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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第七十六話 魔神皇帝

                第七十六話 魔神皇帝
マジンカイザーの力を解放することを決定したロンド=ベルは富士山麓にある光子力研究所に向かっていた。そこにマジンカイザーが封印されているからである。
「何か静岡に帰るのも久し振りだな」
「そういえば勝平君って静岡生まれだったわね
美久がそれを聞いて言う。
「どう?久し振りに帰って来た気持ちは」
「つっても港じゃねからな」
だが勝平は今一つ満足していないようであった。
「何か帰って来たっていう実感が湧かねえんだよな」
「そうなの」
「やっぱり静岡は海だよ」
彼は言う。
「海で漁をして。それが一番だよな」
「静岡つってもそれだけじゃねえだよ」
甲児がここで言った。
「他にも色々とあるんだからな」
「次郎長とかか?」
「それだけじゃなくてよ。ほら、何だ」
「蜜柑にお茶かな」
「そう、それそれ」
ビルギットの言葉に頷く。
「やっぱ静岡つったらそれだよな」
「それだよって今詰まってたじゃねえか」
ビルギットは今度は突っ込みに回った。
「しっかりしろよ。一応静岡人なんだろ」
「まあな」
「静岡か、何か懐かしいな」
話を聞いていた鉄也がふと言う。
「ベガ星連合との戦いの時のことを思い出す」
「あの時は鉄也さんも大活躍だったよな」
「甲児君もな。そして大介さんも」
「僕はそれ程役には立っていないよ」
だが大介は謙遜してこう言う。
「むしろ甲児君と鉄也君の方が」
「何言ってんだよ、ダイザーの力がなければ勝てなかったぜ」
「そうですよ。あの勝利は俺達マジンガーチームの勝利ですよ」
「そう言ってもらえると有り難いね」
「大介さんは俺達マジンガーチームのまとめ役なんだから」
「頼りにしてますよ」
「僕はチームのまとめ役か」
「リーダーがおっちょこちょいだからね」
「そりゃどういう意味だよ、マリア」
甲児はマリアにクレームをつけた。
「俺がおっちょこちょいだっていうのかよ」
「だってそのままじゃない」
「甲児君ってせっかちだし」
さやかも言う。
「周り見て行動しろってことよ」
「ちぇっ、マリアも人のこと言えねえだろうが」
「それもそうね」
「ちょっとちずるさん」
マリアは頷いたちずるに困った顔をする。
「そこで頷いてもらったら」
「マリアちゃんも無鉄砲なんだから。大介さんを心配させないでね」
「まあ僕はいいけれど」
「つまり似た者同士ってことね」
ジュンが言った。
「甲児君もマリアちゃんも」
「そういえば似てますよね」
「おっ、デメクサ珍しいな」
「静岡はいい魚がたくさんいると聞きましたので」
彼の関心はもっぱら魚にあった。
「ここはたっぷりと釣りたいなあ、と」
「そしてそれを肴に一杯」
「・・・・・・あんた本当に坊さんか?」
甲児はティアンに突っ込みを入れた。
「いっつも肉や酒ばっかやってけど」
「これも修業の為」
「どういうことだよ」
「あえて戒律を犯しているのよ。そしてそれを悔い改める為に修業をするのだ」
「本当かね」
「デメクサ殿、釣った魚は刺身に天麩羅といこうぞ!」
「いいですね、それ」
「しかも和食だし、それって」
シモーヌがそれに突っ込みを入れる。
「ティアンって和食も好きだったのね」
「フライやムニエルも好きじゃぞ」
「結局戒律破ってるし」
「酒は日本酒じゃ!今宵は宴じゃ!」
「静かに一杯がいいですね」
「そして酒は上方の酒やな」
「おっさん、何で上方なんて言葉知ってるんだよ」
ロドニーにマサキが突っ込みを入れる。
「きまっとる!この前日本におった時に飲んだんや」
「そういやそうだったな」
「地上の酒は美味い、特に日本の酒はな」
「やれやれ」
「将軍、けれどあまり飲まれると」
「おう、わかっとる」
エリスに応える。
「身体に悪いからな。そこは節制しとるで」
「はい。御身体にはワインの方がいいですよ」
「ワインか」
「日本には白ワインのいいのがありますし」
「そうやったんか」
「山梨のワインです。如何でしょうか」
「ええな。いっちょやったるか」
「そうですね。将軍に何かあっては大変ですから」
「何かあの二人最近妙に仲がいいな」
ファングがそれを見て呟く。
「何かあったのか」
「まああんたには関係ないかもね」
ベッキーが彼にそう言う。
「朴念仁にはね」
「また失礼なことを言うな」
「だってそうじゃない。まあそこが結構いいんだけれどね」
「フン」
「しかし静岡とは綺麗な場所だな」
ジノは窓から見える景色を見下ろして呟いていた。
「これはまた詩的な光景だ」
「静岡っていい場所で昔から有名だったんだよ」
そんな彼にミオが言う。
「そうだったのか」
「山も海もあるしね」
「ふむ」
「また俳句にするの?きっといいのが浮かぶよ」
「そうだな。じっくりと作ってみるか」
いつも持っている百合を顔に近付けて言う。
「地上を詠うのもまたよし」
「お魚ですか」
「プレセアさん捌いてくれますか?」
デメクサがプレセアに頼んでいた。
「あたしあまり生の魚は得意じゃないんですけれど」
「まあそう言わずに」
「刺身が出来た暁には御主が最も食べてよいからな」
「そんなに食べられないですし」
「酒もよいぞ」
「っておい、子供にそんなの勧めるな」
マサキが横から怒る。
「何かあったら大変だろうが」
「冗談じゃ、冗談」
「おめえのは冗談には聞こえねえんだよ」
「悲しいのう、冗談が通じぬとは」
「じゃあ前スキヤキの肉全部食ったのも冗談かよ」
「あれは修業」
「ヘッ、よく言うぜ」
「何かそんな話をしている間に到着したようだぞ」
アハマドが言った。
「おっ、もうかよ」
「うむ」
「ゲンナジー、いたのか」
ヤンロンがゲンナジーに気付いた。
「ゲンちゃんさっきからいたよ。黙ってただけで」
「いないのはザッシュだけ?何処行ったのかね」
「ここにいますよ、リューネさん」
「って今まで何処に行ってたのよ」
「偵察に。ちょっと出ていました」
「そうだったんだ」
「私もね。少し出掛けていたわ」
「テュッティも」
「静岡はお茶菓子も美味しいそうだからな」
「それとこれとは関係ねえんじゃねえか?」
マサキがそれを聞いて考える顔をする。
「何かずれてるなあ」
「まあ堅いことは言わずに」
「そうだな」
リューネに言われてとりあえずそれを止める。
「で、偵察で何かあったの?」
セニアが尋ねる。
「面白おかしくないことがありましてですの?」
「モニカ、文法がおかしいわよ」
「とりあえずはなかったです」
だがザッシュは真面目にそれに返した。
「光子力研究所の方でも喜んで迎えてくれるそうで」
「御父様元気かしら」
「そういえばさやかの御父さんが弓教授だったわね」
「ええ」
さやかはシモーヌに答えた。
「何か久し振りに会うけれど」
「御父さんも元気かな」
「甲児の親父さんもいたんだったな」
「おう、忘れてもらっちゃ困るぜ」
シローにこう返す。
「あんたの名前は俺の弟と同じなんだしな」
「そうだったのか」
「ああ。最初聞いた時はちょっと驚いたぜ」
「まあそういうこともあるな」
「声が似ている場合もあるわね。私とテュッティさんみたいに」
「お嬢様、御声のことは」
ノリスが注意する。
「お話がややこしくなりますので」
「あっ、すいません」
「まあ何はともあれこれでマジンカイザーが追加されるな」
「マジンガーはどうするんだわさ」
「ボスが乗るかい?あれだけの性能だし捨てるには惜しい」
「何かおいらが乗ると妙な気がするだわさ」
ボスは鉄也にこう答えた。
「それにボロットにも愛着があるだわさ」
「そうか。では乗らないんだな」
「暫く考えさせて欲しいだわさ」
ボスは即断を避けた。
「とりあえずじっくりと考えて」
「ボスも考えることあるんだね」
「意外って言えば意外」
「ええい、うるさいだわさ」
ヌケとムチャにこう返す。
「俺だって考える時があるだわさ」
「まあそれはマジンカイザーが解放されてからじっくり話そうぜ」
「そうね。マジンカイザーが加わったら戦力アップだし」
「これまで以上に派手に暴れてやるぜ」
「いや、諸君ちょっと待ってくれ」
ここでモニターに白い口髭を生やした端整な男性が姿を現わした。
「御父様」
「弓教授」
さやかと甲児が彼の姿を認めて言う。
「どうしたんですか、一体」
「ちょっと兜博士と三人の博士が出張でね。今は研究所にいないんだ」
「御父さんが?」
「ああ。ダカールまでね。明日には戻るんだが」
「それじゃあ今日の解放はなしですか」
「申し訳ないが。一日待ってくれるか」
「そうだったんですか」
「その御詫びと言っては何だがささやかな招待の場をもうけてある。今日はゆっくりしてくれ」
「何か肩透かし食らった気分だな」
「まあそう言うな甲児君」
鉄也が不満げな甲児にこう声をかけて宥める。
「こうしたこともある」
「それもそうか」
「まあ今日はゆっくりと休もう。ビッグファルコン奪回の祝勝も兼ねてね」
「そうね。今日はゆっくりと」
「飲むとするか」
「結局ティアンさんってそれしかないのね」
最後にプレセアの呟きがあった。いささか悲喜交々の状況で光子力研究所に向かうのであった。
到着までには全く時間はかからなかった。ロンド=ベルの七隻の戦艦は研究所の周りに集結した。だがここで思わぬ異変が起こってしまった。
「レーダーに反応!」
ミドリが報告する。
「西方に敵!ミケーネです!」
「ミケーネが!?」
「クッ、こんなところで!」
大文字とピートがそれを聞いて声をあげる。
「敵数約三百!こちらに向かって来ています!」
「いかん、総員出撃!」
大文字はすぐさま指示を下した。
「迎撃にあたるんだ!」
「了解!」
ロンド=ベルが出撃したと同時にミケーネ軍も戦場に姿を現わした。その先頭には超人将軍ユリシーザと怪鳥将軍
バータラーがいた。
「流石はロンド=ベルといったところか」
ユリシーザは既に陣を整えているロンド=ベルを見て言った。
「感心している場合ではないぞ、ユリシーザ」
そんな彼にバータラーが言った。
「奴等がいるとなれば脅威だ」
「何、心配することはない」
だがユリシーザは同僚のそんな言葉を意には介さなかった。
「ここにガイゾックも向かっているという」
「ガイゾックも」
「そうだ。奴等はそのままロンド=ベルに向かうだろう。そこで漁夫の利を得るのだ」
「ふむ。互いに戦わせて疲弊させるのか」
「どうだ?これならば問題あるまい」
「そうじゃな。ではまずは積極的な攻撃を控えるとしよう」
「うむ」
彼等はあまり前に出ようとはしなかった。ロンド=ベルはそれを見て不審に思わざるを得なかった。
「どういうことだ?」
鉄也はそれを見て眉を顰めさせた。
「動かないとは」
「いつもはあれだけ派手にやってきやがるってのによ」
「おかしい。何かあるな」
甲児と隼人も言った。
「ミドリ君、レーダーに反応は?」
「今のところは。いえ」
ここでミドリは気付いた。
「レーダーに反応です」
「敵の援軍か」
「いえ違います。これは」
ミドリはレーダーを見ながら言う。
「ガイゾックです。こちらにやって来ます」
「ガイゾック!?」
「最近なりを潜めていると思ったら」
「その数八百、かなりの数です」
「八百だって!?何処にそんな数があったんだよ」
「連中も戦力を蓄えていたってことだろうな」
勝平に対して宇宙太が言った。
「ちぇっ、ブッチャーの奴そんな知能があったのかよ」
「そんなこと言ってる場合じゃないわよ。来たわよ」
恵子が言う。それと同時にガイゾックのマシン達が戦場に姿を現わした。
「ホーーーーーーーッホッホッホ、久し振りじゃのう、奴等を見るのも」
「御意、ブッチャー」
「ここは派手にぶちかますとしようぞ。ギッザー、今持っておるメカブーストを全て出すのじゃ」
「御意、ブッチャー」
ギッザーはそれに応えた。そしてメカブーストを全て出撃させる。
その数はロンド=ベル、そしてミケーネを合わせたよりも多いものであった。その数だけで両軍を圧倒していた。
「ホッホッホ、これだけの数に向こうも焦っておるじゃろう」
「やはり来たな」
ユリシーザはそれを見て冷静に一言こう述べた。
「予定通りだ」
「ではまずは高見の見物とさせてもらうか」
「うむ」
彼等は動かなかった。とりあえずブッチャーは彼等は重要視していなかった。
「あの連中は後でよい」
こう言った。
「まずはロンド=ベルじゃ。よいな」
「御意、ブッチャー」
ギッザーがまた応えた。そしてガイゾック軍は光子力研究所の周りに展開しているロンド=ベルに対して向かって来た
のであった。
「糞っ、やっぱり俺達のところにかよ!」
サンシローがそれを見て忌々しげに言う。
「予想通りですね」
「ブンタ、右に行け!」
リーはすぐにブンタにこう言った。
「リーさん」
「俺は左に行く!ヤマガタケは中央だ!」
「わかった。それで何をするつもりなんだ?」
「三人でサンシローと大空魔竜を援護するぞ」
それがリーの考えであった。
「この二つを中心としてガイゾックにあたる」
「わかりました」
「ちぇっ、バゾラーじゃねえのかよ、中心は」
「まあまあヤマガタケさん」
ブンタが不満を漏らすヤマガタケに対して言う。
「敵の数も多いですし。ここは期待していますよ」
「ブンタ」
「頼むぞ、ヤマガタケ」
リーも言う。
「中央は任せた。思う存分やってくれ」
「おう、任せとけ」
そこまで言われると悪い気はしなかった。ヤマガタケはドンと胸を叩いて応えた。
「派手に暴れてやるぜ」
「よし、それじゃあいっちょ派手にやってやるぜ!」
サンシローにも気合が入った。
「ピート、いいな!」
「ああ、スタンバイオッケーだ」
ピートもそれに応える。
「早速来ているしな。サコン、ヴォークアイだ」
「わかった」
サコンがそれに頷いた。そして艦橋のボタンの中の一つを押す。
「頼むぞ、ピート」
「任せておけ」
腹部から出た頭部が合体する。そしてその目からレーザー光線が発せられる。
「まとめて始末してやる!」
光が数機のメカブーストを撃った。左から右へ。光が通った後はそのメカブースト達の爆発が起こった。
「見事だ、ピート君」
「安心するのはまだ早いです、博士」
だがピートはそれに喜んではいなかった。
「まだまだ来ますよ」
「ううむ」
見ればその通りであった。ガイゾックは全軍を以ってロンド=ベルを包囲殲滅せんとしていた。
「これを何とかしないと」
「そうだな。全軍に告ぐ」
大文字はまた言った。
「小隊単位で敵を狙え。そして少しでも数を減らすのだ」
「了解!」
それにショウが応えた。
「なら派手にやってやる!」
「やっちゃえ!ショウ」
「はああああああああああああっ!」
ショウは前に突っ込む。ビルバインのオーラソードが緑色に光る。
「まとめて斬る!」
「いっけええええええ!ハイパーオーラ斬りだああっ!」
チャムも一緒に叫ぶ。そしてショウのオーラソードが一閃した。
その剣は群がるメカブースト達をまとめて横薙ぎにした。あまりにも見事な太刀筋であった。
「これでどうだっ!」
「さっすがショウ!」
チャムの歓声が響く。ショウの剣技は相変わらず見事なものであった。
「見事なものだな」
それを見てニーが言った。
「ニー」
「俺達も負けてはいられない」
「私達だって聖戦士なんだからね」
キーンも言った。
「派手にやってやるわよ」
「まあ御前さん達は程々にな」
「言ってくれるわね、トッド」
キーンはショウと同じく前に出て来たトッドに対して言い返す。見ればトッドもショウと同じく敵を数機まとめて斬っていた。
「オーラ力の差ってやつがあるからな」
「それは私に対して言っているのか?」
「おっと、あんたもいたか」
ガラリアも出て来た。
「私も貴様やショウ=ザマ程にはやれるが」
「それじゃあ見せてくれよ」
トッドは挑発するように言った。
「御前さんの腕ってやつをよ」
「わかった」
ガラリアはそれに頷くとバストールを前に出してきた。既にその目の前にはメカブーストが固まって展開している。
「これでっ!」
そこに突進するとオーラソードを横に一閃させた。それはショウやトッドのそれと同じく緑に輝いていた。
結果は同じであった。メカブースト達が爆発していく。それで敵はまとめて撃破された。
「どうだ」
ガラリアは誇らしげにトッドに顔を向けて言う。
「見事なものだろう」
「お見事」
トッドは軽い声でそれに返す。
「どうやら俺もうかうかしていられねえようだな」
「トッドさんよお、こっちに来てくれ!」
「噂をすればかよ」
ナンガから呼び出しがかかった。
「フォローを頼む!派手に斬りまくってくれ!」
「了解、ショウ、マーベル、いいな!」
「わかった!」
「今行くわ」
「何かトッドって命令し慣れてるのね」
「これでも元将校なんでね」
アムにこう返す。
「あんたもあんたで慣れてるじゃねえか」
「あたしは盗賊の中にいたからね」
「そりゃまた物騒なことで」
「何だったらあんたの財布も頂戴するわよ」
「おいおい、スリかよ」
「冗談と。じゃあここは任せて」
「頼むぜ」
「このアム様の実力見せてやるんだから」
そう言いながらバスターランチャーを構える。
「とっとと死になさい!」
巨大な砲が敵をまとめて貫く。そして敵陣に大きな穴を開けた。
「この通りね」
「女ってのはやっぱり怖いね」
それを見てキリーが言う。
「けれどその怖いところが何とも」
「あら、女って優しいものなのよ」
そんなキリーにレミーが突っ込みを入れる。
「そしてか弱いものなんだから」
「レミーは例外だけれどな」
「御言葉ね、真吾」
「言葉は最高の賛辞ってね。言われるのが華」
「それじゃその花をここで咲かしてみようかしら」
華と花をもじってきた。
「華麗にね」
「よし来た。じゃああれをやるか」
「派手にね」
「一発やってくれ真吾」
「よし!」
真吾はレミーとキリーの言葉を受けてゴーショーグンを構えさせる。
「ゴーフラッシャーーーーーーッ!」
それで敵をまとめて潰す。ゴーショーグンもかなりの攻撃力を見せていた。
「俺だって見せてやるぜ!」
甲児も活躍していた。彼は群がる敵をものともせず薙ぎ倒していた。
「マジンガーの力をよ!」
「いや、待て甲児君」
だがここで弓教授から通信が入った。
「どうしたんです、教授」
「今見たところマジンガーは長い戦いで勤続疲労を起こしている。今これ以上の戦闘は危険だ」
「けれど今マジンガーがいねえと」
「ここは決断の時だ」
弓教授の言葉が強くなる。
「すぐに研究所に戻ってくれ。あれを出す」
「まさか」
「そうだ、マジンカイザーだ」
彼は言った。
「マジンガーを休ませなければならない今あれの力が必要だ」
「けれどマジンカイザーは」
「今の研究所の責任者は私だ、私が責任を持つ」
彼はまた言った。
「そのことは心配しないでくれ。いいね」
「了解。それじゃあそれに従います」
甲児はそのまま研究所に戻った。
「頼みます、教授」
「よし。ではマジンカイザー発進!」
研究所に入った甲児はすぐにバイルダーに飛び乗った。赤い禍々しささえ感じられるバイルダーが発進態勢に入った。
「今その力を解放する時だ!いいな甲児君!」
「勿論ですよ!」
甲児は有無を言わさぬ口調でこう返した。
「その為に来たんですから!」
「よし、バイルダー発進!」
教授も強い声で指示を出した。
「マジンカイザー、ゴーーーーーッ!」
バイルダーが発進する。そして研究所のプールが左右に開く。
「おお!マジンガーの発進だぜ!」
リュウセイがそれを見て嬉しそうに叫ぶ。
「まさかこんな間近で見られるなんてよ!」
「はしゃがないでね、リュウセイ」
そんな彼をアヤが窘める。
「今戦闘中だから」
「わかってるって!」
「わかってるとはあまり見えないのだがな」
ゼンガーがそれを見て呟く。
「だがリュウセイはそれでいい」
レーツェルが言う。
「彼らしいというものだ」
「何はともあれマジンカイザーが久し振りに出るのね」
「うむ」
ゼンガーは今度はヴィレッタに応えた。
「魔神皇帝の力、今解放されようとしている」
「それがどうなるか」
「人類を救うか、それとも新たな脅威となるか」
「だがそれを抑えるのは彼だ。甲児君!」
大介が甲児に声をかける。
「それは全て君の手にかかっている!今こそその力を使うのだ!」
「了解!」
「さあマジンカイザー今俺達の前にその姿を示せ!」
鉄也も言った。
「その力で!悪を倒すのだ!」
「行くぜマジンカイザー!」
甲児は今バイルダーをマジンカイザーの側に持って来ていた。
「御前の力、また見せてもらうぜ!」
そして合身する。全身に稲妻が走ったように見えた。
腕に力を込める。その目が光った。今魔神は目覚めたのであった。
「ヌウウ、マジンカイザーが復活したか!」
「怖気付いたかユリシーザ!」
「馬鹿を言え!」
ユリシーザはバータラーをキッと見据えて言い返した。
「わしとて七将軍の一人!怖れることなぞないわ!」
「では倒すのだな!」
「マジンガーを倒すのは我等ミケーネだ!」
彼は言う。
「最早ガイゾックは数ではない!時も来ておる!」
「では軍を向けるとしようぞ」
「うむ、全軍攻撃開始!」
ユリシーザは全軍に攻撃命令を下した。
「目標は光子力研究所、そしてマジンガーだ!」
彼は言った。
「容赦はするな!一気に叩き潰せ!」
それに従い全軍を以って攻撃を仕掛ける。ロンド=ベルはこれでガイゾックだけでなくミケーネとも戦うことになった。
「来たか!」
「よし、俺が相手だ!」
早速マジンカイザーに乗った甲児が前に出る。
「行くぜ」
そして魔神の身体の力を溜める。
「ファイアーブラスターーーーーーーーーッ!」
その胸から炎を放った。それはマジンガーのものとは比較にならない程強く、そして熱かった。
それでミケーネのメカを焼き尽くす。瞬く間に群がるミケーネの戦闘獣達が炎と化していった。
「おのれ!」
「ミケーネの奴等には負けないぜ!」
甲児は高らかに言った。
「俺とマジンカイザーがいる限りな!さあどんどん来やがれ!」
「おのれ言わせておけば!」
バータラーはそれを聞いて激昂した。
「ならば始末してくれる!全軍マジンカイザーに攻撃を集中させよ!」
「ヘン、何百機来ても一緒だぜ!」
「それは幾ら何でもまずいぞ、甲児君」
血気にはやる彼を大介が窘めた。
「僕達もいる。ここは協力させてくれ」
「大介さん」
「俺もいるしな。ここはマジンガーチーム総出で大暴れといこうじゃないか」
「鉄也さん!」
「私もいるわよ」
「サポートは任せて」
さやかとジュンも後ろにやってきた。
「甲児にばっかりいい格好させたら後で調子に乗るからね」
「大介さん、後ろにはいつもいるから」
「マリア、ちずるさん」
「おいらもいるわよ~~~ん」
「そういたボスもいるんだった」
「かぶとぉ、無二の親友を忘れるってのかよお」
「悪い悪い」
「何はともあれマジンガーチーム勢揃いだ」
「うん」
大介は鉄也の言葉に頷いた。
「それではやろう。甲児君、行くぞ」
「おう!それじゃあ皆で派手に暴れるぜ!」
「マジンガーの力見せてやる!」
「ボロットもあるわよ~~~ん」
彼等もまた総攻撃に出た。マジンガーの力はパイロットの能力が大きく影響するとされている。今それが完全にいい方向に出ていた。彼等はその腕でもミケーネを圧倒しようとしていた。
「ダブルハーケン!」
グレンダイザーがその斧を合体させる。そして戦闘獣を両断する。
「アトミックパーーーーーンチ!」
グレートマジンガーはアトミックパンチを放った。腕が戦闘獣の腹を貫く。一撃で屠ってしまった。
「おのれ、マジンガーめ!」
バータラーはそれを見て顔を歪めさせた。
「またしてもやってくれおる!」
「やはりここは我等が行くしかないようだな」
「うむ」
彼はユリシーザの言葉に頷いた。
「マジンガーは我等が止める!」
「ここで倒してやる!」
「やれるならやってみやがれってんだ!」
それを聞いた甲児が叫ぶ。
「このマジンカイザーを倒せるってんならな!」
「言わせておけば!」
バータラーが前に出る。
「ここで成敗してくれるわ!」
「成敗されるのはそっちだぜ!」
「剣鉄也、貴様の相手はこのユリシーザだ!」
「望むところ!」
鉄也もそれを受けた。
「ここで決着をつけてやる!」
「それはこちらの台詞よ!」
彼等も戦いをはじめた。その横ではガイゾック達もまだ残っていた。
「ホッホッホ、まだまだ面白くなりそうじゃて」
「ブッチャー、手前何を楽しんでいやがる」
勝平はそんな彼に対して問う。
「手前の面見てると無性に腹が立ってくるぜ」
「それはよいことじゃ」
「何だとっ!?」
勝平はそれを聞いていきり立つ。
「そりゃ一体どういう意味だ」
「それこそがガイゾックの狙いじゃて」
「狙い!?」
「人が怒り、醜い心を曝け出すことがのう」
彼は言う。
「わしの無上の喜びなのじゃ。ガイゾックのな」
「ガイゾックの」
宇宙太はそれを聞いて考える顔になった。
「どういうことだ、それは」
「それを言う必要はない。わかるかな」
「ヘッ、単なるハッタリかよ」
「いや待て、勝平」
だが宇宙太はそうは見てはいなかった。
「違うってのか?」
「何か引っ掛かる。あいつは何か隠していやがる」
「何かって」
恵子もそれに問うた。
「何なのかしら」
「今はわからないが。何かな」
宇宙太は考えながら言った。
「こいつは絶対何か隠してやがるぜ」
「ホッホッホ、何かを探っておるようじゃな」
「それがわかってたら苦労しねえぜ」
「よいことじゃ」
「手前ふざけるのもたいがいにしやがれ」
「よせ勝平、ここは抑えろ」
宇宙太はいきり立つ勝平を止める。
「どのみちこいつ等とも決着をつける時が来る」
「クッ」
「その時でもいい、謎を解くのはな」
「わかったよ。今は大人しくしてりゃいいんだな」
「適度に暴れてくれればいい」
「了解、それじゃあ地味に暴れてやるぜ」
「大丈夫かしら」
「さて、メカブーストも減ったことじゃし」
ブッチャーは戦場を見渡して言った。
「わしはここで撤収させてもらうとするか。ではな」
「待て、逃げるのかよ!」
「逃げるのではないのじゃ、これが」
ブッチャーは勝平に言い返した。
「転進という。わかるかのう」
「屁理屈こいてんじゃねえ!今度会った時は覚えてやがれ!」
「忘れるように努力するわい。それではな」
こうしてブッチャーとガイゾックは戦場を離脱した。こうしてまずはガイゾックが戦場から消えた。
「ブッチャー、見ていやがれ」
勝平は消え去ったガイゾックに対して言った。
「今度会ったら手前のどてっ腹に大穴開けてやるからな」
「それにしてもガイゾックは何を隠しているんだ」
宇宙太はまだ考えていた。
「何か。何かに似ている様な気がするんだが」
「宇宙から来ているのにバルマーともバームとも関係がないみたいだし」
「宇宙か」
彼は恵子の言葉に反応した。
「何かあるの?」
「いや、そこに何かあるかも知れない」
彼は広大な宇宙にあるものを見ていた。
「そこに答えが」
「答え」
「案外何かの化け物みたいなのだったりしてな」
「そんなわけないでしょ」
「いや、案外そうかも知れないな」
恵子は勝平の何気ない言葉に対して咎めた。しかし宇宙太はそこに見るべきものを見出していた。
「連中は。確かなことはわからないが」
「そうなの」
「これからガイゾックも調べる必要があるな」
「そうね。敵を知り己を知ればって言うし」
「一戦危うからずだったな」
「それを言うなら百戦危うからずでしょ」
最後にまた恵子が突っ込んだ。勝平はやはり勝平であった。
「ヘッ、ガイゾックもいなくなっちまったしここはもう派手になるぜ!」
「やるんだね、忍!」
「おう、やってやるぜ!」
ダンクーガは敵の真っ只中で大暴れしていた。派手に断空剣や断空砲を撃ちまくり、斬りまくっていた。
「一気に決めてやるぜ!」
「藤原、後ろは任せろ!」
アランも戦場にいた。
「この程度の敵なら!」
「アラン、頼むよ」
「ああ」
雅人の言葉に応える。
「マジンカイザーも加わったしな」
「マジンカイザーか」
亮はここでそのマジンカイザーを見た。
「久し振りに見たが相変わらずのパワーだな」
「そうだな」
アランがそれに頷く。
「圧倒的なパワーだ。まるで全てを破壊するような」
「ダンクーガとそこは似てるね」
沙羅も言った。
「凄まじいパワーが」
「ダンクーガは獣性をその源にしているがマジンカイザーは別の力を使っている」
弓教授が彼等に言う。
「別の力」
「そう、それこそがマジンパワーだ」
彼は言った。
「マジンガー、そしてグレートマジンガーに備わっているマジンパワー、それはこのマジンカイザーにも備わっている」
「そうか、だから戦う度に強くなっていたんだな」
「そうだ。甲児君、その力を正しい方向に使ってくれ」
「勿論ですよ、博士」
「君ならば出来る。だからこそ魔神を解放したのだからな」
「ええ、そして」
「世界を救うのだ」
「よし!行くぜミケーネ帝国!」
マジンカイザーの全身に稲妻が宿った。
「魔神の力、たっぷりと見せてやるぜ!」
「おのれ兜甲児!」
それを聞いたバータラーが激昂する。
「我等を侮るか!かくなるうえは!」
「待て、バータラー」
だがここでユリシーザが血気にはやる彼を止めた。
「何故止める」
「暗黒大将軍からの御命令だ」
「暗黒大将軍からの」
「そうだ、名古屋に向かえとのことだ」
「名古屋に?何かあるのか?」
「詳しいことはわからん。行ってみなければな」
「わかった。ではここは下がるか」
「うむ」
「兜甲児よ」
彼は甲児とマジンカイザーを見据えて言った。
「この勝負預けておく。命拾いしたな」
「ヘッ、それはそっちだろ」
「今のうちに言うがいい。どのみちこの地球は我等ミケーネのものとなる運命」
「悪いがそれは間違いだぜ」
「言うがいい。ではさらばだ」
「剣鉄也、そしてデューク=フリードよ」
今度はユリシーザが言った。
「また会おう。今度会った時こそが貴様等の最後の時だ」
いささか決まり言葉になった言葉を言い残して彼等は去った。こうして光子力研究所での戦いは終わったのであった。
「何かやけにあっさりと終わっちまったな」
「連中にとっては予想しない戦いだったんだろうな」
鉄也が甲児に対して言う。
「俺達が来ることは予想してなかったってことか」
「ああ。だから戦力もあまりなかった。ただ」
「ただ?」
「気になるな。名古屋がどうとか言っていた」
「名古屋で何かあるのかね」
「そこまではわからない。だが調べてみる必要はあるな」
「そうだな。次は名古屋での戦いとかにならなきゃいいけどな」
「ああ」
「何はともあれ研究所が無事でよかったわ」
さやかは安心したようにこう言った。
「御父様も無事だったし」
「おかげで助かったよ、さやか」
「元気そうね、御父様も」
「さやかもな。やはりロンド=ベルに行かせたのは正解だったな」
「楽しくやってるわよ、それなりに」
「けれどさやかさんって口うるさいからなあ」
「甲児君が悪いことばかりするからでしょ」
「ちぇっ、俺って何か弟みたいだな」
「ふふふ、確かに甲児君にはそういうところがあるな」
「鉄也さんまで」
「俺にとっても甲児君は弟みたいなものさ」
「パートナーじゃないのかよ」
「勿論パートナーだ。けれどそれだけじゃない」
彼は言う。
「それ以上のものなんだ。同じマジンガーのパイロットとしてな」
「鉄也さん」
「そして僕にとっても同じだな」
今度は大介が言う。
「甲児君も鉄也君も。兄弟さ」
「じゃあ大介さんが長男かな」
「俺が次男で」
「おいおい、それじゃあ僕が年寄りみたいじゃないか」
「実際に一番年上だし」
「まあまとめ役なのは事実ですね」
「何かな。僕はそういう役回りなのかな」
「大介さんはしっかりしているから」
「ちずるさん」
「皆が頼りにしているってことよ」
「有り難いな。それは」
これは皮肉ではなかった。大介は皮肉を言うような男ではない。
「皆がいてくれることは」
「君達のおかげでベガ星連合軍にも勝てたしね」
弓教授は大介にも言った。
「これからもマジンガーチームには頑張ってもらうよ」
「はい、任せて下さい」
「ミケーネだろうが鬼だろうが」
甲児がまた言う。
「誰だろうがこのマジンカイザーが相手になってやるぜ」
「おいおい、それでも突っ走らないでくれよ」
「突っ走るのが俺の流儀さ」
「やれやれ」
鉄也と大介はそんな甲児を見て困った様な笑みを浮かべた。だが悪い気はしなかった。
彼等はそのまま名古屋に向かおうとする。だがここで急報が入った。
「今度は早乙女研究所か!?」
「はい、どうやら」
マヤが大文字にそう報告する。
「今度もどうやらミケーネの様です」
「二正面作戦というわけか」
「おそらくは」
マヤは大文字に対してまた言った。
「どうされますか」
「放っておくわけにもいくまい。すぐに早乙女研究所に向かおう」
「はい」
「名古屋のことも気になるがな。そちらはまだ時間があるようだ」
「わかりました。では早乙女研究所に」
「うむ」
「待って下さい」
ここで竜馬がモニターに現われた。
「どうしたんだ、リョウ君」
「早乙女研究所に向かうんですよね」
「うむ、そうだが」
「俺達を先に行かせてくれませんか」
「先に。何かあるのかね」
「はい」
竜馬はその言葉に頷いた。
「さっきの甲児の戦いでわかったんです。俺達もここままじゃいけないって」
「それで。ゲッターの力を解放することにしたんです」
隼人もモニターに出て来た。
「ゲッターの力」
「そう、真ゲッターの力を」
竜馬の声が強いものとなっていた。
「あの力は今こそ解放する時です」
「行かせて下さい。そしてゲッターを」
弁慶も言った。
「いいのだな」
「はい」
竜馬は頷いた。
「あの恐ろしいまでの力、必ず使いこなしてみせます」
「そして人類を」
「わかった。そこまで言うのなら私に異論はない」
大文字もそれを認めた。
「先に行ってくれ。そしてゲッターを」
「はい」
こうして彼等は先に早乙女研究所に向かうことになった。封印されし悪魔の力を手に入れる為に。
第七十六話完

2006・2・26  
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