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西遊記

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第十二回 玄奘西方に旅立つのことその三

「お渡しします」
「それでは」
 こうしてでしたl、皇帝は菩薩と二太子が去ってから玄奘を呼んで彼にその二つを着て持たせてみますと。
「おお、これは」
「何と尊いお姿か」
「まさに生き菩薩」
「御仏の弟子そのもの」
「素晴らしいお姿です」
「御仏を感じずにいられません」
 玄奘自身こう言います。
「菩薩からこれ程までのものを頂けるとは」
「これは何かあるに違いませぬ」 
 皇帝もこう言いました。
「間違いなくこれよりです」
「何か大きなことがですね」
「玄奘殿にあります」
「法要だけでなく」
「はい」
 まさにというのです。
「素晴らしいものがあり」
「それでは」
「その大事にもです」
 皇帝に温和ですが同時に確かなものを備えた声で答えました、その表情もそうなっていて仏教の教えがそこにありました。
「拙僧は向かいます」
「そうされますか」
「必ず」
 皇帝にその顔と声で答えました。
 そのうえで法要となりましたがそれまではとあるお寺の中に旅の僧として身を寄せていた菩薩は共にいる二太子に言いました。
「ではです」
「これよりですね」
「法要に出まして」
 そうしてというのです。
「再びです」
「手を打たれますね」
「そうします」
 二太子に微笑んで言いました。
「これからも」
「そうされますね」
「はい、そして」
 そのうえでというのです。
「遂に運命をです」
「動かされますか」
「そうします」
「そうですか、その時が来ましたか」
「左様です、では参りましょう」
 二太子に告げてでした、彼を連れてです。
 菩薩は法要の場所に出ました、そして壇主として台上にいて全てを行っている玄奘に対して一段落ついたところで尋ねました。
「宜しいでしょうか」
「何でしょうか」
「はい、今貴方が説かれているのは小乗ですね」
 こう言うのでした。
「その教えですね」
「はい」
 玄奘もそうだと答えます。
「御仏の教えの中の」
「左様ですね、では大乗は」
「大乗ですか」
 玄奘は素直に答えました。
「残念ですが」
「ご存知ないですか」
「左様です」
 やはり正直に答えます。
「拙僧は」
「あの僧侶殿確か」 
 皇帝も廷臣の人達と共にいますがすぐに気付きました。 
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