真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
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第59話 群雄割拠の時代への準備
皇甫嵩、朱儁、月華は黄巾の乱鎮圧のため出征しました。
総勢8万の軍勢は壮観なものでした。
私もいずれこれだけの軍勢を指揮する日がやって来るのでしょうか。
私は麗羽、揚羽と一緒に月華を見送り、水蓮に指示を出すために執務室に戻りました。
「正宗様、御用でしょうか?」
水蓮は拱手をして挨拶をしました。
「水蓮、楽にしてくれ」
「はい!」
水蓮は本当に良い子です。
私の嫁にしたいと思ってしまいます。
・・・・・・。
失言、失言。
「人材を探し連れて来て欲しい。探す人物の名前と出身はわかっているので頼まれてくれるか?」
私は水蓮に人材探しを頼みました。
美羽の身辺を私の息がかかった者達で固めたいと思っています。
七乃だけでは心配です。
「人材探しですか? 私で大丈夫でしょうか?」
水蓮は自身なさそうに私を見つめました。
「大丈夫。水蓮は真面目で仕事振りも卒ない。私の名代として問題ないと思っている」
私は水蓮を安心させるようにやさしく言いました。
彼女なら問題ないと思います。
探しにいかせる人材は真面目な人物達なので彼女の方がいいと思います。
揚羽でも良いかと思いましたが、彼女は切れすぎるので警戒されるかもしれません。
「正宗様、水蓮は頑張ります!」
水蓮は私の言葉に俄然やる気になりました。
「探す人材は三人。一人目は呂蒙、豫州汝南郡富陂の出身。二人目は周泰、揚州九江郡下蔡の出身。三人目は周瑜、揚州盧江郡舒の出身。詳しくはこの布に書いておいたので後で目を通しておいてくれ。私の調べでは三人供まだ誰にも士官していない。周瑜に関しては無理はしなくていい。駄目もとで士官の話をしてくれればいい。ただし、士官を断られた場合、周瑜にこの手紙を渡してくれ」
「周瑜というのは周家の方ですか?」
水蓮は荷物を受け取りながら私に質問をしてきました。
「ほう・・・・・・。水蓮は勉強熱心だな。その通り、周瑜の実家は二世三公の家柄だ。失礼のないようにな」
「正宗様、畏まりました!」
「忘れるところだった。水蓮、お前を昇格しようと思う。諸曹従事に任ずる」
「正宗様、ありがとうございます!この水蓮、粉骨砕身の覚悟で頑張る所存です」
水蓮は興奮気味に私に感謝しました。
私は水蓮が執務室から出て行くのを確認すると窓の外を見ました。
「周瑜は未だ孫堅、孫策とは会っていないはず。彼女が私の敵か味方か・・・・・・、楽しみだな」
私は水蓮に未来の呉陣営の切り崩しを担わせることにしました。
呂蒙、周泰は上手く行くと思います。
気がかりは周瑜です。
できることならあの手紙を使わずに済むことを祈ります。
「正宗様、ウチに何のようや」
私が外を見ながら物思いに耽っていると真桜から声をかけられました。
「真桜、良く来てくれたな。それで工場の職人どの位揃いそうかな」
「正宗様の指示通り口の固そうな連中を集めたさかい1000人位かな。後、袁逢様の計らいで洛陽の外れに土地を提供してもらったで。仮住まいつう話やからそのことも考慮にいれて作業しているから安心してや」
「そうか・・・・・・。職人の中には私が火縄銃製造に関わった人達もいると思う。真桜と彼らを中心に火縄銃ではなく、この銃の製造をやってくれないか」
私は私のチート能力で作成した銃の設計図を渡しました。
この銃は十三年式村田銃です。
「う―――ん、これは難しそうやな。でも、任しとき! 正宗様、袁逢様への資金の調達はお願いするで」
真桜は笑顔で出て行きました。
この銃の大量生産が叶えば、私は夢の第一歩となります。
後は火薬の材料が手に入り易い地を本拠地にすればいい。
月華が洛陽を立って二週間が立ちました。
私は殺伐とした戦場ではなく、自分の執務室で書類仕事の毎日です。
戦場から届く黄巾賊の討伐の知らせはあまり芳しくないようです。
何進様は日に日に機嫌が悪くなっているのが傍目からもわかります。
私は触らぬ神に祟りなしで彼女とは距離を置いています。
麗羽はそんな彼女を気遣っているようです。
麗羽は出来た嫁ですね。
まだ、結婚はしていませんけど・・・・・・。
変化と言えば華琳が洛陽に戻ってきました。
「早すぎないか?」と、思いましたがこの世界が恋姫なのでなんでもありなのだろうと無理矢理納得しました。
華琳は失業した訳ではなく、騎都尉に任官されて戻ってきました。
黄巾賊の鎮圧のために戻ってきたようです。
どうせ宦官経由でしょうね。
皇甫嵩によって党錮の禁が解禁され、宦官共は不安で堪らないのでしょう。
本当に朝廷はくだらない連中の溜まり場です。
国家危急のときに清流派、濁流派と争っているときではないと思います。
「劉司隷校尉、お客人ですが、いかがしましょうか?」
私の部下が客の来訪を告げました。
「客人は誰だ?」
「はっ!曹騎都尉と配下の方が二名です」
華琳が私に何の用でしょう。
黄巾賊の鎮圧に加わるので私に挨拶しにきたのでしょう。
彼女のことが羨ましい限りです。
「お通ししろ」
「正宗君、お久しぶり。この前はご馳走様。また、機会があればお願いね」
華琳は笑顔で私に挨拶をしました。
機嫌はすこぶる良好のようです。
春蘭も秋蘭もいます。
思い出したくもない記憶が甦ってきました。
以前、華琳に食事を奢らされて超高級店だったので、財布が空になりました。
大食いの春蘭は私にお構いなしに食べていました。
彼女に悪意が無いだけに虚しくなりました。
「御免被る。私を破産させるつもりか?」
「ふふ、あなたが奢るといったんじゃない。恨まれる筋合いはないわ」
華琳は小悪魔のような態度で私に言いました。
「うむ、確かにあれは凄く上手かった」
春蘭は私の神経を逆撫でするようなことを平然と言いました。
こいつら・・・・・・。
私はジト目で二人を見ました。
「ま、正宗様、この前はご馳走になりました」
突然、秋蘭は私に丁寧にお礼を言いいました。
彼女は苦労しているようですね。
「もう、そんなに拗ねないでちょうだい。あなたが黄巾賊の鎮圧に出れないから、沈んでいるんじゃないかと思って激励しに来たんじゃない」
華琳は私を見つめながら悪戯っぽく笑いました。
「それはありがとう。私はそれなりに楽しくやっているよ。華琳は騎都尉になったそうだな。黄巾賊の鎮圧頑張ってくれ」
華琳のペースに持って行かれない様に落ち着いて話すことにしました。
「月並みな台詞ね。でも、ありがとう。あなたの分も頑張るわ」
華琳は真剣な表情で私に言いました。
「ああ、頑張ってくれ。それで何時洛陽を立つんだ?」
「直ぐよ。皇甫嵩と合流することになったわ」
「そうか」
少し談笑した後、華琳達は急いで私の執務室を去って行きました。
そんなに急ぐ位なら私の所にわざわざ来なくても良いのに・・・・・・。
私は書類仕事に戻りました。
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