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西遊記

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第十一回 皇帝玄奘を選ぶのことその十五

「長旅、冒険にしてみますと」
「大冒険か」
「そうなります」
「ううむ、神と人の時の感覚はそこまで違うか」
「そうなのです」
「そこまではな」
 とてもとです、悟空は言いました。
「考えなかった」
「これまでは」
「そうだったが」
「これがです」
「人はそうだな」
「左様です」
「人はそんなものか、しかし」
 ここで悟空はこうも思いました。
「その短い生の間にな」
「神から見れば」
「多くのことをするか」
「そうお考えですか」
「限りがないとな」
 それならというのです。
「やはり毎日がな」
「終わらないので」
「なおざりになるな」
「お仕事があろうとも」
「期限があるなら別だが」 
 それでもというのです。
「ずっと時があるならな」
「何時でもいいとなりますね」
「うむ」
 そうだというのです。
「神ならな」
「そう言われると私もです」
 土地神も言ってきました。
「やはり」
「終わりがないからな」
「永遠に生きられますと」
「どうしてもな」
「何でもだらだらとです」
「なるな」
「永遠とはそうしたものですな」
 悟空の言葉に応えました。
「神仏は」
「修行はするがな」
「ですが永遠となると」
「ずっとやればいいとなり」
「引き締まっておるか」
「難しいです」
「そうであるな、しかし人はな」
 彼等はとです、悟空は言いました。
「限られたそれも短い中でするからな」
「それも必死に」
「馬鹿に出来ぬな」
「全くですね」
「それに人も精進すれば」
 そうすればというのです。
「神仏になれる」
「人の天井を越えて」
「そうしてな」
「そうもなるので」
「龍も最初は何でもない」
「歳月をかけて修行して龍になります」
「人も同じだ」
 彼等もというのです。
「今は人でだ」
「短い生であろうとも」
「転生を繰り返しつつな」
「精進すれば」
「やがて神仏にもなれる」
「そうなることを思えば」
「侮れぬ」
 決してというのです。 
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