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西遊記

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第七回 悟空如来様に封じられるのことその十

「百年の間服します」
「五百年は人界のことです」
 釈尊はこうも言われました。
「神界隈のものではありません」
「人界ですか」
「そしてその五百年が経てば」
「わしへの裁きは終わりますか」
「はい、その時に一人の人間の僧侶が来ます」
「その人がわしを助けてくれますか」
「それが運命です」
 まさにというのです。
「貴方の」
「というとわしが暴れたのも」
「運命でした、ではよいですね」
「はい、今から服します」
「さすれば」
「では大聖よ、よいな」
 帝は玉座から言われました。
「これよりだ」
「裁きを受けまする」
「朕はより重い裁きを与えるところだったが」
「神界での歳月で言うと五日なので」
「十日、千年とするところをな」
「釈尊は五日ですか」
「うむ」
 そうだというのです。
「まさにな」
「そうでしたか」
「だが釈尊は五日とされた、運命もあるが」
「わしのそれも」
「ではだ」
「はい、これよりです」
「報いを受けるのだ」
 こう言ってでした。
 帝は後は釈尊に任せられました、悟空はすぐにその山の下に敷かれ動けなくなりました。そしてです。
 彼はその下で動けなくなりました、ですが。
 釈尊はその悟空にです、こう言われました。
「五百年の間飲まず食わずは辛いですね」
「はい」
 悟空も答えます。
「わしも」
「ですから土地神にお願いしました」
「どうも」 
 飄々とした感じの美登里の服を着た初老の男の人が出てきました。
「この辺りの土地神です」
「おお、そうなのか」
「この御仁が貴方の面倒を見てくれます」
「釈尊に頼まれるとは光栄です」
 土地神は笑顔で言いました。
「喜んで受けさせてもらいます」
「それで何を飲ませて食わせてくれるのだ」
「銅のスープとです」
 まずは飲みもののお話をしました。
「鉄の団子です」
「その二つか」
「それで宜しいでしょうか」
「ははは、わしは石から生まれたのだ」
 悟空は土地神に笑って答えました。
「だからな」
「大丈夫ですか」
「食える、むしろな」
 悟空は笑って言いました。
「馳走じゃ」
「そうなのですか」
「だから安心せよ」
「鉄や銅でもですね」
「わしにとっては馳走だ」
「わかりました、じゃあ差し入れますね」
「うむ、ただ動けぬしな」
 悟空はそれでと言いました。
「また術も使えぬな」
「そちらも封じています」
 釈尊が答えられました。 
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