西遊記
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第九回 易者龍王を占うのことその二
「別の方だ」
「誰だそれは」
「易者さんだ」
「ほう、そっちの人か」
「袁守誠さんという人でな」
「その人ならわかるか」
「この人の占いは当たるんだ」
そうだというのです。
「それでな」
「その人に占ってもらうとか」
「わかるんだよ」
何時雨が降るかというのです。
「ちゃんとな」
「そうなんだな」
「だからな」
それでというのです。
「あんたがどうしてもっていうなら」
「ああ、占ってもらえばいいか」
「易者さんにな」
「袁さんだな」
「そうだ、長安におられるぞ」
「なら占ってもらおう」
「わしもそうしてみよう」
こんなお話をしていました、そしてです。
川の中にいた夜叉、黒い服を着た美しい女がそのお話を聞いてです。川の底の龍宮に入ってそうしてです。
黒い見事な服を着た川の龍王にお話しました、すると龍王はこう言いました。
「ではな」
「大王もですか」
「占ってもらうか」
その龍の顔で言うのでした、身体は今は人間です。
「そうするか」
「そうされますか」
「一度な」
黒い龍の顔で言います。
「そうしてみるか、しかしな」
「その前にですね」
「その樵と漁師の占いを見るか」
そうしようかというのです。
「ここは」
「そうされますか」
「うむ、そしてな」
そうしてというのです。
「そのうえでな」
「大王もですね」
「占ってもらうか」
「そうされますか」
「その様にな」
「慎重にですね」
「ことを進めよう」
こう言うのでした。
「たかが占いだが」
「されど占いですね」
「左様」
その通りだというのです。
「だからな」
「ここはですね」
「まずはな」
様子見だというのです。
「そうしよう、その占いをだ」
「実際にですね」
「見てだ」
そうしてというのです。
「判断しよう」
「それでは」
夜叉も頷きました、そうしてです。
占いを見ますと見ればです。
漁師に話を聞いた樵が易者に毎日鯉や薪を持って何処で網をかけたり切ればいいのかを占ってもらってです。
その都度大漁多くの薪を手に入れてほくほくとしています、龍王はその占いの様子を見て家臣達に言いました。
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