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髑髏天使

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第五十四話 邪炎その十四


「今からだな」
「そうだ、行くぞ」
「そうさせてもらうぞ」
 牧村は両手を拳にした。そして死神は右手をだった。
 それぞれの胸の前にやってだ。青白い光、白い光に包まれた。
 そうして髑髏天使、戦う姿になった。それからだ。
「行くぞ」
「刈らせてもらう」
 髑髏天使は開いた手を拳にして握り締め。死神が右手に持った鎌を一閃させる。そのうえでだ。彼等はそのうえで、なのだった。
 髑髏天使は黄金の六枚羽根になった。死神は漆黒の戦う姿になった。それからだ。
 神に向かう。空を舞い一気に突き進む。
 魔神達もだ。突き進みながら攻撃を繰り出す。
 だが、だった。神にはだ。攻撃が通じないのだった。
「この程度ではな」
「やはりですね」
「通じないか」
「そうだというのか」
「そう言うのか」
「そうだ、この程度の攻撃ではだ」
 神もだ。こう話すのだった。
「全く通じはしない」
「相変わらずしぶといね」
 クマゾッツが彼に対して言う。
「本当にね」
「そう言うのか」
「うん、残念だけれどね」
 それでもだというのであった。そしてだ。
 他の魔神達も攻撃を浴びせる。それぞれの手の平や口から光を放つ。それ等の光は神に当たりはする。しかしそれでもなのだった。
 神はだ。全く通じていないのだった。
「効いていないわけではないでしょう」
「そうね」
 九尾の狐が百目に対して述べた。
「全然ではないわね」
「少しでも効いています」
 そうだというのであった。
「本当に僅かですが」
「けれどその僅かがね」
「積もり重なればです」
 それが彼等の狙いであった。
「少しずつ攻撃を浴びせていきましょう」
「そうだな。それにだ」
 ウェンティゴはだ。髑髏天使と死神を見た。
 神に突き進む彼等を見てだ。こう言うのであった。
「貴様等だ」
「俺達か」
「私達が決めるというのだな」
「少なくともそのつもりだな」
 こう彼等に言うのであった。
「そうだな」
「勝つ。そのつもりだ」
「そうした意味ではそのつもりだ」
「だからだ。貴様等も攻撃を加えてだ」
「この神も倒す」
「そうさせてもらおう」
 二人は動く。まずはだ。
 髑髏天使は己のその周りに無数の氷の矢を作った。それをだ。
 神に対してだ。一斉に放つのだった。
 神はそれを見てだ。静かに言うのであった。
「火には氷か」
「そうだ、弱点のないものなぞいない」
 だからだというのである。
「この氷ならばだ。どうだ」
「確かに火は氷に弱い」
 神もそのことは認めた。そのことはだ。
「だが、だ」
「だが、か」
「火を消す氷は弱くては話にはならない」
「それなりの力か」
「余の炎は混沌の炎の全てだ」
 そこまで強いというのだ。 
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