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西遊記

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第十二回 玄奘西方に旅立つのことその十四

「あります」
「この土をです」
 まさにそれをというのです。
「お酒に入れ」
「そうして」
「そのうえで飲みまして」
 法師はそれでと言いました。
「一摘まみの土を」
「別れの挨拶とするか」
「そうしたいのですが」
「わかった」
 皇帝はそれならと応えました。
「それではその様にな」
「していいのですね」
「そうしようぞ」
「それでは」
「うむ、ではな」
「飲ませて頂きます」
「そして山門の松が東を向いたなら」
 皇帝はこのお話もしました。
「戻って来るな」
「必ず」
「その間朕は唐を治めな」
「世の人々を安らかにされ」
「栄えさせようぞ」
「お励み下さい」
「頼りになる者達もいるしな」
 周りの廷臣の人達も見てお話しました。
「それではな」
「及ばずながら」 
 魏徴も言ってきました。
「奉職させて頂きます」
「そうしてくれるか」
「全身全霊を以て」
「それでは頼りにさせてもらうぞ」
「有り難きお言葉」  
 魏徴は皇帝の言葉を謹んで受けました、そうして別れの宴をしてそのうえで翌朝法師は白馬と共に皇帝と朝廷それに長安の人々に笑顔で長安の正門から見送られてでした。
 長い旅に入りました、天帝はその様子をご覧になられて言われました。
「全てははじまったな」
「はい」
 金星が応えました。
「これより」
「長い旅がな」
「唐に大乗の教えをもたらす」
「全ては整っている」
 天帝は確かなお顔と声で言われました。
「全ての者達は準備が出来ておる」
「はい、それぞれの場で」
「ならばな」
「はい、後はです」
 まさにというのです。
「法師がです」
「まずはな」
「あの三人に会います」
「そして弟子にしていくな」
「それぞれ」
「あの者達も待っているな」
「首を長くして」
 金星はそうしてとお話しました。
「待っています」
「そうであるな」
「それぞれで」
「大聖が暴れぬ様にしたのは釈尊ならではだな」
「私はあれがいいのですが」
 金星はそれでもと答えました。 
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