しおりを登録しました

 | 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百九十八話 細長い国その六

「かなり」
「起きた世界でも家はアパートで」
 チリの中産階級の家で八条グループの企業で働いている両親の家に生まれている、暮らしはそれなりだった。
「日本では寮で暮らしてるからな」
「だからですか」
「屋敷しかも一人暮らしやな」
「使用人が入りますが」
 ボクサーが言ってきた。
「所謂メイドさん達が」
「それやと尚更な」
 使用人達が入るならというのだ。
「尚更や」
「想像がですか」
「つかへんわ」
「そうなのですね」
「どうもな」
「ですがそれでもです」
 会長はどうにもという感情を顔にも出したセプルベダに話した。
「棟梁になられましたし」
「棟梁に相応しい暮らしか」
「ですから屋敷に入られて」
「使用人さん達も雇ってか」
「暮らして下さい」
「俺もそれがいいと思います」
 ボクサーも言ってきた。
「立場ってありますし」
「棟梁になるとか」
「それ位は。まさか棟梁がアパート暮らしはです」
「ないか」
「そんな話は起きた世界でもありますか」
「ないな、村長さんもな」 
 小さな村のとだ、セプルベダは答えた。
「やっぱりな」
「お家で暮らしておられますね」
「ご家族とな、わしはこの世界で家族はおらんけどな」
 それでもというのだ。
「立場があるとか」
「はい」
 まさにというのだ。
「それなりの暮らしをされる必要があります」
「そういうことか」
「ですからその様に」
「体面ってやつやな」
「要するに」
「アパートの一人暮らしは快適やけどな」
 今のそれの話もした。
「そういう訳にもいかんねんな」
「立場が出来ますと」
「やはり」
 今度は二人で話した。
「そうなります」
「ですから」
「頷くしかないか」
「お願いします」
「そうして暮らして下さい」
「選択肢がないんやったら」
 それならとだ、セプルベダも頷いた。そうしてだった。
 彼はサンチアゴのとある屋敷に入り何人かの使用人達を住み込みで雇った、そのうえで棟梁として働きはじめ。
 サンチアゴを拠点としてその周辺の街や村を統治していき。
「勢力拡大もな」
「行っていきますね」
「そうしますね」
「ああ、しかしな」 
 会長とボクサーに仕事が終わって居酒屋で飲んでいる時に話した、市長も一緒に四人サンチアゴの漁港で獲れたシーフードの料理をワインを飲みつつ話している。
「問題はどうして拡大していくかや」
「そのことですね」
「具体的に」
「まずチリは山ばかりや」 
 会長とボクサーに貝のカルパッチョを食べつつ話した。
「そやから陸路ではな」
「拡大しにくいですね」
「道はあろうとも」
「そして細長い」
 今度はこう言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧