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西遊記

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第十二回 玄奘西方に旅立つのことその十六

「大丈夫です」
「そうであるな」
「はい、大聖殿達は抑えられる都度痛い思いをしますが」
「それは仕方ないな」
「それぞれの気が強過ぎるので」  
 それ故にというのです。
「そこはです」
「致し方ないな」
「そういうことで」
「それであの者達を制するな」
「ここで白馬殿もとなりますが」 
 本来はというのです。
「あの方もその気がお強いですが」
「それでもであるな」
「戦うことはまずなく」
「法師を乗せるだけであるからな」
「ですから」
 それでというのです。
「特にです」
「抑えることはないな」
「はい」
 そうだというのです。
「ですから緊箍児はです」
「あの者にはないな」
「用意しておらず」
 そうであってというのです。
「これからもです」
「出さぬな」
「そのつもりです」 
「そうなのだな」
「はい、それで三つです」
「そういうことか」
「ですが気は揃います」
 それはというのです。
「五行のそれは」
「土火水木金のな」
「全て揃います」
「今話した白馬が金でな」
「元帥が水で」
 この気でというのです。
「大将が木で」
「法師が土だな」
「そして大聖が火です」
「皆それぞれの気が強いな」
「それもかなり」
 菩薩は天帝に畏まってお話しました。
「ですから欠けますと」
「誰かな」
「それだけで、です」
「難義になる」
「ですから皆揃ってです」
 そうであってこそというのです。
「よく」
「それでだな」
「これよりです」
「皆揃ってな」
「そしてです」
 そのうえでというのです。
「運命に向かいます」
「そうなるな」
「これより」
「そうだな、ではな」
「万歳老も見守られますね」
「そうする、そしてよい結末をな」
 それをというのです。
「楽しみにしている」
「必ずや」
 菩薩は天帝に微笑んで応えました、今まさにその長い冒険の旅がはじまりました。神仏はそのはじまりを笑顔で見守っていました。


第十二回   完


                 2025・5・8 
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