解であった。ミケーネ軍はそこから分断されその力を大きく減退させていた。そして前と左から炎の様な攻撃を浴びていたのであった。
「フフフ、それでなくては面白くはないわ」
暗黒大将軍はロンド=ベルの戦いぶりを見てほくそ笑んでいた。
「ロンド=ベル、そして剣鉄也よ」
彼は言う。
「よくぞここまで我がミケーネ相手に戦う!それは褒めてやろう!」
「暗黒大将軍!」
「だがそれもここまでよ!今こそわしの力を見せる時ぞ!」
そう言いながら前線に姿を現わす。
「誇り高きミケーネの戦士達よ、戦いはこれからだ!」
彼はまた言った。
「ここが正念場ぞ!今こそロンド=ベルを滅せよ!」
「ガオオオオオオオオオオンッ!」
その声を聞きミケーネの戦士達が咆哮する。そしてその戦意をあげたのであった。
「チッ、あいつが前線に出て来ただけでこれかよ」
それを見てイサムが舌打ちする。
「暗黒大将軍の力、依然健在といったところだな」
ガルドも言う。彼等もまたその周りに敵を置き果敢に戦っていた。
「暗黒大将軍、前線に出て来たのが貴様の運の尽きだ!」
しかし鉄也がそこにいた。
「剣鉄也!」
「今日こそ決着を付けてやる!来い!」
「望むところだ」
今二人は睨み合っていた。互いの周りにマジンガーチームと戦闘獣達がいた。
「皆下がってくれ」
だが鉄也は彼等を下がらせた。
「ここは俺がやる」
「頑張れよ、鉄也さん」
「僕達がいるからな」
「ああ」
鉄也は二人の言葉に頷いた。そしてゆっくりと前に出る。
「皆下がっておれ」
「はっ」
将軍達と戦闘獣達は暗黒大将軍の言葉に応えた。
「これは戦士と戦士、男と男の勝負。誰にも間に入ることは許さぬ」
「わかりました。それでは」
彼等も退いた。そしてグレートマジンガーと暗黒大将軍が対峙したのであった。
「貴様とこうして出会えたことは身にあまる幸福よ」
「言ってくれるな」
鉄也は強敵の言葉にそう返した。
「強敵と出会い、倒すことが武人の喜び」
「ならば俺も戦闘のプロとして相手をしてやる。それでいいな」
「無論、わしも容赦はせぬ」
そう言いながら剣を抜いた。
「正々堂々と、正面からこの力を見せてくれる」
「それは俺の台詞だ。行くぞ、暗黒大将軍」
「参る、剣鉄也」
両者は同時に前に出た。そして剣をぶつけ合う。銀の火花が戦場に散る。
まずは暗黒大将軍が押していた。その剣撃はグレートのそれよりも上であった。
縦に横に剣を振るう。そしてグレートを押していた。
「どうした、グレートマジンガー!」
彼は問う。
「その程度か!これはまだ序の口ぞ!」
「何のっ!」
だがグレートも負けてはいなかった。素早く後ろへ退く。
「ヌッ!」
「アトミックパンチ!」
そして拳を放つ。それで暗黒大将軍の顔を狙っていた。
だがそれは防がれてしまった。暗黒大将軍は剣でそれを防いだのであった。
「チイッ!」
「惜しいと言うべきか」
暗黒大将軍は拳がグレートの手に戻っていくのを見ながら言った。
「並の者ならば今ので死んでいた」
彼はグレートを見据えて言う。
「だがわしは暗黒大将軍だ。ミケーネの全軍を預かる者。そのわしに今の攻撃は通用せぬ」
「通用しないというのか」
「そうだ、剣鉄也よ」
彼は鉄也の名を言う。
「その力を全て出してみよ。そしてそれで以ってわしを倒してみよ」
「言われなくとも」
鉄也は前に出た。
「見せてやる。グレートマジンガーの力をな」
その上空に無気味な暗雲が浮かび出て来た。
「面白い、あれをやるつもりか」
暗黒大将軍はその雲を見て笑った。
「そうだ、行くぞ!」
鉄也は叫んだ。そしてグレートの右腕を掲げる。その人差し指に雷が集まった。
「サンダーブレイク!」
その雷を暗黒大将軍に放った。雷は複雑な動きを示し襲い掛かって来た。
「ヌオッ!」
「これでどうだっ!」
雷が撃った。だがそれでも彼はまだ立っていた。
「流石だと誉めておこう」
暗黒大将軍はニヤリと笑ってこう返した。
「グレートマジンガーの攻撃、さらに力をあげたな」
「サンダーブレイクを受けてもまだ立っていられるとはな」
鉄也は落ち着いた声でこう述べた。
「やはり暗黒大将軍、ミケーネの七つの軍を預かるのは伊達ではないか」
「その通りだ。では今度はこちらから行くぞ」
そう言うと攻撃の構えに入った。
「くらえっ!」
そしてその両目から光を放つ。破壊光線であった。
「この攻撃、かわせるか!」
「ヌウッ!」
グレートは左にそれをかわした。だがその右肩に攻撃がかすってしまった。
「チイッ」
「今のをかすった程度でかわすとはな」
暗黒大将軍はそれを見て言った。
「やはりできるな」
「貴様に誉められるとはな」
「だが悪い気はしまい」
「フンッ」
癪だがそれは認めるしかなかった。だがそれと戦闘はまた別であった。
「さて、次はどう出るのだ」
暗黒大将軍は問うた。
「これで終わりというわけではあるまい」
「当然だ」
鉄也は当然ながらまだ戦うつもりであった。
「やってやる。このマジンガーブレードでな」
「ではわしも剣を以って戦おう」
両者はまた剣を撃ち合った。その勝負もまた互角であった。力で押そうとする暗黒大将軍に対して鉄也は技でそれを凌いでいた。
「ほう、意外と技があるのう」
「貴様との戦いの結果だ」
鉄也は言う。
「今ここで勝負を見せてやる」
「ならば見せてやろう。来い」
彼等は撃ち合い続ける。そして戦いをさらに続けた。
だが鉄也は暗黒大将軍の横薙ぎをかわした後で後ろに下がった。何か考えがあるようであった。
「ムッ!?」
「ドリルプレッシャーパーンチ!」
左腕を放ってきた。だがそれは容易にかわされてしまった。
「この程度で」
「ならばこれはどうだっ!」
だが鉄也の攻撃はそれで終わりではなかった。次にその右腕を素早く動かしてきた。
「ヌオッ!」
マジンガブレードを放ってきたのだ。それは先程のドリルプレッシャーパンチとは比較にならないスピードで襲って来る。
そして暗黒大将軍の腹にあるもう一つの顔を正確に狙っていた。
「これならばどうだっ!」
鉄也は叫んだ。
「かわせはしまい!この勝負、俺の勝ちだ!」
「ヌウウ!」
確かにその通りであった。その速さは暗黒大将軍といえども避けられるものではなかった。
マジンガーブレードがその腹を刺し貫いた。その顔をも貫いていたのであった。
「グオオ・・・・・・」
「暗黒大将軍!」
それを見た七大将軍達が一斉に駆け寄ろうとする。だが彼はそれを制止した。
「いらぬ。来るな」
「しかし」
彼等はそれでも戸惑いを見せた。
「この傷では。わしはもう助かりはせぬ」
「将軍・・・・・・」
「剣鉄也よ」
そして鉄也に顔を向けた。
「見事だ。このわしを倒すとはな」
「一か八かの攻撃だった」
彼はそれに応えて言った。
「今のがかわされたらどうしていいかわからなかった」
「そうか」
「だがそれで勝負が決まるとはな。運が俺に味方したということか」
「だがその運を手繰り寄せたのは貴様の実力だ」
暗黒大将軍は言う。
「このわしを倒したこと、誉めてやろう。そしてこれは貴様に返そう」
マジンガブレードをゆっくりと引き抜く。そして念動力でゆっくりとグレートに向かって返す。
「安心して受け取るがいい。わしは勝者に対して姑息な真似はせぬ」
「そうか」
鉄也はその言葉を信じた。そしてマジンガブレードを受け取った。
「では有り難く返してもらうぞ」
「うむ。ではわしはそろそろ行くとしよう」
「将軍・・・・・・!」
「七大将軍達よ、後のことは頼んだ」
彼は最後の言葉を口にした。
「ミケーネのこと、頼むぞ」
そしてゆっくりと光に包まれた。爆発し、その中に果てた。その後には何も残ってはいなかった。これで暗黒大将軍は死んだのであった。
「全軍撤退だ」
ユリシーザが指示を下す。
「暗黒大将軍はなくなられた。これ以上の戦闘は最早意味がない」
「うむ」
「残念だがその通りだな」
他の将軍達もそれに頷くしかなかった。そしてミケーネ軍は撤退した。京都での戦いはロンド=ベルの勝利に終わったのであった。
「暗黒大将軍、敵ながら見事だった」
鉄也は先程まで暗黒大将軍がいた場所を見てこう言った。
「進むべき道を誤ったが。御前は確かに勇者だった」
「鉄也さん」
甲児がそんな彼に声をかける。
「だがこれで終わったわけじゃない。まだミケーネの奴等は健在だぜ」
「ああ、わかっている。戦いはこれからだ」
そう言った時だった。空に巨大なホノグラフィーが姿を現わした。
「ムッ!?」
「あれは!?」
「フフフフフ、久し振りだな兜甲児よ」
「その声、まさか」
甲児はその声に聞き覚えがあった。
「ドクター=ヘル、手前か!」
「フフフ、その通りだ」
ホノグラフィーは次第に実体となっていく。それと共に声もはっきりしたものになろうとしていた。
「だがその名は既に過去のもの」
「何だと!」
「今のわしは地獄大元帥という。闇の帝王様の忠実な僕よ」
「闇の帝王!」
「それがミケーネのボスってわけかよ!」
「左様。わしはあの時の戦いで貴様等に敗れた。だがこうして今再び復活してきたのだ」
「クッ!」
「何てしぶとい野郎なんだ!」
「凄いプレッシャーだ」
カミーユが遂に全身を現わした地獄大元帥を見て言う。
「しかも怒りと憎しみばかりの」
「もうこれは人間のものじゃないわ。憎悪の塊みたい」
フォウも言う。彼等は地獄大元帥にえも言われぬ禍々しいプレッシャーを感じていたのであった。
「ではまた会おうぞ」
地獄大元帥はそう言い残して戦場を後にしようとする。
「待て!もう行きやがるのかよ!」
「今日はほんの挨拶程度よ」
彼は言った。
「また会おう。その時こそあの時の復讐を果たさせてもらう」
「チッ!」
地獄大元帥は去った。だがそれはまた新たな敵の出現でしかなかったのであった。
暗黒大将軍を失ったミケーネ軍は地下帝国に戻っていた。そして七大将軍達はその中の一室で悲嘆にくれていたのであった。
「暗黒大将軍が」
「何ということだ」
彼等は口々にそう言い合った。
「この弔い、必ずや」
「うむ」
ここでアルゴス長官が部屋に入って来た。そして七人に対して言った。
「闇の帝王が御呼びだ」
「闇の帝王が」
「遂に復活されたのか」
「うむ。我等の新たな指揮官と共にな」
「新たな指揮官だと」
「そうだ。行ってみるがいい。よいな」
「うむ」
彼等はそれに従った。そして部屋を後にし闇の帝王がいる部屋に案内された。
「久し振りだな、七大将軍達よ」
「ははーーーーーーっ」
将軍達は巨大な炎の前に一礼した。それから挨拶を述べた。
「御機嫌麗しゅうございます」
「突然の御復活、何よりです」
「邪魔大王国の者達が力になった」
炎の中に邪悪な顔があった。そこから声がした。
「邪魔大王国の」
「左様、あの者達の死がな。我の復活の糧となったのだ」
「左様でございましたか」
「ところで暗黒大将軍が戦死したそうだな」
「残念ながら」
彼等はそれに頷いた。
「我等がいながら。申し訳ありません」
「よい。して最後まで戦って散ったのだな」
「はい」
将軍達はそれに応えた。
「武人として。誇りに満ちたものでした」
「そうか。ならばよい」
闇の帝王はそれを聞き満足したように頷いた。
「奴も戦場で死んだのなら本望であろう」
「はっ」
「その死は無駄にはせぬ。よいな」
「ではすぐにも」
将軍達はそう言っていきり立ってきた。
「弔い合戦はこのドレイドウに」
「いや、このハーディアスに」
彼等は口々に言う。だが闇の帝王はそれには決して乗ろうとはしなかった。
「待て」
彼はその将軍達を制止した。
「それは新たな指揮官に任せよう」
「新たな指揮官」
「アルゴス長官が言っていた」
「チッ」
ここで同席していたゴーゴン大公は舌打ちした。しかしそれは他の者には見えてはいなかった。
「来るがいい」
「ははっ」
闇の帝王の言葉に従う形で先程京都に姿を現わしたあの男が姿を現わした。
「紹介しよう、この男がこれからのミケーネの指揮官だ」
「地獄大元帥という。覚えておくがいい」
地獄大元帥は七大将軍を前にしてこう言った。
「地獄大元帥」
「そうだ、暗黒大将軍の後任はこの男とする」
闇の帝王はあらためて七大将軍に対して宣言する。
「では頼むぞ、地獄大元帥」
「お任せあれ。そして一つお願いがあるのですが」
「何か。申してみよ」
「はっ。ゴーゴン大公ですが」
彼はゴーゴン大公を見据えながら言った。
「この者を私の副官として頂きたいのですが」
「ゴーゴン大公をか」
「はい」
彼は答えた。答えるその目には邪悪なものが宿っていた。
「あしゅら男爵、ブロッケン伯爵まで復活させて頂き恐縮ですが。もう一つ我儘を聞いて頂きたいのです」
「ふむ、副官か」
闇の帝王はそれを聞き少し考える顔になった。
「アルゴス長官」
そして帝王はゴーゴン大公の上司であるアルゴス長官に問うた。
「上司である貴様の考えはどうか」
「私としては異論はありません」
長官は特に考えるところもなくこう返した。
「勝利の為ならば」
「ふむ、そうか」
闇の帝王はそれを聞いて頷いた。それからゴーゴン大公に顔を向けた。
「ゴーゴン大公よ、それでよいか」
「は、はい」
彼はそれに頷いた。だがそこには微かに戸惑いがあった。そして闇の帝王もそれに気付いた。
「わしの決定に不満があるのか?」
「め、滅相もありません」
帝王に逆らえる筈もなかった。これには彼も従うしかなかった。
「わかった。ではそれでよいか」
「はい・・・・・・」
「これで全ては決まった。では地獄大元帥よ」
「ははっ」
「暗黒大将軍の仇討ちは貴様に任せるぞ」
「お任せ下さい。では」
「うむ。ではこの戦いの傷が癒え次第弔い合戦を開始する」
「ははーーーーーーーーーっ」
地獄大元帥も暗黒大将軍もそれに頭を垂れた。
「そして今度こそこの地上を我がミケーネ帝国のものとする。よいな」
「御意」
暗黒大将軍を失ったとはいえミケーネ帝国はまだ健在であった。そしてなおも戦いを続けようとしていたのであった。戦いの神はいまだに人類を、そして他の者達をその支配の下に置いていたのであった。
第七十九話完

2006・3・10  
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