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西遊記

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第八回 観世音菩薩それぞれの者と会うのことその九

「手合わせもです」
「必要ないですか」
「左様です」
 こうお話するのでした。
「そうした次第です」
「それでは」
「私もある程度武芸や術は出来ますが」 
 白馬はそれでもと言いました。
「そんなに強くはないです」
「斉天大聖に向かえますか」
「とんでもない」
 菩薩に震え上がって答えました。
「そんなことはです」
「出来ないですね」
「絶対に」
 それこそというのです。
「出来ないですよ」
「そうですね」
「父上や叔父上達なら兎も角」
「四海龍王のお歴々なら」
「出来ますが」
 それでもというのです。
「そんなです」
「あの様な御仁とはですね」
「とても」
 それこそというのです。
「無理ですよ」
「左様ですね」
「ですから」
 それでというのです。
「私はそこまではです」
「出来ないですね」
「そんな強さは」
「ないですね」
「とてもとてもです」
「ですから」
 それでというのです。
「私はです」
「そうしたことはされないで」
「馬にですね」
「徹して下さい」
「そうします」
 一も二もない返事でした。
「その様に」
「それでは」
「長安に向かい馬に変化します」
 そうして運命に向かうと約束してでした、白馬は川から出て空を飛び長安に向かいました。その彼を見送ってです。
 菩薩は今度は五行山に向かいました、そこで二太子は言いました。
「五行山といえば」
「ご存知ですね」
「あの斉天大聖がいますね」
「大暴れした」
「あの御仁が封じられています」
「五百年経ちました」
 菩薩は微笑んで言いました。
「ですから」
「それで、ですね」
「いよいよです」
「あの御仁も動きますか」
「裁きを終えて」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「そうなるんですね」
「思えばです」
 菩薩は微笑んだままこうも言いました。
「瞬く間でしたね」
「人界での五百年は」
 二太子も言います。
「我々にとっては」
「五百日です」
「その五百日もです」 
 その日数もというのです。 
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