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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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番外編 バトルジャンキーと黄巾の乱

 
前書き
孫策編です。 

 
潁川郡の長社の城に篭って、早二ヶ月、体が鈍って苦しい毎日だったわ。

それも今日で終わりと思った矢先・・・・・・。

やっと、戦闘ができると思ったのに朱儁の糞爺、臆病風に拭かれて尻込みするし、頭にくる!

朱儁は態勢が決まってから、参戦したからあんまり旨味がなさそうだけど、この怒りを賊にぶつけてやるわ!

「ふふ、獣共はこの孫伯府に大人しく殺されなさい!」

私は剣の刃をひと舐めすると、賊達を斬り殺していった。

所詮、農民や夜盗あがりの賊ではこの私の相手じゃないわ。

ホラ、ホラ、もっと抵抗しないさい。

あまり歯応えがないんじゃ、私が楽しめないじゃない。

私は演舞の如く剣を振り回し、斬り掛かってくる賊達を次々にもの言わぬ人形に変えて行く。

「ヒィィー! なんなんだこの女!」

私の周囲を囲む賊の後ろで身なりが整っている男が私を見て怯えていた。

「ふふ、あなたがこいつらの頭なわけね」

私は猛禽の目つきでその男を一睨みすると、周囲の賊を飛び越え彼の元に斬り掛かった。

「ガハッ! な、何が・・・・・・」

私が斬り殺そうとした男の首に矢が刺さっていた。

「誰よ! 人の獲物を奪ったのは!」

私は後ろから襲いかかってきた賊達をナマス切りにしながら、矢を射った人物に向け悪態をついた。

「策殿、すまん、すまん。手元が滑ってのう。うっかり、射殺してしまったわい」

矢を射った人物はうちの古参の祭だった。

「祭、あなたねぇ。何すんのよ。すっごく消化不良な気分になっちゃたじゃない」

祭をジト目で見つつ言った。

「ほれ、危ないぞい。文句は戦の後に幾らでも聞いてやるわい」

祭は矢を3本一度に放ち、私に斬り掛かってきた賊を絶命させた。

「まあ、いいわ。お酒、奢ってくれれば、チャラにして上げるわ」

私は祭に軽く笑って言った。

「お易い御用だ! 堅殿の名でつけて飲みあかそうではないか。ハハハハハハ――――――!」

祭は豪快に笑って、賊共を射殺していった。

「お前等、誰の奢りで飲むって・・・・・・」

いきなり目の前にいた賊5人が斬り殺された。

「こ、これは堅殿・・・・・・。ご機嫌麗しゅう」

祭は駆け足で賊達の中に乱入していった。

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! ずるいわよ・・・・・・。あの、紅蓮(こうれん)母様、目が恐いよ。さっきは祭の冗談なんだからさ・・・・・・。あ、危ない!」

私が紅蓮母様に言い訳をしていると賊が襲ってきた。

「五月蝿い!」

紅蓮母様は南海覇王でその賊を頭から真っ二つにして斬り殺した。

ちょ、何なの・・・・・・。

私の母ながら凄過ぎ・・・・・・。

「話は後だ。今から、私と一緒に破才を殺しにいくぞ」

紅蓮母様は真剣な表情で私に言った。

「破才? それ誰だっけ」

「今、戦っている黄巾賊の頭だろうが! あいつの首があれば大守も夢じゃないぞ」

紅蓮母様は猛禽の目つきに黄巾賊が密集している奥を見た。

「その・・・・・・、あの中に行く訳? 無理じゃないかな」

流石に無理でしょ。

軽く見積もっても5000人は居ると思う。

「お前は黙ってついてくればいいんだよ!」

私は紅蓮母様に手を掴まれ引っ張られた。

「わかったわよ! やればいいんでしょ」

私と紅蓮母様は黄巾賊の厚い壁を突破するべく、無謀にも斬り込んだ。

何か凄く嫌な感じがするのよね。

紅蓮母様に言っても聞く耳持たないだろうけど・・・・・・。

「ハハハハハハッ――――――! 退け、退け! お前等、雑魚が孫文台の前に立ちはだかるなんて、百年早いんだよ!」

紅蓮母様は狂気に満ちた表情で笑いながら、賊を草を刈るが如くに殺して言った。

「楽しまなきゃ、損だよね! アハハハハハハ――――――! 賊ども死んじゃいなさい!」

私は血の臭いに当てられ、押さえられない高揚感を賊達に叩きつけた。

「ギヤァァア――――――!」

「い、痛でぇ、痛でぁ――――――!」

私と紅蓮母様は血飛沫舞う戦場でただひたすら賊達を殺し続けた。

「お前達、怯むな! 如何に強いといっても所詮は2人。密集して息を会わせて斬り掛かれ!」

時間を忘れて賊を殺していた私達の前に、いつの間に現れたか分からないが馬に乗る黄巾の将校が兵に指揮を出していた。

その将校が指揮を初めてから、私達は徐々に窮地に追い込まれた。

賊は一糸乱れぬ動きで密集陣形を組んで私達に襲いかかってきた。

「く、糞が――――――! 私は孫文台だ。貴様、名を名乗れ!」

紅蓮母様は賊の動きに苛立ちながら、将校に名前を聞いた。

「我が名は破才。この軍の将軍だ」

「フハハハハハハ――――――! お前が破才だと。この私と勝負しろ!」

紅蓮母様が破才に南海覇王を突きつけ一騎打ちを申し出た。

「生憎だが、その申し出を受ける気はない。下らぬ誇りの為に兵士達を危険に晒す訳にはいかない。お前にはここで死んで貰う。この2人を殺せ」

破才は一騎打ちを断ると、兵士達に命令を出した。

「破才、卑怯者――――――! 部下共々、皆殺しにしてやる!」

紅蓮母様は目を血走らせ、前にも増し激しく賊に斬り掛かった。

「紅蓮母様、危ない!」

紅蓮母様が深く敵陣に斬り込んだのを狙ったように、兵士達は後方に一段下がった。

そこに紅蓮母様は飲み込まれるように引き寄せられると同時に、賊に痛撃を浴びせられた。

「かはっ・・・・・・」

紅蓮母様は脇腹に刃を受け膝を着いた。

「お前等、よくも紅蓮母様を――――――!」

私は紅蓮母様を助けるために斬り込んだけど、賊達が邪魔で上手く進めない。

「策殿、今の内に堅殿を担いで逃げるのじゃ!」

祭の声が聞こえたかと思うと矢が賊達を殺していった。

私は兵士達が怯んだ隙に母様を抱えて、その場から撤退した。

私達が撤退しようとしたら、皇甫嵩率いる騎兵が破才の賊達に一斉に襲いかかっていった。

「くっ! もう少しだったのに」

私は舌噛みしながら、紅蓮母様を抱えて城に向かった。

「策殿、堅殿の容態はどうじゃ」

祭が私に近寄ってきた。

「わからない。でも早く医者に見せないと。祭、手伝ってくれる」

「糞っ! 皇甫嵩の奴に手柄を横取りされたじゃないか。雪蓮、何で破才を殺さなかったんだ!グハッ・・・・・・」

紅蓮母様は苦しそうな表情をしながら私に愚痴を言った。

「紅蓮母様、傷が開くから黙っていて」

「さっさと、治療しろ」

「堅殿、それは無理じゃよ」

祭はヤレヤレという表情をしながら紅蓮母様の左肩を持った。

城に戻って紅蓮母様の傷を見せたら、相当深い傷だったので、暫く安静にしなくてはいけなかった。

後から聞いた話だが、破才を討ち取ったのは予想通り皇甫嵩だった。

紅蓮母様がその話を聞いたら怒り心頭で機嫌が凄く悪かった。

酒を持ってこいって叫んでいたけど、流石に病人に飲ませるわけにはいかない。

宥めるのに一苦労だったわ。 
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