西遊記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七回 悟空如来様に封じられるのことその十六
「拙者も」
「大将は真面目ですね」
「いや、これは当然のこと」
「神なら殺生は犯さない」
「下界の命あるものは特に」
「それを破れば神でなくなりますね」
「到底。それ故に」
牢番にさらに言いました。
「何があろうとも」
「そのことを守られて」
「そしてだ」
そのうえでというのです。
「運命に向かう」
「裁きを受けられたうえで」
「そうする、しかしこれまで世話になったな」
大将は今度は牢番に対して言いました。
「礼を言う」
「とんでもない、私も仕事ですから」
紫の鎧兜と服を身に着けた牢番は恐縮して答えました。
「当然のことをしたまでで」
「そう言ってくれるか」
「はい、あと大将の服は青ですね」
「五行の木だ」
「左様ですね」
「また白、黒、赤、碧、緑、黄、紫とだ」
今度は七つの色を出しました。
「世にあるがな」
「そうですね」
「ここから九曜となるが」
「大将はそれでは碧ですね」
「それが青だ、青と緑は同じ様に言われることもあるが」
「また違いますね」
「だから青龍殿は緑色ではない」
その身体の色はというのです。
「拙者も同じだ」
「青ですね」
「木の気があまりにも強くな」
「青龍様の様に」
「そうなる、それが下界でも出るな」
自分で言いました。
「そうなるとな」
「厄介ですか」
「そうやもな」
こうも言うのでした。
「そこは気を付けねばな、そのうえでな」
「運命に向かわれますね」
「そうする、では下界に下りる時が来れば」
その時はといいますと。
「進んで行こう」
「はい、ご健闘を祈ります」
「それではな」
こう話してでした、そのうえで。
大将も下界に下りました、その様子は彗星の様でした。誰かと同じく真っ逆さまに下りていったのでした。
また白馬ですが。
お父さんの西海龍王からです、こう言われました。
「お主修行で人界に下りることになったぞ」
「前からそうした話が出ていましたが」
「基本馬になってな」
そうしてというのです。
「とある法師を乗せて旅をすることになる」
「そうなのですか」
「必要とあれば本来の姿に戻れる」
「龍にもですか」
「また我等の普段の姿にもな」
龍王は人に似た姿で言いました、もっと言えばかなり整った威厳も備えている人間の王様に見えます。
「なれるぞ」
「そうなのですね」
「だからな」
それでというのです。
ページ上へ戻る