金木犀の許嫁
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第七十二話 また来る時までその十一
「ですから若しそうなら訂正して欲しい」
「それ位ですね」
「聞いたにしても」
「戦争の理由にはならないですね」
「そもそも鐘の文字位ではです」
幸雄はさらに話した。
「戦争にはです」
「ならないですか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「あの鐘はです」
「戦争の原因でなく」
「より深刻な理由がありました」
「確かキリスト教ですね」
真昼はすぐに言った。
「あの宗教のことで」
「幕府は禁じましたが」
キリスト教の布教と信仰をだ。
「侵略の手段また民を奴隷にしたりもするので」
「禁止しましたね」
「ですが豊臣家は認めました」
「家康さんに対抗して」
「おそらく淀殿が」
大坂の実質的な主であった彼女はというのだ。
「そうしましたが」
「それだと大坂からキリスト教が入ってきて」
「布教しまして」
「信者さんを増やして」
「そこからです」
まさにというのだ。
「他の国にしてきた様に」
「侵略してきますね」
「そして民衆を他国に送り」
「奴隷にもしましたね」
「秀吉さんもそういったことを知り」
そうしてというのだ。
「キリスト教を禁止しました」
「それで幕府もですね」
「そうしました」
そうだったというのだ。
「おそらく幕府なりに事実を調査して」
「確認して」
「実際にそうだったので」
「禁止しましたね」
「侵略されてはたまったものではないですし」
幸雄はさらに話した。
「日本人を奴隷にされるなぞ」
「そちらもですね」
「言語道断で」
幕府にとってはだ。
「それで、です」
「戦争に至りましたね」
「それだけはです」
家康もだ。
「看過出来ず」
「大坂の陣になり」
「それで、です」
「豊臣家を滅ぼしたんですね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「秀頼さんが落ち延びてもです」
「見逃してくれて」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「息子さんはです」
「大名になっても」
「それでもです」
「よかったんですね」
「見て見ぬふりで」
それでというのだ。
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