西遊記
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第六回 悟空二郎真君と戦うのことその十二
「それを裁きとして受けよ」
「ううむ、まだ戦えるというのに」
「それでも捕まっちゃったから」
三太子も苦笑いで言ってきました。
「諦めようね」
「逃げてまた一戦だ」
「その心意気はいいけれどね」
「全く、流石は老君だ」
悟空も老君にはこう言います。
「あの輪は効いたわ」
「むしろ老君を動かした貴殿は立派だ」
真君はそんな悟空を素直に賞賛しました。
「しかし暴れた罪は償うことだ」
「一度首を切られてか」
「そうだ、神だから死なないのだ」
「斬妖台においてもか」
「妖怪は死ぬが神は死なない」
決してというのです。
「貴殿も神なのだからな」
「死なないでか」
「切られた首はまたすぐにつくし若し灰になってもな」
その場合もというのだ。
「灰がだ」
「元の身体になるか」
「そうなるからな」
だからだというのです。
「貴殿は安心してだ」
「万歳老の裁きを受けることか」
「そうするのだ」
「あと他の者は解き放つ」
赤脚大仙も言ってきました。
「今すぐにな」
「うむ、そのことは有り難い」
悟空もそのことには喜びました。
「罪あるのはわしのみ、従ったあの者達にはない」
「わかっておる、だからな」
「あの者達は解き放ってくれてか」
「そしてだ」
そのうえでというのです。
「二つの山でこれまで通り暮らしてもらう」
「それではな」
「では行くぞ」
真君がまた悟空に言います。
「万歳老の御前にな」
「何とかして逃げてやるわ」
しかし悟空はまだ言います。
「見ておれよ」
「逃げたらまた僕と闘おうね」
三太子はその悟空に両手を後ろにやって明るく言ってきました。
「今度は勝つよ」
「おう、それはわしの言葉だ」
「その時が楽しみだよ」
「わしもだ」
「楽しみはない、私の術を今の貴殿は破ることは出来ない」
真君は真面目に言いました。
「決してな」
「じゃあご主人様、これから」
「大聖を連れて行きましょう」
犬と鷹が言ってきました。
「神界まで」
「そうしましょう」
「それではな。では天王殿もお歴々もこれで」
真君は居並ぶ神々に礼儀正しく言いました。
「私は一足先に神界に戻ります」
「わかりました、では我等は捕らえた者達を解き放ち」
天王はもう立ち上がっていて真君に応えました。
「そして戦の後始末が終われば」
「陣払いをしてですね」
「神界に戻ります」
「それでは」
真君は礼儀正しく応えてでした。
悟空を乗せた車を術で動かして自身は空を飛んででした。
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