西遊記
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第十回 皇帝冥府から戻るのことその五
「やはり悪いことはな」
「しないことですね」
「うむ」
そうだというのです。
「意地悪でな」
「そのことに思われますか」
「強くな、では唐の皇帝はな」
「お救いします」
魏徴は龍王に確かな声で答えました、そして目覚めたのですが。
囲碁の卓はそのままですが皇帝はいません、そして周りにいる人達が魏徴にこぞって集まって言ってきました。
「お目覚めですか」
「あの、少しの間でしたが」
「万歳老が急に倒れられ」
「床に臥せっておられます」
「やはりそうなられましたか」
魏徴は周りの人達に確かな声で応えました、そして夢のことをお話しました。
「何と、龍王様にお話されましたか」
「万歳老の危機を」
「そうなのですか」
「左様です」
丹薬のことは言わず言います、それのことをお話すると薬を作っている道士の人が知らずにしたことそれも法に反していないことで咎を受けることになると思ってです。
「その度は」
「ではですね」
「すぐにですね」
「万歳老のところに行かれ」
「その書状をお渡ししますか」
「そうさせて頂きます」
魏徴はこう言ってでした。
すぐに皇帝のところに赴きました、すると皇帝は床に伏していました。
「おお魏徴起きたか」
「はい、実は」
「実は?」
「こうした事情で」
皇帝にはこっそりと丹薬のこともお話しました。
「ですが」
「わかっておる、あの丹薬を作れと言ったのは朕だしな」
皇帝もそれでと頷きます。
「道士は決して罰さぬ」
「法に反していなければです」
「罪を問うてはならない」
「左様です、それでです」
「道士には別の丹薬を作ってもらい」
「真の長寿のな」
「そしてまずは」
皇帝に確かな声で書状を出しました。
「これをお持ち下さい」
「そうしてだな」
「お目を閉じて下さい」
「そうすれば朕は一旦死に」
「そしてです」
そのうえでというのです。
「冥府に参りますので」
「うむ、そこであちらの王達と話して来る」
「それでは」
「ではな」
皇帝は書状を受け取りです、それからすぐに目を閉じました、すると薄暗い宮殿の中に出ましてそこにです。
黒い官吏の服を着た男の人がいて皇帝に言ってきました。
「唐の皇帝陛下ですね」
「うむ」
皇帝はその通りだと答えました。
「名を李世民という」
「左様ですね」
「実はだ」
「はい、貴方様はお亡くなりになるということですが」
「まだだな」
「人界、唐には必要な方ということで」
こう皇帝にお話します。
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