西遊記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八回 観世音菩薩それぞれの者と会うのことその七
「その腕で運命に向かうのだ」
「そうしますよ」
悟能は笑顔で応えました、そしてでした。
菩薩は彼と別れて次の場所に向かいました、その次の場所はといいますと。
東のある川です、そこに白龍がいますが。
「貴殿は確か」
「はい、西海龍王の三男でして」
龍は自分のところに来た二太子に答えました。
「白馬といいます、人界に下りましたが」
「今はそこにいるか」
「はい、運命が来るのをです」
「そうなのだな」
「あと下りる時に火事を起こしてすぐに消されましたが」
龍は申し訳なさそうに言いました。
「父上に叱られました」
「そこは気を付ける様にな」
「以後そうします」
「宮殿の明珠をですね」
菩薩も言ってきました。
「そうでしたね」
「全く以て恥ずかしい」
「まあそれは怒られたから終わりで」
「はい、そろそろですね」
「運命の時です」
こう白馬に言いました。
「ですからこれより都に行ってくれますか」
「人界のですね」
「唐という国の」
「その国の都ですか」
「長安という街ですが」
「そこに行ってですね」
「はい、馬になり」
その姿になりというのです。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「はい」
まさにというのです。
「とある人の僧侶を乗せてくれますか」
「それが私の役目ですね」
「そうです」
こう言うのでした。
「運命の」
「そのお坊さんは凄い人みたいですね」
「釈尊の二番弟子だった方です」
「えっ、釈尊のですか」
「左様です」
「それは相当な方ですね」
「その方を乗せて」
そうしてというのです。
「そのうえで、です」
「運命に向かうのですね」
「そうなります」
まさにというのです。
「貴方は」
「そして運命を乗り越え」
「ことを為したなら」
それならというのです。
「その時はです」
「私も大きなことを為した暁に」
「成長されていて」
「高位の神仏になれますか」
「間違いなく」
菩薩はその通りと答えました。
「貴方もまた」
「そうですね、それならです」
「運命に従われますね」
「是非。ただ私が乗せることになるその方は」
白馬は気になって尋ねました。
「どういった方でしょうか」
「非常に立派な方です」
菩薩はすぐに答えました。
ページ上へ戻る