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西遊記

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第七回 悟空如来様に封じられるのことその九

「私との約束は忘れていませんね」
「手の平の上から出れば裁きから逃れられます」
「逆に言えば」
「出られなければ裁きを受ける」
「そうですね」
「わしも神で二つの山の王です」 
 悟空は腕を組んで言いました。
「約束は守ります」
「そうですね」
「嘘は言わず約束は守る」 
 悟空はこうも言いました。
「そうしますので」
「それではですね」
「はい、それではです」
 悟空は大人しく従いました。
「今鳥万歳老の御前に参ります」
「そうするのです」
「さすれば」
 悟空は自ら帝の御前に参上しました、そして片膝を付いて右手の拳を左手の平に胸の前でやってことの次第を話しました。
 そのうえで、です。帝に言いました。
「裁きをお願いします」
「そなたにはかなり怒っておる」
 帝は実際にそうした目で言われました。
「だからここは厳罰を与える」
「覚悟は出来ております」
「しかし朕がそなたを捕らえたのではない」 
 帝はこうも言われました。
「釈尊がそうした」
「それでは」
「裁きは釈尊に任せる」
 そうするというのです。
「ここはな」
「私がですね」
 ここでその釈尊が出てこられました。
「そうしていいのですね」
「貴殿がそうされたのですから」
 帝は釈尊に言われました、
「お願いします」
「帝がそう言われるなら。では大聖よ宜しいですね」 
 釈尊は悟空の傍に来て言われました。
「これより貴方に裁きを与えます」
「何なりと」
「私は貴方に神界の果てで五本の指を見せましたね」
「右手のですね」
「この指を五行としまして」
「火、水、木、金、土ですね」
「五連の山とし」
 そうしてというのです。
「五行山と名付けます」
「山ですか」
「その山で貴方を抑え」
「さらにですな」
「はい、この札を用います」
 そのお札にはです。
 真言が書かれていました、そこにはおお蓮華の上の宝珠よとあります、そう書かれたお札を出してでした。
 そうしてです、こう仰るのでした。
「山の上に貼ります」
「するとどうなるのですか」
「山の頂上には死角の石があり」
 そしてというのです。
「そこに貼ると山に根が生えます」
「わしの上に山がありその山に根がありますと」
「動けなくなりますね」
「はい、そうなります」
「それで五百年の間いてもらいます」
「それがわしへの裁きですか」
「そうです、宜しいですね」
「裁きを受けると決めたのです」
 覚悟した声で、です。悟空は答えました。
「わしも」
「それではですね」
「はい、その裁きを受け」
 そうしてというのです。 
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