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西遊記

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第七回 悟空如来様に封じられるのことその五

 今度は神界で暴れはじめました、如意棒を手に持ち筋斗雲に乗ってでした。
「さあさあわしと戦いたい奴はおるか」
「僕がいるよ」  
 早速哪吒三太子が右手を挙げて名乗りを挙げました。
「大聖脱走したんだね」
「おう、この通りな」
 悟空は自分の前に出て来た三太子に答えました。
「老君の炉からな」
「そうだね、簡単に裁きを受けたら面白くないよ」
「戦えぬからだな」
「うん、じゃあやろうか」
「望むところだ」
 こうして二柱の神々は戦いに入ります、それを見て天王は激怒しました。
「そこは喜ぶところか」
「違います」
 真君が真面目な顔で答えました。
「断じて」
「全く、我が息子ながら」
「三太子も血気盛んですから」
「生まれた時からああでして」
 天王は困り果てた顔で言いました。
「手を焼いています」
「元気過ぎて」
「はい、困ったものです」
「ですが三太子が大聖の相手をしてくれるので」
 真君は冷静に答えました。
「大聖が暴れることを止めてくれています」
「互角の勝負をしてくれるので」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「ご安心下さい」
「そのことはいいことですね」
「はい、しかしです」
「問題は大聖をどうするか」
「不覚でした」 
 真君は申し訳ないという顔で言いました。
「全く以て」
「いえ、普通はあの炉に入れば」
「灰になりますか」
「神といえど、ですから」
 それでというのです。
「大聖がです」
「強過ぎますか」
「全く以て厄介な」
「そうした神ですか」
「そうですので」 
 それ故にというのです。
「真君が気に病まれることはありません」
「そう言って頂き何よりです」
 天王の優しい言葉に真君は救われました、そしてほっとしました。ですが一緒にいる一太子が言いました。
「ですが万歳老は遂にです」
「はい、ご自身がご出陣されるとです」
 真君は一太子に答えました。
「仰っています」
「左様ですね」
「万歳老のご出陣はです」
「控えるべきです」
「万歳老なら問題ありません」
 こうもです、真君は言いました。
「大聖が相手でもです」
「勝たれますね」
「あの青龍偃月刀を手にされますと」
 そうすると、というのです。
「まさに無敵で」
「誰も勝てません」
「はい、ですが」
 それでもというのです。
「神界の主が戦われるなぞ」
「極力控えるべきです」
「そうですので」
「ではです」
 二太子もいて言ってきました。
「ここはです」
「三太子だけにはですね」
「任せず」 
 そうしてというのです。 
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