西遊記
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第十回 皇帝冥府から戻るのことその一
第十回 皇帝冥府から戻るのこと
魏徴は皇帝と囲碁を打ちます、その中で龍王のお話をしましたが。
皇帝はそのお話を聞いてです、こう言いました。
「さて、朕はその様な話は知らぬ」
「そうなのですか」
「龍王の話であろう」
「あっ、それでは」
魏徴もいい話て頷きました。
「確かに」
「それは朕ではなくな」
「龍王を従える四海龍王の方々のお仕事で」
「ひいては神界のだ」
「天帝のお話ですね」
「そうであるな」
「はい」
魏徴も頷きました。
「言われますと」
「そなたも勘違いしておってな」
「龍王にしきりに言われまして」
「そうだな、しかしな」
それでもというのだ。
「朕ではない」
「龍王も万歳老としきりに言われていましたが」
「天帝だったな」
「お互い間違えていました」
「天に二日なしだが」
「人界と神界でそれぞれ」
「帝がいる、しかしその龍王は今どうなっているか」
皇帝は囲碁を打ちながら考えました。
「そなたは取り成し相手を間違えたからな」
「天帝のご叱責を受けていますか」
「朕もそうしたことをされると叱る」
皇帝自身もというのです。
「意地悪でしたのだからな」
「死罪にされずとも」
「その程度死罪には及ばぬ」
皇帝はそれは否定しました。
「入牢もな」
「そこには至りませんか」
「遅らせたのも降らす量を減らしたのも罪だが」
雨をというのです。
「減らした分降らすとな」
「そうすればですか」
「いいとしてな」
そうしてというのです。
「雨を降らせてな」
「終わりですか」
「問題は量だ」
雨のというのです。
「それが充分になればな」
「よいですか」
「うむ、それでだ」
「終わらせる。
「法は必要でだ」
このことは間違いなくというのです。
「刑罰もだ」
「然りですね」
「だが無闇に厳しくしてもだ」
「よくはないです」
「その通りだ、別に国を奪おうとしたりだ」
「人を手にかけた訳ではないので」
「だからだ」
それ故にというのです。
「そこまではだ」
「されないですか」
「うむ」
そうだというのです。
「朕ならな」
「左様ですか」
「そしてだ」
皇帝はさらに言いました。
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