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金木犀の許嫁

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第七十話 忍者と武士その二

「維新になって」
「かなり豊かになったのね」
「むしろ」
「私達のご先祖は」
「そして維新以降は士族としてです」
 その身分でというのだ。
「暮らしていました」
「二次大戦までね」
「ずっと八条財閥で働いていまして」
「徴兵で戦争に行った人もいたわね」
「日清日露に」
「二次大戦でもです、その時に」
 佐京は真昼に真剣な顔で話した。
「忍術も使いましたが何でもです」
「何でも?」
「日露戦争の時です」
 日本の命運を賭けた戦争であった、大国ロシア相手に薄氷とはいえ奇跡の様な勝利を得たことで知られている。
「結構不思議なことがあったそうです」
「そうだったの」
「そうしたお話が残っています」
「どんなお話?」
「何か白い軍服の不死身の兵隊が出たり」
 そうしたことがあったりというのだ。
「狐や狸もです」
「戦っていたの」
「ふと尻尾が見えたりしたそうです」
「そうだったの」
「これは俺達のご先祖様とは直接関係ないですが」
 そうした話だがというのだ。
「けれどです」
「そんなお話があったのね」
「他に天狗もです」
 この妖怪もというのだ。
「いたそうですし」
「何でもね」
 真昼はその輪を聞いてこう返した。
「皇后陛下の枕元に」
「坂本龍馬さんですね」
 幸雄が応えた。
「出てきてですね」
「はい、日本海海戦は日本が勝つと言ったとか」
「そうしたお話もありますね」
「他にもあったそうで」
「出港前の三笠の艦橋に鳥が止まったり」
「吉兆になる様なことが」
「あったそうですね」
 真昼はかなり真剣な顔で話した。
「何か」
「そうらしいですね」
「あの戦争はとても不思議な戦争で」
「そうしたお話がです」
「多いんですね」
「確かにかなりの犠牲が出まして」
 旅順でも奉天でもだ、まさに予備戦力まで限界まで動員し国債を発行し続けて遮二無二戦った戦争であったのだ。
「何か勝った戦争ですが」
「その中ではですね」
「そうした逸話が多いです」
「そうなんですね」
「奇跡です」
 こう言えるものだったというのだ。
「あの戦争で日本が勝ったことは」
「そしてその奇跡にはですね」
「人が全力を尽くし」
「妖怪変化までですね」
「戦って霊的な存在も見える」
「そんな戦争でしたね」
「そしてその戦争にです」
 そこまでの大きな戦争でというのだ。
「忍術もありました」
「ご先祖様達が戦って」
「そうでした」
「日露戦争はそうだったんですね」
「日清戦争もそうで」
 そうでありというのだ。 
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