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西遊記

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第十回 皇帝冥府から戻るのことその八

「魏徴とな」
「はい、ですが」
「それでもか」
「まことに寿命はです」
「己が知らない間にか」
「尽きるもので」
「それまで元気であってもだな」
「急にです」
 まさにというのです。
「倒れるものです」
「人は急死する時もあるが」
「貴方様もそうだったのです」
「成程な」
「人の一生はわからないものですね」
「そう言われるとな」
 皇帝も否定しませんでした。
「極論すれば明日のこともわからぬ」
「左様ですね」
「特に戦の時はな」
「誰が死ぬかわかりません」
「朕も何度もだ」
 それこそというのです。
「危うい時が多かった」
「それが戦ですね」
「弓矢が掠めることもな」
「多かったですか」
「うむ、だからな」
「戦の場では」
「先程まで戦っていたのにだ」
 そうであってもというのだ。
「ふと流れ矢に当たってな」
「そして死ぬ」
「そうしたことがだ」
 まさにというのです。
「普通にだ」
「ありますね」
「戦はな」
「左様ですね」
「そう考えるとな」
「はい、貴女様もです」
「有り得たことだな」
 こう言うのでした。
「思えば」
「左様です」
「そうだな」
「はい、ですが」
「それでもか」
「そうでないことです」
「多いな」
「時間をかけて」
 そうしてというのです。
「世を去ることもです」
「あるな」
「左様です」
 実際にというのだ。
「これが」
「そこはそれぞれだな」
「人の」
 まさにというのです。
「左様です」
「そうだな」
「もうそれはです」
「人ではわからず」
「どうもです」 
 人ではというのです。
「言えません」
「そうしたものだな」
「人の力には限りがあります」
「わかることとだな」
「わからぬことがです」
 どうしてもというのです。
「あります」
「そうしたものだな」
「これが」
「人ではな」
「ですから仕方のないことです」
「何時死ぬかわからぬことはな」
「人が」
 こう皇帝にお話します。 
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