西遊記
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第七回 悟空如来様に封じられるのことその十七
「励んで来るのだ」
「わかりました」
白馬はそれならと応えました。
「それがしも励んできます」
「それではな。しかし」
「しかしといいますと」
「人界には裁きを受けて下りる者もおる」
「それがしとは違い」
「そうした者を蔑むといらぬ怒りを買うからな」
そうなるからだというのです。
「そこは気を付ける様にな」
「それでは」
「あと何かと神仏から役目を言われ下りておる者も多い」
龍王は白馬にこのこともお話しました。
「そうした者と運命で戦うこともあるが」
「乗り越えるのも修行ですか」
「そうだ」
その通りだというのです。
「他に運命に向かう者がおればな」
「共に戦うのですね」
「そうするのだ、お主も強い」
白馬もというのです。
「そのことは確かだ」
「あまり自信はないですが」
「四海龍王の子で修行を積んできたのだ」
だからだというのです。
「それなりの強さだ、金の気もな」
「強いですか」
「そのものと言って位にな」
「そうなのですね」
「だからある程度でも自信を持ってな」
そうしてというのです。
「ことに向かうのだ」
「それでは」
「時が来れば行くのだ」
人界にというのです。
「そして修行が終わればな」
「その時は」
「お主はそれなりの神仏となる」
そうだというのです。
「だからな」
「修行に励んできます」
「存分にな、さて兄弟揃い」
西海龍王は笑ってこうも言いました。
「これより宴だ」
「それを開かれますか」
「あのやんちゃ者が捕まって裁きを受けたのだ」
「やんちゃ者ですか」
「うむ、斉天大聖がな」
「ああ、あの暴れ回った」
白馬もこのことは知っています。
「西王母様に迷惑をかけて遂に釈尊まで出られるとか」
「釈尊が捕らえて下さったのだ」
「お流石ですね」
「そして人界で五百年の間な」
「こちらで五百日ですね」
「山の下に置かれることになった」
「軽い刑罰ですね、あれだけ暴れて五百日とは」
白馬はそのことにはいささか驚いています。
「西王母様それに太上老君にまでご迷惑をかけてますし」
「うむ、一度首を切られるところだったが」
しかしというのです。
「一切通じずな、挙句戦までとなったが」
「五百日の間だけですか」
「咎を受けることになった、釈尊の温情でな」
「やはり釈尊はお優しいですね」
「慈愛に満ちた方だけあってな」
「左様ですね」
「うむ、それでな」
そうであってというのです。
「それだけとなった」
「左様ですか」
「うむ、そしてな」
それでというのです。
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