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西遊記

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第六回 悟空二郎真君と戦うのことその十六

「そうであるからな」
「それ故に」
「時が来ればな」
「人界に下りられますね」
「そうしてくる」 
 西王母に確かな声で仰いました。
「朕はな」
「それでは」
「ではな」
「これよりですね」
「間もなく大聖が来るからな」
「二郎真君に引き立てられて」
「だからな」
 それでというのです。
「処罰しよう」
「首を跳ねますね」
「そうさせる」 
 西王母に答えました。
「一度な」
「そうして終わらせますね」
「裁きは下さねばならん」
 絶対にというのです。
「やはりな」
「左様ですね」
「裁き、法によるそれはだ」
「絶対のことです」
「人も世も法なくて成り立たぬが」
「神界も然りです」
「それ故にな」
 だからだというのです。
「絶対にだ」
「裁きは与える」
「その様にする」
「それでこそ神界の主です」
 西王母は帝の言葉を聞き恭しく応えました、そのうえで厳かな態度を守って帝にさらに言うのでした。
「法と摂理を守られる」
「そのことを忘れぬからな」
「そうされますね」
「そうだ」
 帝も確かな声で言われます。
「その様にな」
「はい、では大聖が連れて来られるまで」
「今はこの場にいる」
「そうされますね」
「ではそれまで茶を飲みだ」
「一服されますか」
「そうするとしよう」 
 こう仰るとでした、すぐに帝だけでなく老君に西王母、菩薩にお茶が出されました。皆そのお茶を飲みつつ悟空が連れて来られるのを待ちました。
 その帝のお傍にいる捲簾大将は今は非番でしたが悟空が捕まったと聞いてそのうえで自身の屋敷で共に飲む友人達に言いました。
「全く以て無茶苦茶だ」
「大聖ときたらな」
「西王母様の宴を滅茶苦茶にし」
「老君の金丹を喰らう」
「その前に仙桃を盗み食いしたというし」
「懲らしめられるとなると軍を率いて戦う」
「遂には二郎真君まで出られた」
 大将はそれでと言いました。
「この様な者ははじめてだ」
「神界がはじまって長いがな」
「この世が」
「この様な者ははじめてだ」
「我等も知らぬ」
「他にな」
「火の気が異様に多いというが」 
 それでもというのです。
「破天荒にも程がある」
「全くだ」
「遂には捕まったが」
「ここは裁きを受けてもらおう」
「そして頭を冷やしてもらおう」
「そうしてもらおう」
 実際にというのです。 
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