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金木犀の許嫁

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第七十一話 お見合いの結果その五

「仲よくしているし」
「これからもですね」
「仲よくね」
 その様にというのだ。
「していくことだよ」
「絶対にですね」
「そう、絶対に」
 まさにというのだ。
「そうしないとね」
「駄目ですね」
「さもないと」
 それこそというのだ。
「やっていけないよ」
「お寺は」
「だって宗教は何か」
 豊は白華に話した。
「人を救うものだね」
「そうですね」
「それで他の人達と喧嘩するなんて」
「宗派や宗教の違いで」
「本末転倒というか」
 豊はこうも言った。
「お話にもならないよ」
「むしろそうした違いを乗り越えてですね」
「仲よく出来ないと」 
 そうでなければというのだ。
「駄目だよ」
「そんな違いはどうでもいいですね」
「そう、どうでもいいよ」 
 まさにというのだ。
「そんな違いはね」
「では大事な違いは」
「人の心を救うことだよ」 
「そのことですね」
「そう考えるとね」
「宗派、宗教の違いは」
「どうでもいいよ」 
 きっぱりと言い切った。
「些細なことだよ」
「左様ですね」
「カトリックとプロテスタントとか」
「十字軍とかですね」
「あんなことは論外だから」
 やはりきっぱりと言い切った、幸雄はそこに揺るぎない信念温和な中にそれを宿して白華に話していった。
「絶対にね」
「本当に仲よくですね」
「むしろ認めないでね」
「喧嘩する方がおかしいですね」
「まして悪口ばかり言うなんて」
 他宗派そして他宗教のというのだ。
「もう宗教家としてね」
「おかしいですね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「このお寺も仲よくだよ」
「皆仲よくですね」
「代々子供の頃からお付き合いしているし」
「これからもですね」
「仲よくだよ、若し神社が忙しいと」
 その時はというと。
「僕達も助っ人に行くし」
「そんな関係ですね」
「そうだよ、助け合いだよ」
「キリスト教ともですね」
「日本ではね」
「切支丹が禁止されたのは」
 佐京はそれが何故かと話した。
「他宗教を認めないで」
「しかも侵略の先兵でね」
 夜空が応えた。
「民衆を奴隷にもするから」
「禁止になったんだ」
「教理の内容じゃなくて」
「秀吉さんにしてみたら」
 豊臣秀吉のことである、言わずと知れた天下人だ。 
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