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西遊記

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第七回 悟空如来様に封じられるのことその十五

「そうするぞ」
「吉報を待っています」
「ははは、裁きを受けるのにな」
「私は元帥が嫌いではないので」
「だからか」
「左様です」
 まさにというのです。
「待たせて頂きます」
「そうか、では届ける様にするな」
「その様に」
「ではまずは食うか」 
 人界に下りる前にとです、元帥は笑って言いました。
「何と言っても食わねばな」
「動けませぬな」
「そうだ、だからな」
 笑って言うのでした。
「牢の飯も食いおさめだしな」
「まずいと思いますが」
「まずくともこれが最後だからな」
「食いおさめとしてですか」
「たらふく食ってな」
 そうしてというのです。
「裁きに従いな」
「人界に下りられますか」
「そうしようぞ」
 官吏に笑ったまま言います。
「これよりな」
「裁きを受けても明るいですが」
「だから寛大なお裁きでありな」
「運命に向かうことなので」
「なら挑む」
「そういうことですか」
「そうだ、では飯を持って来てくれ」 
 官吏に言ってふんだんにでした。
 元帥は牢屋の飯を喰らいました、味は確かによくはありませんがこれが喰いおさめとふんだんに食べてそうしてでした。
 下界に下りました、まるで流星の様に真っ逆さまに落ちていきました。
 大将にも砂漠が伝えられました、すると大将は牢の中で礼儀正しく座していてそのうえで言うのでした。
「帝の寛大なお裁き感謝します」
「そう言われますか」
「左様」
 そのことを伝えた牢番に答えました。
「嬉しく思う」
「それでなのですが」
 牢番はそう言う大将に言いました。
「下界に下るのは」
「辛いことか」
「私はそう思いますが」
「拙者は前からお役目でそうした話が出ていた」
 大将は牢番にこのことを告げました。
「そして下界に拙者の運命が待っているというし」
「この裁きはいいですか」
「鞭打ちのところをそうして頂いたのだ」 
 だからだというのです。
「有り難いこと」
「そうですか、それでなのですが」
 牢番は大将に言いました。
「大将も神であられるので殺生はです」
「ならぬな」
「はい、何があろうとも」
「絶対に守る」
 大将はすぐに答えました。 
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