真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
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第58話 黄巾討伐軍
宮中に取り急ぎ参内すると既に百官は中にいました。
皇帝の使者である司隷校尉の私はいつも最後に入るので問題はないです。
私は自分の席に着座し周囲を見渡すと玉座の一段手前に4人の女性がいました。
2人は私の顔見知りの人物で何進様と月華でした。
すると残りの2人が皇甫嵩、朱儁ということでしょう。
「皇帝陛下のおなーりー!」
私が参内して少しして霊帝が現れ玉座に座りました。
霊帝は痩せこけた爺さんです。
最近は病がちなのでそう長くないでしょう。
彼にはできるだけ長生きして貰いたいものです。
私が地盤を手に入れ力を貯めるための時間を作って欲しいです。
「何進、以下の者面を上げよ」
霊帝はしわがれた声で4人に言いました。
「はっ!」
4人が同時に返事をしました。
「何進、お前を大将軍に任ずる。洛陽を守備せよ。皇甫嵩、朱儁、盧植、お前達は朕に反逆せし逆賊共を成敗せよ」
霊帝は4人に対し勅令を出しました。
その後、皇甫嵩達にも官職を与えられました。
皇甫嵩は「左中郎将」
朱儁は「右中郎将」
盧植は「北中郎将」
月華は黄巾の乱を征伐中に宦官の左豊に濡れ衣を着せられ罪人にされます。
彼女を助けるのは史実では皇甫嵩ですが、私が代わりに助けます。
そのために事前に種を巻いておきましょう。
私は彼女を見つめながらこれからのことを考えていました。
緊急の朝議が終わり、私は最初に議場を後にしました。
こういうときは司隷校尉になったことを有り難く思います。
久しぶりに月華に会えたので積もる話もありますが直ちに揚羽に指示を出す必要があります。
私は早足で議場の階段を降りて行きました。
「待たれよ!正宗殿ではないか」
五月蝿いと思いつつ振り向くと階段の上のあたりに月華がいました。
月華は私が振り向くとこちらにいそいそと駆け寄ってきました。
「正宗殿、水臭いではないですか」
彼女は私に笑顔で言いました。
「これは月華殿。あなたに気づいておりましたが急ぎの用事がありまして。申し訳ありませんでした」
「別に気にしなくてもいいです。また、正宗殿に会えるとは嬉しいです」
彼女は本当に嬉しそうです。
「私も月華殿に再会でき嬉しいです。そうです!私の屋敷で盧植殿の出世祝いと壮行を兼ねた宴を開きたいので今からご一緒しませんか?」
こうなったら揚羽への指示は後回しにして、月華の友好を深めることにしましょう。
「お急ぎではなかったのか?」
「いえいえ、急いでいたのは確かですが、ここで月華とお会いした以上あなたとの友誼を大事にしたいと思います」
「本当によろしいのですか?私のことなら構いません。急ぎの用事を優先してください」
実直な月華らしく私の申し出を遠慮しています。
「良いのですよ。月華殿はこれから戦場に出られるのですから。友を送らせていただけませんか?」
「正宗殿、そうまで仰るならお招きを受けさせていただきます」
「それでは参りましょう」
私と月華は一緒に屋敷に戻りました。
私は屋敷に戻ると下人に麗羽と揚羽を呼びに行かせました。
宴会が始まると最初は私と話していた月華でしたが、姉上やお爺々様と意気投合したようです。
今、彼女は酔いつぶれて寝ています。
私は麗羽と揚羽を連れ自室に入ると、部屋の周囲の気配に気を配り、人の気配がないことを確認しました。
「麗羽、揚羽。等々、黄巾の乱が起きた。朝廷の者達はただの農民の一揆と思い込んでいる」
「正宗様のお話では黄巾の乱によって漢室の権威が失墜すると仰っていましたね」
「そうですわ。正宗様、これからどうされるのです?」
「基本的に何もしないが、できることはやる。まず盧植を助ける準備をしておく。彼女は宦官の左豊に濡れ衣を着せられ罪人におとしめられる。そこで揚羽には左豊の身辺を探って欲しい。やって貰えるか?左豊は戦場視察で堂々と盧植に賄賂を要求するような典型的な宦官だ。叩けば幾らでも埃が出るだろう」
「正宗様、お任せください」
その後、二刻程私達は密談を交わし今後の方針を決めました。
当面、私達は表向きは大人しくしていますが、水面下では左豊の内偵、黄巾賊と皇甫嵩達討伐群の動向の調査などを司馬家の情報網を駆使して行います。
用心のため皇甫嵩達の軍の中に私の息の掛かった者を送り込みます。
兵卒として送り込むので気づかれる心配はないでしょう。
本音を言えば董卓ことへう~君主に会ってみたいです。
彼女を将来利用することになるとはいえ彼女は名君であり、仕える武将は名将揃いです。
特に賈クは一級の謀臣です。
できることなら彼女達とお近づきになりたいと思っています。
私達は密談を終えると自室を後にして、宴会の場に行き飲みつぶれた月華達を介抱することにしました。
私もこの黄巾の乱で勲功を上げたかったのですが、なかなか上手くいかないです。
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