西遊記
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第十二回 玄奘西方に旅立つのことその十五
「やはり」
「暴れが過ぎるな」
「そのこともいいのですが」
「そなたどうも大聖に甘いな」
「あの気質が好きなので」
それでというのです。
「甘いと言われますと」
「甘いな」
「そうなります」
「面白い者ではある」
火星も言ってきました。
「私も嫌いではない」
「妙に憎めぬな」
「うむ、しかし放っておくとな」
そうすると、というのです。
「すぐに暴れてな」
「騒動を起こすからだな」
「わかっておるではないか」
金星にしてもです。
「あの者のそうしたところは」
「それはな」
金星も否定しません。
「私も」
「そうであるな」
「それが厄介だからな」
天帝はそれでと言われました。
「ここで釈尊が封じ込めてくれてな」
「よかったと」
「うむ、ではな」
「これより」
「まずは大聖とだな」
「法師が会います」
「そうなるな」
「五百年、神界隈で五百日の罰を終え」
そうしてというのです。
「そのうえで、です」
「あの者も自由になってな」
「旅に入ります」
「そうなるな、だがその間もだ」
旅の間もとです、帝は言われました。
「大聖は暴れることは必定」
「そう思いまして」
先程まで二太子と共に奉仕を見送っていた菩薩が本来の姿に戻って同じくそちらの姿に戻った二太子と一緒に帝の御前に出て言いました。
「備えは用意しました」
「緊箍児であるな」
「あれがありますので」
「あの者を止められるな」
「はい、それはです」
緊箍児はといいますと。
「大聖だけでなく」
「元帥と大将もであるな」
「大聖はまた別格ですが」
それでもというのです。
「あの二人もです」
「それぞれの気が強過ぎるな」
「それ故に容易にはです」
「幾ら非常に高徳とはいえ法師は人間」
「それで神しかも極めて高位の大聖殿達を抑えることはです
「難しいな」
「特に大聖殿は」
彼はというのです。
「ですので」
「緊箍児が必要であるな」
「あれを用いますと」
そうすると、というのだ。
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