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西遊記

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第九回 易者龍王を占うのことその七

「思いませんでした」
「貴方が私に取りなせると聞きまして」
「どなたから」
「袁守誠という易者から」
「ああ、近頃評判の」
 魏徴もその名前を聞いて応えました。
「当たるという」
「そう聞きまして」
「そうなのですね」
「ですから」
 詳細は隠してお話します。
「参上した次第です」
「そうですか」
「私も叱られますと」
「それだけで処罰ですし」
「受けたくないので」
「別に入牢等はされないですね」
「どうやら」
 そうだとです、龍王は答えました。
「死罪にもです」
「易者殿は言いましたか」
「はい」
 そうだというのです。
「そうしたことを」
「そこは安心しますね」
「全く以て。ですが」
「はい、承りました」
 魏徴はそれならと答えました。
「約束します、約束しましたら」
「必ずその通りにされますね」
「全力で努力しますのが」  
 それがというのです。
「私の信条です」
「流石天下の名臣にして人物であります」
「いやいや、私なぞとても」
 また謙遜して言う魏徴でした。
「並以下の者です」
「その謙遜こそがその証」
「そう言って下さいますか」
「そして何時言われますか」
「はい、毎日奉職していますが」
 それでもとです、魏徴は龍王に答えました。
「明日は朝廷に出仕する日ですので」
「明日にですか」
「出仕させてもらい」
 そうしてというのです。
「そのうえで、です」
「お話してくれますか」
「そうさせて頂きます」
 そうだというのです。
「必ず」
「ではお願いします」
「はい、それで何とかなるかと」
「お願いします」
 龍王は安心しました、そして夢の中で魏徴をふんだんにもてなしてお互い笑顔で別れました。そうしてでした。
 現実の世界に戻ってほっとしたお顔で自分に仕える川の廷臣達に言いました。
「これで一安心じゃ」
「そうなのですね」
「万歳老に叱られませんね」
「意地悪で手を抜いたことについて」
「魏徴殿がとりなして下さる」
 その彼がというのです。
「だからな」
「魏徴殿ですか」
「そういえば聞いたことがありますね」
「確か万歳老の重臣のお一方で」
「かなりの方だとか」
 廷臣達も勘違いしていますが気付かないまま言います。 
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