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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第61話 火縄銃を超える銃

私は洛陽のはずれにある兵器工場に真桜を訪ねました。

真桜に頼んでいた銃が出来あがったそうです。

近代の銃を依頼して一月で製造するとは流石と言えます。

彼女の螺旋槍は明らかにオーバーテクノロジーなのでこの位できると思っていました。

それに旧式の銃とはいえ、銃の部品製造になれた職人もいたことも大きいでしょう。

後は大量生産に持って行ければと思います。

兵器工場は外からみると廃墟のように偽装していますが、内装は重厚なつくりをしています。

森が近いので製鉄に必要な炭も手に入り易いです。

「正宗様、こっちこっち!」

兵器工場に足を踏み入れると真桜が手招きして私を呼びました。

「銃が出来たと聞いて見せてもらいにきた」

「へへ。正宗様、これがご要望の品やで」

真桜は自慢げに両手で銃を持って渡してきました。

「弾はあるのか?」

「当然やろ。弾がなくて銃といえる訳ないやろ。しっかし、金属薬莢やったか?あれを作るのほんまに骨折れたわ」

真桜は苦労話をしつつもすこぶる機嫌良く言いました。

私は彼女から弾を受け取り出来を確認しました。

外見はもうし分ないと思いました。

後は実際に使い物になるかです。

「真桜、試し撃ちをしたいんだがつき合ってくれるか?」

「ええよ。そうやウチ等と一緒に班長を何人かつれいこうか。正宗様の意見を聞きたいといっていたさかい」

「構わない」

私は真桜と製造に関わっている班長数人を連れ山奥に移動しました。





一刻程山奥を移動して真桜達がいつも使用している射撃場に移動しました。

射撃場といっても山奥の開けていて見晴らしの良い場所なだけ人の手が入っている訳ではありません。

「正宗様、試し撃ちをしてみてんか?ウチ等も使用してみたけど、やっぱり依頼主の意見が聞きたいわ」

私は真桜に言われ弾を込め銃を構え撃つことにしました。

真桜と班長は耳を指で栓をして私が撃つのを待っています。

ズゴゴゴォ――――――ン。

射程距離、射撃精度ともに火縄銃より格段に上がっています。

この銃は近代日本で正式採用された銃で射程1800m、真桜達によって村田銃は完全に再現できています。

私はこの銃の出来に感動しています。

「どうや?正宗様、ウチ等とはしはイケてると思うんやけど」

「十分な性能だ思う。流石、真桜だな。お前達も良くやってくれた。そうだな・・・・・・、今日は目出たい日だ。後で、酒と旨い食べ物を届けさせるから楽しんでくれ」

私は真桜と班長達に労いの言葉を掛けました。

「それはありがたいわ―――。正宗様、気が利くやないか。みんなきっと喜ぶで」

「ところで真桜、これを大量生産することは可能か?」

これを大量生産できなければ意味がありません。

「できると思うで、ただし十分な資金と材料が不可欠やな。あと、人もやな」

真桜は真剣な顔で私に答えました。

「そうか・・・・・・。やはりしっかりとした地盤が必要ということだな。私は司隷校尉だが、ここは朝廷と近過ぎるので派手に動けない。もっと遠い場所に地盤を手に入れる必要があるな。良くわかった。真桜、いずれ大量生産できる場所を手に入れるつもだから、そのつもりで計画を立ててくれないか」

「構わへんで。それより正宗様、銃以外にもおもしろい設計図はないんか?銃の生産は金が掛かるさかい。もっと金のかからん弓とか弩とかの方が経済的やと思うわ。弓とかなら早い段階で大量に用意できると思うし、銃を大量生産するまでの繋ぎになるやろ」

真桜の提案に私は同感しました。

「わかった。数日中にでも用意する」

「正宗様、楽しみにしてるで!」

真桜は嬉しそうに笑いながら言いました。

その後、何度か銃の試し撃ちをした私は兵器工場に戻りました。





兵器工場に戻ると水蓮が大慌て近づいてきました。

「ハァハァ、正宗様、こちらにお出ででしたか」

水蓮が息を切らしながら私に言いました。

「そんなに慌ててどうしたんだ。ここにいるということは人材探しが終わったということだな。それで首尾はどうだった?」

「三人とも無事につれてくることができました。ただし、正宗様のご指示された人以外の方が一人いらっしゃいます。お名前を魯子敬といいまして、周瑜様の元を訪ねる道すがら彼女に頼まれまして仕方なく連れてきました。どうしても正宗様にお目通りをしたいといっていましたがどうなさいますか?」

水蓮の言葉に耳を疑いました。

魯子敬といえば周囲の人間からは変わり者扱いを受けた人物ですが有能な人物と思います。

わざわざ私の元に来てくれるとはありがたい話です。

「魯子敬には会おう。他の三人と同じく客人として持て成せ。ところで、周瑜にはあの手紙を渡したのか?」

水蓮が出発するとき、私が彼女に渡した手紙を使用したか聞きました。

「はい。正宗様、お預かりした手紙には何と書かれてらっしゃたんですか?周瑜様はあの手紙を見て顔色が青ざめていらっしゃいました」

結局、あれを使いましたか。

使わずにこしたことは無かったのですが・・・・・・。

「この話は他言無用だ。星にも内緒にできるか?」

「はい!」

「周瑜は不治の病を患っている」

「えっ!」

水蓮は驚きのあまり声を上げました。

「彼女は周囲の者に病をひた隠しにしている。彼女の病気を知っているのは極一部の人間だけだろう。彼女は名医と呼ばれる者の診察を幾度となく受けているが病状は一向に快方に向かっていない。だから、仕官を条件に私が彼女の病を治してやると書いたのだ」

「それは本当にございますか?正宗様、周瑜様への行いは脅迫ではないでしょうか?」

水蓮は自分の気持ちを私に打ち明けると押し黙りました。

彼女の言う通りこのやり方は卑怯だとは思いますが、周瑜を取り込むことで無用な血を流さずに済みます。

この方法では裏切りの可能性も捨てきれませんが、それならそれでも構いません。

少なくても彼女は私に貸しを返すまでは尽くしてくれると思います。

その間に彼女の信頼を勝ち取れるように努力するつもりです。

それでも裏切らるのであれば、戦場で堂々と彼女を討ちとるまでです。

「水蓮、言いたいことがあるならはっきりと言ってくれ」

「正宗様は周瑜様の命を天秤に掛けておられます」

「そうだな……。お前の言う通りだと思う。だから、お前に理解しろとは言わない。しかし、私を信じてはくれないか?私は周瑜を奴隷のような扱いをするつもりはない。彼女に相応しい待遇で迎えるつもりでいる。将来、彼女が私に仕官したことを後悔しないよう精一杯努力するつもりだ」

私は思いつめた表情の水蓮に目を合わせて言いました。

水蓮は私の表情をじっと見つめると数分程考えを纏めているようでしたが、気持ちの整理がついたのか頷いて応えました。

「水蓮、ありがとう。嫌な思いをさせてしまったな……」

私は水蓮の左肩に手を掛けて言いました。

「いえ、この水蓮は常山を出るとき、正宗様のために尽くすと誓いました。それに正宗様なら、決して間違ったことはなさいません」

水蓮はいつもの笑顔を見せながら私を慰めるように言いました。

「さて、急ぐとするか。客人を待たせては悪いからな」

「はい、正宗様」

私達は待たせている周瑜達に会いに行きました。
 
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