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西遊記

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第十回 皇帝冥府から戻るのことその十七

「そもそも人はそんなに変わらないな」
「誰でもね」
「我々神仏から見ればな」
「相当な人でもないと変わらないよ」
「そういうことだ」
「その通りだ、人は生まれは違えど変わらない」
 帝もこう言われました。
「だから唐の皇室もだ」
「そういうことはですね」
「言わずともよい、事実あの皇室もあの地で何百年も暮らしていてな」
 人界の時でというのです。
「漢の者になっている」
「そうなんですね」
「まあ老君の末裔かどうかは兎も角」
 帝もこのことについては言葉を濁されました。
「漢の者と言うべきであり道教を広めている」
「ならいいですね」
「そうだ、しかし道教にだ」
 帝はさらに言われました。
「仏教も必要だ」
「左様です、ですから」
 ここで釈尊が出て来られて言われました。
「この度はです」
「観世音菩薩が動き」
「一人の取経者を導きです」
「四柱の神々を供として」
「大いなる運命に向かい」
 そうしてというのです。
「唐に仏門の教えを伝えます」
「そうなりますな」
「左様です」
「魏徴が天下の賢人として政を定め」
「皇帝を助け」
「道教の教えが広まり」
「仏門もこれまでより伝わります」
 こう帝にお話されました。
「必ず」
「そうですな」
「はい、そして」  
 そのうえでというのです。
「唐は長く続き」
「多くの者が泰平の中で幸せになる」
「そうなります」 
 まさにというのです。
「あの国は長い間戦乱が続きましたが」
「それが収まり」
「泰平が続きます、途中乱も起こりますが」 
 それでもというのです。
「おおむねです」
「泰平になりますな」
「唐が続き」
「さて、その取経者ですが」
 二郎真君が言ってきました。
「聞いていますが」
「私の弟子だった者の生まれ変わりでして」
「非常に立派な御仁ですね」
「人としてはです」
「これ以上はないまでの者ですね」
「そうです、彼ならばです」
 真君にもです、釈尊は穏やかな微笑みで言われます。
「多くの苦難も乗り越え」
「そのうえで」
「運命を果たします」
「そうなるのですね」
「彼等と共に」
「斉天大聖達と共に」
「左様です、彼は非常にいいですね」 
 釈尊は悟空についても仰いました。 
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