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金木犀の許嫁

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第七十話 忍者と武士その一

                第七十話  忍者と武士 
 夜空は資料館の中で佐京に言った。
「忍者って武士よね」
「うん、俺達はね」 
 佐京はこう答えた。
「そうだよ」
「真田家直参の」
「藩士と言える立場だったよ」
「幸村公のね」
「幸村公は一万石位のお大名様で」
「関ケ原までね」
「そうであってね」
 主君である彼がそうであってというのだ。
「十勇士はその幸村公に直接お仕えしていたから」
「直臣ね」
「只の主従じゃなかったから」 
 幸村と十勇士達はというのだ。
「三顧の礼みたいに生きるも死ぬもって誓い合った」
「お友達で義兄弟で」
「そうした間柄だったから」 
 だからだというのだ。
「もうね」
「結構な身分だったのね」
「大名の直臣だから」
「そうなるわね」
「貰っていた石高は小さくても」
「立場はそうだったのね」
「うん、それで薩摩に逃れて」
 大坂の陣の後というのだ。
「秀頼公はただ匿われていただったけれど」
「幸村公と十勇士は違っていて」
「素性を隠して薩摩藩士となったんだ」
「藩士ね」
「そう、藩士だったから」
「やっぱり結構な身分だったのね」
「武士の中でもね」
 そうだったというのだ。
「やっぱり石高は低かったけれど」
「薩摩藩はね」
 真昼が言ってきた。
「お侍が多くて」
「そうです、七十七万石位で」
 佐京は真昼にも話した。
「五万もいました」
「かなり多かったのよね」
「あの加賀藩が二万三千位で」
「百二十万石で」
「しかも薩摩藩実は三十八万石位で」
 それ位しかなくというのだ。
「相当にです」
「石高は低かったのよね」
「お侍それぞれが」
「かなり貧乏で」
「西郷さんや大久保さんなんか」 
 西郷隆盛に大久保利通だ、二人共幕末と維新で活躍した日本の歴史を語るうえで忘れてはならない者達だ。
「物凄くです」
「貧乏だったわね」
「それこそお豆腐知らなかった位で」
 これは西郷隆盛の逸話にある、豆腐屋をおから屋だと思っていたのだ。
「物凄く貧しかったです」
「それで私達のご先祖様も」
「かなりです」
「貧しかったわね」
「そうでした、薩摩藩でも忍者でしたが」  
 それでもというのだ。
「むしろ高野山にいた時の方が」
「よかった位よね」
「もう食べるのさえ大変だったそうです」
「そうだったのね」
「ですから」
 それでというのだ。 
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