西遊記
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第十回 皇帝冥府から戻るのことその十六
「実にな」
「それは何よりです」
「そして人界にもだな」
「今は魏徴がいます」
「そしてあの者がいれば」
「唐は大丈夫です」
「そうだな」
まさにと頷かれました。
「定まる」
「はい、ですが」
「定まるのは政のことでな」
「神仙の教えも広まりますが」
「何しろ皇室は太上老君の末裔だ」
「そう言っていますし」
「ははは、それはですな」
ここでその老君が笑って言ってきました。
「そういうことということで」
「ははは、そういうことか」
「少しでも血が入っています」
老君のというのです。
「言えますな」
「そうであるな」
「ですが道教の教えはです」
唐においてはというのです。
「充分にです」
「行き渡っておるな」
「他の教えよりも」
「そうなっておるな」
「これは最初からで」
「開廟からのことであるな」
「先程万歳老が言われた通りあの皇室はそう言っていますので」
自分達は老君の末裔であるとです、老君はそのことについて帝にそれがどうしてなのかもお話しました。
「姓が同じなので」
「老君の姓は李でな」
「唐の皇室の姓も李です」
「だからそう言っていてな」
「道教を貴んでいまして」
「教えは広まっているな」
「よいことに」
帝に微笑んでお話します。
「そうなっています」
「そうであるな」
「けれどね」
哪吒三太子がふと気付いて言いました。
「唐の皇室の人達って漢の人じゃないよね」
「そのことを言うか」
すぐに長兄の金吒一太子が応えました。
「皆敢えて言わぬことを」
「言ったら駄目かな」
「だから長い間あの国にいてだ」
「漢の人達の血も入ってるんだね」
「そうなってもいるしな」
「言えるんだ」
「それを言えば始皇帝はどうなのだ」
この人はというのです。
「目が青く髭が赤かったな」
「漢の人達はどちらも黒いのにね」
「西楚の覇王項羽もそなたが言う漢の高祖劉邦もだ」
「楚の人でね」
「漢の血は薄いな」
「そうなっているね」
「あの国は様々な者が入って混ざってだ」
「漢の人になっているんだ」
「だから元々は違っていてもな」
漢の人でなくともというのです。
「長く暮らしているとだ」
「漢の人になるんだね」
「そうだ」
まさにというのです。
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