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西遊記

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第七回 悟空如来様に封じられるのことその十三

「ここは慎んで」
「裁きを受けますね」
「そしてその時を待ちます」
「その様に。では」
「はい、わしは言った通りにです」
「ここにいますね」
「そうします」 
 こう言ってでした。
 悟空はそのまま山に封じられ五百年のままそこにいることとなりました、帝はその裁きをご覧になられ言われました。
「名裁き、朕も手本にしよう」
「そうされますか」
「うむ、裁きは法に照らしてな」
 そうしてとです、冥府の十王の一柱である閻魔王に言われました。
「そして柔軟かつ情も配慮してな」
「裁かれるべきですね」
「ただ厳しくしてもな」 
 そうしてもというのです。
「よくはない」
「温情も含めるのですね」
「相手を見てな、大聖は確かに暴れたが」
 しかしというのです。
「だが誰も深い傷を負わしておらぬし素直で裏表がない」
「そうであるのなら」
「裁きがあの様にあるべきだ」 
 釈尊が行われた通りにというのです。
「そうあるべきだ」
「そう言われるのですね」
「そしてだ」
 そのうえでというのです。
「朕も手本としてだ」
「今後の裁きに活かされますか」
「そうする。そういえば天蓬元帥と捲簾大将が不始末を犯したな」
「はい」 
 水星が答えました。
「元帥は酒を飲んで宮廷の女官に絡み大将は万歳老の瑠璃の杯を誤って落として割ってしまいました」
「どちらも宮中そして朕のことになるからだな」
「処罰の対象となっています」
「どちらも些細なものだな」
 帝は水星に言われました。
「仕方がないと言えば済む」
「宮中以外の場所で行えば罪ではありませぬ」
「元帥も大将もだな」
「左様であります」
「そうだな、だが宮中故にな」
「法を犯したことになります」
「本来なら暫く蟄居か鞭打ちとなるが」
 帝は思案されつつ言われました。
「あの者達も反省しておるな」
「はい」
 水星はその通りだと答えました。
「是非罰を受けますと恐縮しております」
「反省しておるな、それに前から考えていることもあった」
「といいますと」
「二柱を暫し人界にやる」
 そうするというのです。
「放逐しそこでどうもそれぞれの運命があるからな」
「その運命を果たさせますか」
「その様にする」
 裁きはというのです。
「そうする」
「左様ですか」
「仮の姿も与えてな」 
 そうもされるというのです。 
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