西遊記
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第八回 観世音菩薩それぞれの者と会うのことその八
「非常に」
「そうなのですか」
「何しろ釈尊の二番弟子だった方で」
「それはまた」
白馬も聞いて驚きました。
「そうした方ですと」
「それならですね」
「はい」
まさにというのです。
「徳も期待出来ます」
「事実非常に徳のある方です」
菩薩はそうだと答えました。
「また学識も信仰も確かで」
「どちらも備えておられて」
「聡明で心優しい」
「そうした方ですか」
「人としてはこれ以上のない」
そこまでのというのです。
「素晴らしい方です。貴方もです」
「大事にしてくれますか」
「決して声を荒くしたりしません」
「鞭打つこともですね」
「とても」
それこそというのです。
「しません」
「そうした方ですか」
「はい、ですから」
そうであるからだというのです。
「安心して下さい」
「そうなのですね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「ご安心下さい」
「そうさせて頂きます」
「ただ人なので」
「あっ、神である私と比べると」
「どうしても至らないところはあります」
そうだというのです。
「そのことはです」
「頭に入れておくことですね」
「はい」
まさにというのです。
「そうされて下さい」
「そこは仕方ないですね」
「前世はどうであっても今は人です」
「人ならですね」
「どうしても限界があるので」
だからだというのです。
「そのことはです」
「頭に入れておいて」
「一緒に行かれて下さい」
「わかりました」
白馬はそれならと応えました。
「そのことは」
「その様に。では」
「今から長安に向かいます」
「そうされて下さい」
「あの、菩薩様」
ここで二太子が菩薩に言ってきました。
「この者とは」
「手合わせはですね」
「しなくていいですか」
「彼は戦いとはです」
「関わらないですか」
「あくまで馬ですので」
「馬の務めを果たすのみで」
二太子は菩薩の言葉を聞いて応えました。
「戦うことはですか」
「しません」
「だから武具も渡さず」
「そしてです」
そのうえでというのです。
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