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西遊記

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第十一回 皇帝玄奘を選ぶのことその十六

「そのこともわかってきたわ」
「大聖殿は」
「そうだ、しかしな」
 悟空は笑ってこうも言いました。
「実はわしは人に会ったことはあまりない」
「仙人の修行をされている時に」
「他の時はな」
「ないですか」
「これといってな」
 そうだというのです。
「実はな」
「そうなのですな」
「だからな」
 それでというのです。
「実はこれから人をよく見てな」
「人を知りたいですか」
「これまで以上にな」
「あまりお会いしていないので」
「修行の時から嫌いではない」
 人はというのです。
「善悪も美醜も共にありな」
「面白い存在ですね」
「これ以上ないまでに愚かにもなれば」
 それと共にというのです。
「逆にな」
「これ以上はないまでに賢くもなる」
「そうした存在だからな」
「嫌いではないですな」
「そうなのだ」
「左様ですか」
「わしの考えは間違っておるか」
 悟空は土地神に尋ねました、ここまで話して実際どうなのかとふと気になって土地神にそうしたのです。
「人に対して」
「いえ、別に」 
 土地神は微笑んで答えました。
「そうは思いません」
「左様か」
「私も同じ考えで神界も仏界もです」
「そう考えているか」
「何しろ人であった方も多いので」
「釈尊にしてもだな」
「天帝も実は」
 この方もというので。
「先程、人界で言う四百数十年前はです」
「ああ、人界に下っておられたな」
「人に生まれられて」
「確か関羽雲長というな」
「武人になられていました」
「そうであったな」
「お話は聞いていますね」
 悟空に尋ねました。
「それで大いに活躍されたことを」
「それで何でも人の世で後世言われるそうだな」
 悟空は土地神に言いました。
「天帝が代替わりしたと」
「その関羽という御仁に」
「そうらしいな」
「この関羽が神になり」
「大いに信じられてな」
 悟空も言います。
「武だけでなく学問や商売でもだ」
「神と言われます」
「そうであるな」
「ですが」 
 その実はというのです。 
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