西遊記
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第九回 易者龍王を占うのことその四
龍王は約束通りそれも北海龍王もっと言えば彼に命じた天帝に従って雨を降らせました。しかしでした。
「少し時間をずらして量も少しな」
「減らす」
「そうして降らしますか」
「そうしますか」
「そしてな」
そのうえでというのです。
「易者の占いを外してやろう」
「そうしますか」
「あの易者の占いが気に入らないので」
「それで、ですね」
「そうしてやろうで」
意地悪そうな笑みを浮かべて言いました、そしてです。
実際にそうして降らせて言いました。
「全く、まさに命じられたままの時と量であったが」
「易者の占いは」
「それで、ですね」
「余計に癪に障りましたね」
「そうなったがな」
家臣達に龍宮の中で言います。
「これでだ」
「よし、ですね」
「易者の占いを外しましたね」
「そうなりましたね」
「そうだ、しかし五十両は払う」
それはというのです。
「多少外れてもな」
「多少なので」
「こちらもわざとしましたし」
「それで、ですね」
「支払おう」
こう言ってでした。
また書生に化けて易者のところに行ってそのうえで五十両を出してそのうえで易者に笑って言いました。
「少し遅く量もギリギリ大雨ではなかったですね」
「あの、私人相身も出来まして」
ですが易者は龍王にこう言いました。
「貴方万歳老かその辺りの偉い方の命に背きませんでしたか」
「何っ、何を言っておる」
「貴方に罰を受ける相が出ています」
お顔にというのです。
「ああ、これは大王と言われる方に叱責されますな」
「あの方からか」
「お心当たりがありますね」
「それは言わない約束だ」
「あの、口調前と違いません?」
「おっと、違います」
あらためてです、龍王は言いました。
「この通りです」
「あれっ、そうですか?」
「気のせいですよ、しかし叱られますか」
「随分と厳しく」
「それは困る」
「そうですね」
易者は龍王のお顔を見つつ言います。
「ここはどなたかに頼むのがいいかと」
「誰がいいでしょうか」
「万歳老にとりなしをしてもらう様なお話の様ですので」
「それで、ですか」
「それなら万歳老をいつもお諫めしている魏徴様にお願いすれば」
「何とかしてくれますか」
「そうかと」
「わかりました、では早速」
「あの、魏徴様はご存知ですよね」
易者は自分の言葉に頷いた龍王に言いました、書生と思ったうえで。
「朝廷の重臣です」
「ああ、皇帝を諫める」
「そこまでの方ですから」
だからだというのです。
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