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西遊記

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第六回 悟空二郎真君と戦うのことその七

「分身を出し忘れていた」
「貴殿の分身は貴殿と同じだけ強いな」
「武芸も術も采配もな」
「その分身達が軍にいないとどうだ」
「相手は神々、負けるわ」
「天王の采配は神々の中でもかなりのもの」
 総大将であるこの神はです。
「三柱の太子に九曜星官、二十八宿、四天王にだ」
「十万の大軍となると」
「わからない貴殿ではないな」
「ううむ、もう攻め落とされたか」 
 見れば山は神界の軍勢に攻められてそうなっていました。
「実に速いな」
「斉天大聖、君の家臣は皆捕まえたよ」 
 三太子が来て言ってきました。
「彼等の罪は問わないと万歳老も仰ってるから安心してね」
「それはよきこと、しかしわしはまだいる」
 悟空の声は諦めていないものでした。
「だからな」
「まだ戦うんだ」
「必要とあれば逃げる」
「それで捲土重来だね」
「とことんまでだ」
 それこそというのです。
「戦い抜いてだ」
「力尽きるまでだね」
「戦ってやるわ」
「うん、君はそうした神様だね」 
 三太子は悟空の話を聞いて笑顔で頷きました。
「僕もそうするよ」
「最後まで戦うな」
「諦めないでね」 
 そのうえでというのだ。
「戦ってね」
「力尽きるな」
「それがいいと思うよ。それで君はどうなんだ」
「おう、どうしてもというならだ」
 それこそというのだ。
「逃げてだ」
「そうして」
「とことんまでやってやるわ」
「ここで降伏しないんだね」
「おうよ、まだまだだ」
「君らしいね、その気構え嫌いじゃないよ」
 三太子は悟空の明るくかつ威勢のいい言葉に笑顔で頷きました。
「いい感じだね」
「そう言うか」
「君とはいい友達になれるね」
「わしもそう思うぞ、この戦が終わったら共に飲むか」
「いいね、兄上達も交えてね」
「楽しく飲んで遊ぶぞ」
「そうしようね、けれど今はね」
 三太子は悟空に残念そうに答えました。
「その戦をしているからね」
「しかも私と一騎打ちをしているのだ」
 真君も言ってきました。
「哪吒太子が降伏勧告をすると思い待っていたが」
「いや、ついついお喋りをしちゃったよ」 
 三太子は真君に右手を頭の後ろにやってぺろりと舌を出して答えました。
「御免御免」
「戦の最中お喋りはどういったものか」
「ついついね」
「今後は気を付ける様に。それで大聖はどうするのだ」
 悟空にお顔を戻してあらためて問いました。
「残るは貴殿のみ、降るか」
「言っただろう、わしは諦めておらん」
 悟空は真君にも強い声で答えました。
「まだまだ戦うぞ」
「そうするのか」
「ここは逃げてもな、捲土重来だ」
 こう言ってでした。
 悟空は雀に変身しました、そして飛び去ろうとしますが。 
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