夢幻水滸伝
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第三百九十八話 細長い国その二
「こちらも出来ることはします」
「わしのことでか」
「はい、今どうして暮らされていますか」
「ここに来たばかりでな」
それでとだ、セプルベダは答えた。
「ほんまにな」
「何もですか」
「お金は多少持ってるが」
しかしというのだ。
「仕事もお家もないわ」
「どっちもですね」
「ほんまにな」
「それならです」
会長は彼のその話を聞いて言った。
「うちで暮らされますか」
「会長さんのか」
「はい、実はわしアパートを幾つか持っていまして」
「管理人さんでもあるんやな」
「そちらのオーナーも兼ねています」
そうだというのだ。
「そうです」
「そやねんな」
「それであるアパートの一室が空いていまして」
「そこで暮らしてもええか」
「はい」
セプルベダに話した。
「そやからです」
「そこに入って」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「暮らされては。またお仕事もあります」
「何や、それは」
「自警団の方です」
「そっちか」
「ここにいるボクサーは全員自警団でして」
それでというのだ。
「清掃業等もしていますが」
「働きながらボクサーもやってか」
「自警団もしています、それでセプルベダ様も」
彼もというのだ。
「自警団に入られて」
「働けばええか」
「流石に星の方に清掃業は」
「仕事はそれも立派なもんや」
だがセプルベダはこう返した。
「そやからな」
「されますか」
「ああ、わしもな」
「そうなのですね」
「というか掃除とか雑用が出来んで」
それでとだ、セプルベダは会長に話した。
「何が出来るか」
「仕事がですか」
「そや、雑用を馬鹿にする奴はな」
「仕事が出来ないというのです」
「基礎の基礎や」
仕事のというのだ。
「それを馬鹿にしていてはな」
「基礎が駄目なので」
「言うなら土台がな」
その部分がというのだ。
「そやからな」
「それで、ですか」
「そや、仕事が出来る筈がない」
そうだというのだ。
「そして街を掃除する人おらんかったら街はどうなる」
「汚れる一方でも」
「ゴミも汚物も溜まってな」
「どうにもならなくなりますね」
「そやからな」
それ故にというのだ。
「清掃業もや」
「問題ないですか」
「ああ、自警団をしながらな」
「街を奇麗にしていきますね」
「そや」
そうするというのだ。
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