西遊記
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第六回 悟空二郎真君と戦うのことその十五
「万歳老の思われる様にです」
「あの者を裁くことだな」
「それは間違っておられぬので」
「すべきだな」
「あの者はやはり裁きの水が必要です」
「火の気が強過ぎるからな」
「その火をどうにかするには」
悟空が持っているそれをというのです。
「水もです」
「必要であるな」
「ですから」
それでというのだ。
「この度は」
「裁こう」
「そうされて下さい」
「さて、あの者の運命はです」
西王母は微笑んで言いました。
「私も見ましたがかなりです」
「何かとあるか」
「山あり谷ありどころか」
その言葉に収まらずというのです。
「波乱万丈の」
「そういったものになるか」
「そうなのです」
これがというのです、西王母はお茶を飲んで点心も口にしてそのうえで帝にさらにお話するのでした。
「これが」
「そうなるか」
「はい、そしてその果ては」
「かなりだな」
「大事を為して」
「それを世に残すか」
「そうなります」
まさにというのです。
「万歳老もそうなることをです」
「観ることになるな」
「左様です」
「わかった、では朕はな」
「玉座においてですね」
「あの者に裁きを与えな」
そのうえでというのです。
「さらに見守ろう」
「そうされますね」
「またどの者があの者と共に歩むか」
「大事を為す道を」
「そのこともだ」
「ご覧になられますね」
「敢えて運命を見ずな」
そうしてというのです。
「そのうえでな」
「そうされますね」
「神界を治め」
そうしてというのです。
「少しの間な」
「人界においてですね」
「関羽雲長となりな」
「働かれますね」
「そうもしてくる」
このこともお話しました。
「そこでの朕もわかっておる」
「とある者の義兄弟となり」
「そしてだ」
そのうえでというのです。
「共に戦う」
「そして世に教えを残しますね」
「そうもなる」
「そのお勤めもありますね」
「このことはもうわかっている」
運命を読まずにです。
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