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髑髏天使

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第五十四話 邪炎その十六


「この炎は普通の炎よりも熱いですね」
「白い炎よりも」
「そうです、この灰色の炎は」
 まさにだ。神のその炎はというのだ。
「赤いものや青いものはおろか」
「白い炎よりも」
「熱いです」
「そんなに凄いんだね」
「触れれば。いえ」
 百目の言葉は確かなものだ。
「かするだけで、です」
「焼けちゃうんだね」
「そうなります。気をつけて下さい」
「わかったよ。それじゃあね」
「かわされるのは危険です」
 百目のクマゾッツへの忠告であった。
「ご注意を」
「そうだね。それじゃあ」
 クマゾッツは百目の言葉を受けてかわすのを止めた。それでだ。
 そのうえでだ口から光を放ってだ。それで炎を相殺するのだった。
 彼等はそれで防戦一方になっていた。そしてそれは。
 髑髏天使と死神もだった。彼等もだ。
 それぞれ周囲に水の防壁を出し炎の攻撃を防いでいた。そうしながらだ。
 神の隙を窺う。しかしだった。
 その隙は見えなかった。全くだ。
「まずいな」
「そうだな。隙がない」
「これはだ。思った以上にだ」
「厄介か」
「この攻撃はだ」
 また話す神だった。
「これで終わりではない」
「増えるか」
「そう言うのか」
「そうだ、増える」
 こう話すのだった。
「実際にそうしてみせよう」
 言葉と共にであった。その炎がだ。
 さらに増えた。髑髏天使達がいるその空間にだ。炎の渦が増す。そしてそのうえでだ。髑髏天使や魔神達をさらに襲うのであった。
 魔神達は最早相殺させることを諦めてだ。そのうえでだ。
 彼等も光を出しそれで炎を防ぐ。光の球体の中に入ってだ。そのうえで防いでいるのだった。
 だがそれで精一杯だった。防ぐことでだ。
「力も何もかもな」
「この防壁に使うしかない」
「どうする?ここは」
「このまま防ぐだけしかできないのかしら」
「そうだ、その通りだ」
 魔神達にだ。神が告げる。
「そしてその球体もやがて壊れる時が来るな」
「確かにな。それはだ」
「このままではね」
「この球体も壊れる」
「そうなれば」
「余の勝利だ」
 神は簡潔に言った。
「このままだ。貴様は死ぬ」
「そうだな。このままではな」
「我々の敗北だ」
 髑髏天使と死神が神のその言葉に応えた。
 二人はそれぞれ水の球体の中に入って炎を防いでいる。炎と水が打ち合い蒸気が沸き起こる。蒸気のその色は白かった。
 その蒸気の中でだ。彼等は神を見ていた。そしてだった。
 強い目でだ。彼等は言った。
「だが、だ」
「このままやられるつもりはない」
「倒せない敵なぞいない」
「だからこそな」
「ではどうするつもりだ」
 神は二人の言葉を受けてだ。その灰色に濁った光を放つ目を向けた。
「この状況から。どうして勝つつもりだ」
「まずはだ」
「こうさせてもらう」
 二人はそれぞれの言葉と共にだ。 
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