西遊記
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第七回 悟空如来様に封じられるのことその八
「じゃあこれよりです」
「出ますね」
「そうします」
こう言って筋斗雲を出してでした。
悟空はそれに乗って飛び立ちました、それこそです。
光の速さで何万里も一気に飛びます、まるで世界の端まで一気に行く様です。そして一日も行くとです。
目の前に五本の柱がありました、見れば神界の蒼天を支えています、悟空はその柱を見て笑顔で言いました。
「お釈迦様、わしは神界の端に至りましたよ」
「私の手の平の上どころかですね」
「ええ、今神界の空を支える五本の柱が目の前にあります」
何処かにいる釈尊に言います。
「いやあ、お釈迦様には悪いですが」
「簡単でしたか」
「そこに着いた証にです」
悟空は懐から筆と墨汁が入った壺を出しました、そしてです。
筆に墨を付けて真ん中の柱に一筆書きました、そのうえで言いました。
「斉天大聖孫悟空世界の端に至る」
「書きましたね」
「ここに来た証に書きましたので」
釈尊の右の手の平を越えてというのです。
「どうぞです」
「わかりました」
「あとです」
悟空は感嘆過ぎたこれもわしの力故と笑いつつ言いました。
「一番端の柱にも証を付けます」
「どうするのですか?」
「小便をかけようと思いましたが品がないので」
そうすると、というのです。
「こっちには持っている桃の花を飾っておきます」
「そうしますか」
「今そうしました」
お花を出して飾ってから言いました。
「そういうことで」
「それでは」
「今からそっちに戻ります」
釈尊にこうも言ってでした。
悟空は釈尊と会った場所に戻りました、そしてまた一日かけて戻りました。そのうえで行くとでした。
釈尊に笑顔で、です。こう言ったのでした。
「本当に簡単でしたよ」
「そうですか」
「はい、ですから」
それでというのです。
「わしはこれで無罪放免ですね」
「そのことですが」
ここで、でした。釈尊はあるものを見せました。それは自分の右手でした。そこには何となのでした。
「何と、わしの字と花が」
「それぞれありますね」
「お釈迦様の中指と親指に」
「そうです」
「ということは」
「ずっとです」
まさにというのです。
「私の右の手の平の中にいたのです」
「何と、世界の果てで行ったというのに」
「それはその通りですが」
「それでも釈尊の手の平の中だったとは」
「そうでした」
「ううむ、それが釈尊のお力か」
悟空はもう唸るしかありませんでした。
「何とも凄い」
「私も天帝もです」
「それだけのお力があるのですか」
「神界全体に及ぶまでの」
「仏界にもですな」
「勿論です」
釈尊はその通りだと答えられました。
「まさに」
「左様ですな」
「そしてです」
釈尊はさらに言われました。
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