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西遊記

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第十二回 玄奘西方に旅立つのことその十二

「そうしたことも」
「それならいい、人がいない場所でな」
「時が来ればですね」
「話すのだ」
「そうします」
「その様にな」
 ここで二太子は白馬との頭の中での神仙の力を使ったうえでの会話を終えてでした、あらためて玄奘に顔を戻して言いました。
「それで玄奘殿」
「はい、この馬にですね」
 玄奘も応えました。
「乗って」
「天竺を目指して下さい」
「そうさせて頂きます」
「手綱に鐙も備えますが」 
 そうした馬具をというのです。
「鞍や鞭も」
「拙僧は鞭は」
 ですが玄奘は言いました。
「いりません」
「不要ですか」
「叩くと痛いので」
 馬がというのです。
「馬が苦しみますね」
「それはその通りですが」
「ですから」
 それでというのです。
「いりません」
「そうなのですか」
「はい、それはです」
「持たれないですか」
「確かに馬にも乗れますが」
 しかしというのです。
「鞭はです」
「いりませんか」
「使ったことはありません」 
 決してというのです。
「一度も」
「そうなのですか」
「はい、そして」
 玄奘はさらにお話しました。
「そのうえで、です」
「旅をされますか」
「天竺まで」
 まさにというのです。
「そうさせて頂きます」
「そうなのですね、玄奘殿の慈愛は誰にも及びますね」
「そうであればいいです」
「まさにです」
 二太子は玄奘のその考えも聞いて言いました。
「大乗です」
「拙僧の考えは」
「行いも」
 そちらもというのです。
「素晴らしいです」
「そうなのですね」
「その大乗のお心があるので」
 だからだというのです。
「天竺までです」
「行ってですね」
「三蔵を頂くことが出来ます」
「そうなのですね」
「ではこの馬に乗られて」
 白馬も見てお話します。
「旅をされて下さい」
「その様に」
 玄奘は一礼して応えました。
 そうして馬を得た後は皇帝から見送りの宴に招かれましたが玄奘はその時に同席していた菩薩に言われました。 
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