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西遊記

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第十回 皇帝冥府から戻るのことその六

「寿命はです」
「長くする様にだな」
「なりました、むしろです」
「むしろか」
「あっ、私のことは言っていませんでしたね」
「そうだ、そなたは冥府の官吏だな」
「判官の役職にあります」
 そうだというのです。
「判官とお呼び下さい」
「わかった、では判官殿」
 皇帝はあらためて言いました。
「書状をだな」
「お持ちですね」
「魏徴に貰った」
 判官に微笑んでお話しました。
「それをだな」
「お出しになってくれますか」
「うむ、こちらにな」
「受け取らせて頂きます」
「宜しくな」
「それでは」
 官吏は確かに受け取りました、そしてです。
 そのうえで、です。皇帝に再び言いました。
「後は冥府の十王様方にです」
「お会いしてか」
「人界に戻って頂きます」
「そうなるな」
「寿命は私の方で書き換えておきますので」
「そうしてくれるか」
「こうして」
 ここで判官は生死帳それぞれの人の寿命が書かれている帳簿を出しました。そして皇帝のところに一とあるのにです。
 二画加えてそうして言いました。
「これで、です」
「朕の寿命が延びたか」
「はい」
 そうなったというのです。
「ご安心下さい」
「そうか、それは何よりだ」
「人は必ず死にますが」
「朕はまだ生かしてもらえるか」
「やるべきことがありますので」
 だからだというのです。
「左様です」
「そうなのだな」
「はい、ですが」
「それでもか」
「やはり人ですので」
「今必ず死ぬと言ったな」
「その通りです」 
 まさにというのです。
「神仙にならねば」
「仏門では御仏だな」
「そうなりませんと」
「そうだな、ではな」
「はい、またお会いすることになります」
「その時はまたな」
「その様に、ではです」
 皇帝に言いました。
「これより案内致します」
「十王の御前にだな」
「はい、今はです」
 さらに言うのでした。
「皆さん揃っておられます」
「十王の方々がか」
「左様です、そして」
 そのうえでというのです。
「今より」
「十王の方々とお会いし」
「その御前に出られ」 
 そうしてというのです。 
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