| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

西遊記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十一回 皇帝玄奘を選ぶのことその一

               第十一回  皇帝玄奘を選ぶのこと
 皇帝は天下に確かな政治を行っています、そのうえで言うのでした。
「やはり皇帝であるからにはな」
「心を引き締めてです」
 魏徴が応えます。
「政にあたるべきです」
「そうであるな、間違ってもだ」
 それこそとです、皇帝は魏徴に述べました。
「煬帝の様にはな」
「なってはなりません」
「そうだな」
「煬帝は資質は備えていました」
「確かにな」
「はい、ですが」
 それでもというのです。
「我欲に満ち」
「贅沢に溺れな」
「極端に色を好みました」
「色は必要だな」
「血を絶やしてはなりません」
「家を残さねばな」
「なりません」
 絶対にというのです。
「そのことは。ですが」
「煬帝はそれが過ぎた」
「そして政もです」
 それもというのです。
「過度にことを進めました」
「大運河に長城を築かせ」
「それは必要でもです」
「一度に大きく行った」
「大運河は大きな仕事でしたので」
 だからだというのです。
「あれを行いますと」
「他のことはな」
「民と国を疲弊させます」
「そうだな」
「ですから長城になりますと」
「過ぎたな」
「民のことはです」
「常に考えねばならん」
 絶対にというのです。
「やはりな」
「天下は民があってこそですから」
「全くだな」
「そして戦もしました」
「高句麗を攻めたな」
「あれもです」
「あの時にしてはならなかった」
 皇帝は強い声で言いました。
「大運河を築いたからな」
「戦は勝敗の常でも」
「戦も大きな力を使うからな」
「ですから」
「あの時してはならなかった」
「はい、そして」
 そうであってというのです。
「失敗してもです」
「執拗に攻めたな」
「それで国力を消耗し」
「反発が出て叛乱が起こった」
「一番よくないのはです」
 それはといいますと。
「それで皇帝の責務を投げ出しました」
「江南に行って遊び惚けた」
「難事に至ればです」
「皇帝ともなればな」
「天下の君ですから」 
 それ故にというのです。
「むしろです」
「その難事に向かいな」
「解決せねばなりません」
「その通りだな」
「ですが煬帝は」 
 彼はといいますと。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧