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西遊記

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第十一回 皇帝玄奘を選ぶのことその六

「それはだ」
「難しいですか」
「まず朝廷のお許しを得て」
 そうしてというのです。
「行くが」
「まずはそのお許しがですか」
「他の国に行くとなるとな」 
 そうなればというのです。
「やはりな」
「かなりのことなので」
「難しい」
 そうだというのです。
「それにだ」
「天竺まではですね」
「あまりにも遠く」 
 そうであってというのだ。
「多くの国があるが」
「複雑な情勢の国もありますね」
「また聞くところによると」
 さらにです、高僧はお話しました。
「多くの魔王もいる」
「人でない者達が」
「妖怪変化とな」
「そうした者達が多く」
「とてもだ」
 それこそというのです。
「そなたを行かせる訳にはいかぬ」
「そう言われますが」
 玄奘は引かず言います。
「やはりです」
「どうしても行きたいか」
「拙僧は」
 そうだというのです。
「やはり」
「決意は固いな、そして」
 さらに言います。
「そなたはやると言えばな」
「やらねばです」
「駄目だというな」
「一度言ったからには」 
 それならというのです。
「やはりです」
「最後までやり遂げるか」
「拙僧自身はそうでならないとです」
 その様にというのです。
「考えています」
「他の者はそれでよくてもだな」
「その人それぞれの事情がありますので」
 だからだというのです。
「ですから」
「人には優しくだな」
「己には厳しく」
「その考えもよい、しかしそれ故にか」
「絶対にです」
 高僧に強い声で言うのでした。
「拙僧は」
「天竺に行ってか」
「多くの経典を持ち帰り」
 そうしてというのです。
「唐にです」
「御仏の教えを伝えたいか」
「これまで以上に」
「どれだけ危険でもだな」
「拙僧がその途中で倒れますと」 
 天竺への旅の中でというのです。
「もうそれはです」
「運命か」
「はい、ですから」
 そうであるからだというのです。
「構いません」
「命は惜しくないか」
「左様です」
 そうだというのです。
「拙僧は」
「勇もあることも知っておる」
 玄奘がというのです。 
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