髑髏天使
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第五十四話 邪炎その十五
「その余の炎を消すにはその矢達はだ」
「弱いか」
「そうだ、弱い」
まさにそうだと言ってであった。
矢達の対してだ。目を向けた。するとだ。
氷の矢達がだ。一斉に溶けた。炎に包まれそれでだ。
全て溶かしてしまってから。神はまた言った。
「この通りだ。弱いのだ」
「言葉には嘘はないか」
「神は嘘を吐くことはない」
この神もまた、だった。こう言うのであった。
「見たままだ。貴様の氷は弱い」
「そう言えるか」
「より強い氷でなければ我は倒せない」
神の言葉は続く。
「それは言っておこう」
「話はわかった」
今度は死神だった。その大鎌を巨大化させている。
鎌の刃がだ。持ち主の十倍程度の大きさになっている。禍々しく曲がっているその刃がだ。青白い、冷たい光を放っていた。
その青白い鎌を持ちだ。彼は神に言うのであった。
「ではこれはどうだ」
「氷の鎌か」
「氷の矢では貴様は倒せない」
それは今見てわかったことだ。
「だが。この鎌ならばだ」
「余を倒せるというのか」
「少なくとも矢よりは効果がある」
大きさも威力も違う。だからだというのだ。
「それでだ。貴様をこれでだ」
「いいだろう。ではだ」
「受けるがいい」
死神はその鎌を横に一閃させた。それでだった。
神を斬る。その氷だ。
確かに両断した。だが。
神はだ。白い、炎と氷がぶつかることによってできる蒸気を出しながらもまだそこにいた。両断されたがだ。身体は元のままそこにいた。
そのうえでだ。死神に対して言うのであった。
「確かに威力はある」
「それでもか」
「余を倒すまでではない」
そうだというのであった。
「残念だったな」
「貴様の力は。そこまで強いか」
「火を消すことは容易ではない」
神は髑髏天使に言ったのとほぼ同じことを死神にも述べた。
そのうえでだ。彼はだ。
その目を灰色の、不気味な闇にも似た光で輝かせながらだ。髑髏天使達に対して言うのであった。その言う言葉はこうしたものだった。
「ではだ。次はだ」
「貴様か」
「貴様が攻める」
髑髏天使と死神はやや距離を置いて横に並んで宙にいる。そのうえで神に対して言った。
「そうだな」
「そうするのだな」
「その通りだ」
まさにそうだという神であった。
「次は余の番だ」
こう言うとであった。すぐにだ。
辺りをだ。炎の渦が巻き込んだ。次から次にだ。
それが起こりだ。髑髏天使達を襲う。炎達は無数の蛇となりだ。魔神達も襲う。それを受けてだ。クマゾッツがその炎をかわしながら言った。
「この炎もだね」
「そうですね」
百目はその無数の目から光を放ちだ。その光で炎を打ち消しながら彼の言葉に応える。
「生きていますね」
「これまでの。風や地と同じで」
「神の意志で動きます」
「厄介な話だよ。本当に」
「しかもです」
百目の言葉は続く。
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