西遊記
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第七回 悟空如来様に封じられるのことその十四
「そうしよう、元帥は豚と合わせ」
「その姿にして放逐されますか」
「そして大将は河童にしてな」
彼はというのです。
「人界に行かせる」
「そして運命を果たさせますか」
「それを裁きとする、まあどちらの者も変化の術を使えるからな」
「本来の姿に変えることも出来ますね」
「それも出来るしな」
「豚や河童になろうともですね」
「そこは工夫してもらおう」
「人界の人間達を驚かせない」
「その様にな、ではあの二人の裁きはその様にする」
きっぱりと言われました。
「それでよいな」
「さすれば」
水星も他の文武百官もそれではと頷きました。
「その様に」
「元帥と大将にも伝える様に」
帝は悟空への裁きをご覧になられた後で元帥と大将の裁きを行われました、このことはすぐに二柱の神々にも告げられました。
豚の姿になって人界に暫く行かされると聞いてです、元帥は自分にその裁きを告げた官吏に対して牢の中で言いました。
「流石万歳老だ」
「納得されていますね」
「納得どころか温情をかけて頂きだ」
そうしてというのです。
「有り難き幸せだ」
「ではこれよりですか」
「ああ、人界に下りてな」
そうしてというのです。
「裁きを受けよう」
「そうされますか」
「そして運命に向かう。だが」
「だがといいますと」
「おいらが人界に下りる話は出ていた」
以前からというのです。
「それがこうした形でなるとはな」
「不思議なことですね」
「全くだ、これもまたな」
「運命ですか」
「そうかもな、酒に酔って女官に声をかけたのは罪だが」
「はい、帝の宮廷の方なので」
官吏も言います。
「大変なことですよ」
「本来なら鞭打ちでも足りぬな」
「左様です、それが暫しの間です」
「人界に下りるだけだからな」
「大変寛容なお裁きです」
「全くだ、さて人界でどんな運命が待っているか」
「向かわれますね」
元帥に尋ねました。
「これより」
「そうする、しかしおいらも水の気が強いからな」
元帥はこのことも言いました。
「その気がどうなるかだな」
「そうですね、もうです」
官吏もそれこそと返します。
「その気を抑えるには五行が揃わねば」
「しっくりいかぬな」
「そうかと」
「そこはどうなるか」
「気になるところですね」
「おいらとしてはな。おいら自身も気を付けるが」
「それでもどうなるか」
「わからぬ、しかし運命に向かう」
絶対にというのです。
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